たった2000円の映画鑑賞で、数年後に何十万の価値で跳ね返ってくる!それが映画の魅力

【白黒映画】これで苦手意識が消える、良さがわかる入門ガイド

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かんとくさん

今日も映画を見るぞ

あおい

いいですねえ

おともだち

ところで、白黒映画って古臭い印象があって見る気が起きないんだよなあ

あおい

あらら。それはもったいないですね。では、白黒映画の魅力をご紹介します

「白黒映画って、なんか怖そう」

「内容が難しそうで苦手」

そんなふうに思って、つい避けていませんか?

実はわたしもそうでした。白黒映画は、子供の時からは見ていたわけではありませんでした。

しかし鑑賞するとのめり込みました。白黒映画の印象がガラッと変わったんです。

この記事ではこんなことがわかります

  • 白黒映画が「苦手」と思われやすい理由
  • 実は白黒映画にはこんな魅力がある
  • 初めてでも観やすいおすすめ白黒映画

この記事では、白黒映画に苦手意識を持つ人のために、
その良さをわかりやすく解説し、最初に観るのにぴったりな入門作品も紹介します。

この記事で、みなさんには次のように感じてもらいたいです。

  • 白黒映画が苦手意識の理由がわかり、興味が持てるようになる
  • 白黒映画にも感動、笑い、スリル…実は多彩だと知って、選びやすくなる
  • 重く考えずに、「この1本ならいけそう」と思えるきっかけになる
  • 現代でもモノクロが使われている理由を知り、見方が変わる
  • 白黒映画だけでなく、新しいことへの一歩を踏み出すヒントにもなる

「白黒映画って意外といいなぁ」と思えるきっかけになればうれしいです。

アシスタント

ではさっそく深掘りしていきましょう

目次

なぜ白黒映画を「苦手」と感じてしまうのか

映画を見ようとして、見慣れないモノクロ映画で少し戸惑っている女性です。

そもそも、なぜ白黒映画は苦手と感じてしまうのでしょうか。

主に次の3項目の要素があります。

  1. 見たことがないから怖い
  2. 白黒映画は教育で刷り込まれたイメージがあるから
  3. 暗くて情景や演技がわかりにくい

では、それぞれ見ていきましょう。

1.見たことがないから怖い

これはどんなジャンルでも似たようなことが言えますが。

白黒映画って、なんだか怖そう。そう感じたことがある人もいると思います。

「見たことがないもの」に対して怖いと感じるのは自然ですよね?

とくに今の若い世代は、映画といえばフルカラーで高画質、音もクリアで、にぎやかな映像があたりまえの中で育っています。

そんな中で、色がなくちょっと古い雰囲気のある白黒映画をいきなり観るとどうでしょう。

「なんだか暗いな」「この先どうなるんだろう」と不安に感じてしまうでしょう。

ときには

「音が小さかったり」

「セリフの間に長い沈黙があったり」

「背景や動きが少なかったり」

そんな白黒映画は、ふだん見ている映画とかなり違うように感じるかもしれません。「ちょっと不気味かも」「自分には合わないかも」と思ってしまうのはこういうところです。

アシスタント

良く知らないから怖さがあるんですね

2.白黒映画は教育で刷り込まれたイメージがあるから

この理由、意外に多いような気がします。

「白黒の映像って、なんだか暗くて怖い…」そう感じる理由のひとつ。

学校の授業で見たビデオの影響があるかもしれません。

多くの人は、小学校や中学校で戦争や災害について学ぶときに、古い白黒の映像を見せられた経験があると思います。

そのときの映像は、爆撃や焼け跡、人々の苦しむ姿など、重くて悲しい内容だったはずです。そうでないと、戦争の悲惨さの教育になりませんから。

白黒の映像を見ると、自然と「怖い」「つらい」という気持ちがよみがえってしまう原因の一つになっています。

「白黒=怖い内容」というイメージが、教育の中で知らず知らずのうちに結びつけられてきたから(刷り込まれてきた)かもしれません。

でも実は、白黒映画の中には、明るくておもしろい作品や、心があたたかくなるようなストーリーもたくさんあります。チャップリンのコメディ映画やラブストーリーなど、笑いや感動がいっぱいの作品も多いのです。

特に、1942年から1944年の「太平洋戦争」時のハリウッド映画は驚愕します。普通にコメディにラブストーリーがありますから。

古い=退屈、暗い=重い、と思われがちですが、現代の映画よりもストレートに気持ちを伝えてくれる作品も多いのです。

3.暗くて色の情報がないからわかりにくい

情報がないと不安….. ちょっと現代病かも。

白黒映画を観ていて、「ちょっと見づらいな」「何が起きてるのかわかりにくいな」と思ったことはありませんか? その理由のひとつは、画面に色がないからです。

ふだん私たちが見ている映画やテレビは、カラフルで、誰がどこにいるのか、何をしているのかがすぐにわかるようになっています。

赤い服を着た人、青い海、緑の草原など、色の情報で状況を読み取ることができます。

でも白黒映画には色がないので、「これは誰?」「今どこにいるの?」と、少し戸惑うことがあります。

さらに、古い映画は映像自体が少し暗かったり、画質がぼやけていたり、音が小さかったりすることもあるので、余計にわかりにくく感じてしまうのです。

それでも白黒映画ならではの「見せ方」があるのです。光と影で気持ちを表したり、登場人物の表情や動きや間の取り方でストーリーを伝えたりする工夫があります。

最初は難しく感じるかもしれませんが、少しずつ慣れていくと、「こういう表現のしかたもあるんだ」とおもしろさが見えてくるはずです。

アシスタント

白黒映画は、読み解く内容が多いです

参考:現代でも白黒映画が作られる理由

70年代からは完全にカラー全盛時代に移行しました。それでも、その後でも白黒映画は数多く作られています。

白黒映画というと、「昔の映画」というイメージがあるでしょう。

しかし、今でもあえて白黒で映画を作る監督はたくさんいます。

たとえば、有名な映画監督の中には、「光と影だけで表現することで、登場人物の気持ちが伝わりやすくなる」と考える人もいます。また、色がないことで、観る人の目が自然と表情や動きに集中するようになり、映画に深みが出るとも言われています。

最近の映画でも、あえてモノクロで作られた作品がけっこうあります。これらは古いからではなく、モノクロにすることでしか伝えられない雰囲気があるからです。

日本でも最近、『ゴジラ1,0』という話題の映画でモノクロ版が公開されています。

『パラサイト半地下の家族』も白黒版がありましたね。

色を使わないことで、そのシーンの特別な雰囲気や感情を表現しているのです。

アシスタント

白黒映画は、今でも「表現の選択肢」として使われているのですね

色がないからこそ伝わる、白黒映画の良さとは

屋外のイベントで、映画のすばらしさを一生懸命に伝えようとしている女性です。

それでは、白黒映画の知られざるメリットを見ていきましょう。

次の5点です。

  • 光と影で心情が伝わる
  • 役者の表情や仕草を感じやすい
  • 普段は白黒で見ないため、映画自体がファンタジー化する
  • 肌が綺麗に見える
  • 情報が少ないので、考える隙間を与えてくれる

では、それぞれ深掘りしていきましょう。

光と影で心情が伝わる

白黒映画の魅力は、ダントツはこれです。

白黒映画には、色はありません。

その代わりに、映画の中では「光」と「影」を使って、登場人物の気持ちや場面の雰囲気を伝えています。

たとえば、顔の半分だけに光が当たっているときは、その人が何かに迷っていたり、心の中に不安をかかえていたりすることがあります。逆に、明るい光に包まれている場面では、安心していたり、前向きな気持ちを表していることが多いです。

おともだち

白黒映画は、光と影の使い方が大切なんだね

あおい

見る人はセリフではなく、映像から気持ちを感じ取ることができるんですよ

白黒映画の中には、暗い場所や強い影を使って、緊張した雰囲気やドキドキするようなシーンをつくり出している作品もあります。

そうした工夫があるからこそ、色がなくても「今、この人はどんな気持ちなんだろう」と自然にわかってくるのです。

白黒映画は、少ない情報の中で、心の動きをていねいに描くことができる映画なのです。

役者の表情や仕草を感じやすい

白黒映画には色がないので、見る人の目は自然と登場人物の顔や動きに向かいます。

誰がどんな表情をしているのか、どんなふうにしゃべっているのかを、より注意して見るようになります。

ある人が何も言わずに下を向いたとき、「きっと今、かなしい気持ちなんだな」と想像できることがあります。セリフや大きな動きがなくても、気持ちが伝わってくるのが白黒映画です。

昔の映画では、今よりも表情や身ぶりで感情を伝える演技がよく使われていました。

おともだち

色がないから、人の気持ちをどうやって見せるかですね

あおい

白黒映画では、人の動きや顔の変化がはっきりと見えるんですよ

カラー映画だと、服の色や背景に目がいってしまうこともありますが、白黒映画では人の動きや顔の変化がはっきり見えます。だから、俳優のちょっとしたしぐさや目の動きに気づきやすくなるのです。

役者の演技の細かさにも気づくかもしれません。

普段はカラーで見ているため、映画自体がファンタジー化する

わたしたちがふだん見ている世界は、すべてがカラーです。テレビや映画、スマホの動画も、いろんな色があってにぎやかです。

白黒映画を見たときに「いつもとちがう」「なんだか不思議だな」と感じるのは、あたりまえのことです。

色がないことで夢の中にいるような、ファンタジーの世界に入ったような気分になります。

アシスタント

普段の生活では、白黒ではなくカラーで見えていますからね

今の映画は、色や音やスピードがとても多くて速いです。そのテンポに慣れてしまっていると、白黒映画は「ゆっくりすぎる」「なんとなく眠くなる」と感じるかもしれません。

そういう静かさが、心を落ち着けてくれる力になります。

色がないぶん、「光」や「影」や「形」や「動き」が目立つようになります。それもあって普段は気にしていなかったところに気づけることもあります。

今の時代でも、あえて白黒で映画を作る監督さんがいます。それは、「白黒にすることで伝えたいことがある」と思っているからです。

白黒映画には、カラーとはちがう深さや面白さがあります。

肌が綺麗に見える

あまり語られませんのであえて言わせてもらいます。女優さんとか妙に綺麗に見えると感じた人もいるでしょう。

白黒映画を観ていると、「なんだか肌がきれいに見えるな」と思うことがあります。

とくに女性の俳優さんの顔が、やわらかく、なめらかに見えることに気づいた人もいるかもしれません。でもそれは、女性にかぎったことではなく、男性の顔でも同じように感じることがあります。

その理由は、色がないぶん「光のあたり方」や「影の出方」が、肌の印象をより自然に、そして美しく見せてくれるからです。

カラー映画では、顔の赤みやテカリなどがそのまま映ってしまうこともありますが、白黒だとそうした部分が目立たず、やわらかく整った印象になります。

また、白黒だとコントラスト(明暗の差)が強くなるので、顔の輪郭や骨格がはっきりして、立体的に見えます。とくにほほや鼻筋などがくっきりと浮かび上がって、顔の”形”そのものが引き立つようになります。

今ではスマホのカメラアプリでも、モノクロフィルターを使うと顔が美しく見えることがありますよね。

アシスタント

このころの女優さん、みんな綺麗な肌に見えました

白黒の映像には「肌をきれいに見せる力」があるのです。

情報が少ない分、考える隙間を与えてくれる

最近の映画や動画は、カラフルで音もにぎやか、テンポもとても速いですよね。たくさんの情報が一気に流れてくるので、何も考えなくてもどんどん観られてしまうことがあります。

白黒映画はちがいます。

画面に出てくる情報が少なくて、色もなく、音も静かめなことが多いです。

「これはどういう意味なんだろう?」「この人は何を考えているんだろう?」と、自分の頭で考える時間が生まれます。

色や音で説明されるのではなく、セリフやしぐさ、表情や間の取り方などから気持ちを読みとることになるので、観る人によって感じ方がちがうこともあります。

アシスタント

表情や間の取り方、仕草で何が起こっているのかを感じ取らなきゃいけないのです

たくさんの情報があふれる現代の映画では気づかなかったことが、白黒映画でははっきりと見えてくることもあります。情報が少ないからこそ、想像力がふくらみ、心の中に物語が広がっていくのです。

白黒映画は、「観て終わり」ではなく、観たあとにも長く心に残る映画なのです。

白黒映画に苦手意識がある人におすすめの映画10選

森の中で、モノクロ映画を興味深そうに鑑賞している動物たちです。

白黒映画でもたくさんの名作映画が存在します。ここでは、純粋に白黒映画を全く見たことのない人という基準で、おすすめの映画をご案内します。

一番から順序良く鑑賞されることをおすすめします。基本的にベターな作品を並べていますので、これを10作品全部見たら、確実に次の映画を見たくなってくるでしょう。

白黒映画おすすめの映画、知らない人はこの順番で

とりあえずは、上から順番に、これを網羅すると白黒映画のすばらしさがわかってくるはずです。

次の10本です。

  1. ローマの休日
  2. 素晴らしき哉、人生!
  3. サイコ
  4. 十二人の怒れる男
  5. お熱いのがお好き
  6. 第三の男
  7. ナイト・オブ・ザ・リビングデッド
  8. 波止場
  9. 駅馬車

1.ローマの休日

1953年製作/118分/G/アメリカ
原題または英題:Roman Holiday
配給:TCエンタテインメント

その他の公開日:1954年4月27日(日本初公開)

監督:ウイリアム・ワイラー

画像引用元:映画.com

王女と新聞記者のひとときの恋を描いたラブストーリーです。
オードリー・ヘプバーンのかわいらしさと、白黒映像のやわらかい雰囲気。初心者にぴったりです。名作映画としてはダントツの人気と知名度です。

個人的にはウイリアム・ワイラーの作品はもっと名作あるでしょ?という気持ちもありますが、とりあえず知名度が高いものを優先させています。

ところで、ラストの有名な「記者会見」のシーンですが、あの意味がわからないという人が最近は多いようで、その話を聞いて目が点になりました。

今の映画もドラマ、テレビ地上波、YouTube配信でも、今の気持ちや何が起きているのかをセリフやテロップで説明してくれます。

一方、当時の映画はそういった説明はありません。言葉で何も話されず、二人の目線や沈黙だけて終わります。そのため「あれ?どういうこと?」と戸惑う人が多いのです。

あの記者会見のシーンを簡単に言うとこうなります。

「最後のシーンは、お互いに“もう二度と会えない”と分かっているけど、言葉では一切それを言わない。
その代わりに、目線や姿勢、沈黙で(ありがとう)や(さようなら)を伝えてるんです。」

この映画に限らず、もともと映画の主流は「説明しないことで美しさを出す」ことが見どころです。

現代のわかりやすいコンテンツばかりを観ている人にとっては、“感じ取る力”を育てる練習になるとも言えます。

このローマの休日の話を聞くと、

映画は感受性を育てるうえでは絶対に必要な媒体だとつくづく感じさせられます。

2.素晴らしき哉、人生!

1946年製作/130分/G/アメリカ
原題または英題:It’s a Wonderful Life
劇場公開日:1954年2月6日

監督:フランク・キャプラ

画像引用元:映画.com

人生に絶望した男が、自分の存在の意味に気づいていく感動の物語です。

アメリカに行って、この映画を知らないという人を探すのは大変だと言われるくらいの知名度の高い映画です。特にクリスマスシーズンには毎年テレビ放送される定番で、世代が変わっても知名度は抜群です。

SF風ファンタジーで、演出は古臭くてもなぜか感動してしまいます。

ストーリーがわかりやすく、感情にも寄り添ってくれるので、白黒映画が初めての人にぴったりです。

3.サイコ

1960年製作/109分/アメリカ
原題または英題:Psycho
配給:パラマウント
劇場公開日:1960年9月17日

監督:アルフレッド・ヒッチコック

画像引用元:映画.com

アルフレッド・ヒッチコック監督によるサスペンス映画の名作です。正直ヒッチコック作品はもっと他にあるのでは?というのもありますが、白黒映画での知名度はこれが一番でしょう。

白黒映像が不安や緊張感をより強く演出しており、色がないことがかえって怖さを引き立てています。
展開が早く、現代の映画に慣れた人でもぐいぐい引き込まれるストーリーです。
「白黒映画は退屈」というイメージはまずなくなるはずです。

序盤の車に乗っているシーンからやられるはずです。

4.十二人の怒れる男

1957年製作/96分/G/アメリカ
原題または英題:12 Angry Men
劇場公開日:1959年

監督:シドニー・ルメット

画像引用元:映画.com

ある殺人事件の裁判で、陪審員たちが“被告は本当に有罪なのか”を議論する物語です。

ほぼ一つの部屋の中だけで進む会話劇ですが、登場人物たちの意見のぶつかり合いがとてもスリリングに感じますよね。

白黒映像によって人物の表情や心理の変化が強調され、言葉の重みがより深く伝わってきます。

「正しさとは何か?」というテーマが心に残る、日本の映画ファンの間でも高い人気度を誇ります。

5.お熱いのがお好き

1959年製作/121分/G/アメリカ
原題または英題:Some Like It Hot
劇場公開日:1959年4月29日

監督:ビリー・ワイルダー

画像引用元:映画.com

マフィアに追われた男ふたりが女装してバンドにまぎれこむという、ドタバタコメディ映画です。

マリリン・モンローの魅力あふれる演技と、テンポの良い会話やギャグが詰まっていて、白黒映画なのにとても明るく楽しい作品です。

色がないことで、逆に演技やセリフの面白さが際立ち、時代を超えて笑える名作として愛されています。
「白黒映画は重そう」というイメージを変えてくれる、初心者にもぴったりな一本です。

6.第三の男

1949年製作/105分/G/イギリス
原題または英題:The Third Man
配給:モービー・ディック
劇場公開日:2020年8月21日

その他の公開日:1952年9月16日(日本初公開)

監督:キャロル・リード

画像引用元:映画.com

第二次世界大戦後のウィーンを舞台に、失踪した友人の謎を追う男の物語です。モノクロの映像が荒れた街の雰囲気をリアルに伝え、サスペンスと詩的な美しさが見事に融合しています。

特に、斜めに傾いたカメラワークや印象的な音楽、そして衝撃的なラストシーンは、今も語り継がれる名場面です。

アシスタント

BGMはあのビールのCMの!

白黒だからこそ生まれる緊張感と空気の重みが、この映画を特別な一本にしています。初めてのサスペンス系白黒映画としておすすめです。

7.道

1954年製作/108分/イタリア
原題または英題:La strada
配給:コピアポア・フィルム
劇場公開日:2020年8月3日

その他の公開日:1957年5月25日(日本初公開)

監督:フェデリコ・フェリーニ

画像引用元:映画.com

旅芸人の男と心やさしい少女の切ない関係を描いた、イタリアの名作映画です。

言葉ではうまく説明できない感情のゆれを、白黒映像の静けさと表情で丁寧に伝えてくれます。
シンプルな物語ながら、人の孤独やつながりについて深く考えさせられます。
色がないぶん、登場人物のしぐさや心の変化がよく伝わり、余韻が長く残ります。
白黒映画の魅力をしっかり感じられる、感動できる作品です。

あと地味ながら、むさ苦しく感じる街の情景の数々も見どころです。

8.ナイト・オブ・ザ・リビングデッド

1968年製作/96分/G/アメリカ
原題または英題:Night of the Living Dead
配給:アンプラグド
劇場公開日:2022年6月17日

監督:ジョージ・A・ロメロ

画像引用元:映画.com

ゾンビ映画の原点とも言われるホラー作品です。ある農家に立てこもった人々が、次々と襲いかかる“生ける死者”たちから必死に身を守る姿を描きます。
白黒映像が不気味な雰囲気を強調し、むしろカラーよりも怖さが増しています。
低予算ながら、社会的なメッセージや衝撃的な結末が高く評価され、今なお語り継がれる名作です。
「白黒でも怖い映画は成立する」と教えてくれる、ホラー好きにおすすめの一本です。

『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』は、それまでのゾンビのイメージを大きく変えた映画です。

それまでゾンビといえば、呪いや魔術で操られる存在でしたが、この映画では**「死者がよみがえり、人間を襲う」というルール**が初めて明確に描かれました。

「噛まれると感染する」「集団でゆっくり近づいてくる」といった、現代のゾンビ作品に見られる定番の設定も、この作品が始まりです。

低予算ながらリアルな恐怖と社会的なメッセージもあり、ホラー映画だけでなく、ポップカルチャー全体に大きな影響を与えました。

おともだち

ゾンビ映画の面白さを思いっきり味わえます

9.波止場

1954年製作/108分/アメリカ
原題または英題:On the Waterfront
配給:コロムビア映画会社
劇場公開日:1954年6月22日

監督:エリア・カザン

画像引用元:ソニー・ピクチャーズ公式

港湾労働者として生きる男が、不正や暴力に立ち向かう姿を描いたヒューマンドラマです。主演はマーロン・ブランド。
不器用ながらも正義を貫こうとする主人公の姿が、多くの人の心を打ちました。
白黒映像だからこそ、労働現場の空気感や、登場人物の苦しみや決意がリアルに伝わってきます。

セリフでは語られない感情が、表情や沈黙からじわりと伝わる、まさに白黒映画の強みを感じられる作品です。

主演のマーロン・ブランドはアメリカでは絶大な人気。日本だとゴッドファーザーや地獄の黙示録しか知らない人も多いです。

でも、マーロン・ブランド知ってて波止場を知らないのは、鳥山明はドラゴンボールは知っているけどDr.スランプは知らない!って言っているようなもの。

10.駅馬車

1939年製作/99分/アメリカ
原題または英題:Stagecoach
配給:マーメイドフィルム
劇場公開日:2014年9月27日

監督:ジョン・フォード

その他の公開日:1940年6月19日(日本初公開)

画像引用元:映画.com

さまざまな事情を抱えた人々が乗り合わせた駅馬車の旅を通して、人間ドラマが展開していく西部劇の名作です。

西部劇の王道スタイルを確立したとされる作品で、ジャンルに興味がない人でも物語に引き込まれます。
広大な自然を背景にした白黒の映像は美しく、人物の感情の動きも丁寧に描かれています。
「白黒=地味」というイメージをくつがえす、力強く王道な一本です。

アパッチ族との追いかけっこシーンは、カーチェイスの原点ともいえるほどの名場面です。

ほかに「カサブランカ」や「市民ケーン」が入っていないじゃないか!なんていう声も聞こえそうですが、とりあえず白黒映画に馴染めそうなものとしているのでこんな感じで。

日本映画や現代の白黒映画

画像引用元:映画.com

日本にも、世界に誇れる白黒映画の名作がたくさんあります。たとえば『東京物語』『生きる』『砂の女』などは、静かな映像の中に深い感情が込められています。白黒だからこそ、日本人の繊細な心の動きや空気感が美しく表現されているのです。色がない分、言葉や表情の重みがより強く伝わってきます。日本映画の白黒作品には、“静けさの中にある強さ”があります。

以下、日本映画での白黒映画の代表的なものを挙げました。有名な監督ばかりですので、ぜひほかに派生していってください。

■ 東京物語(1953年/小津安二郎)

年老いた夫婦が上京し、子どもたちの冷たい対応に静かに向き合う姿を描いた作品。
家族のすれ違いや孤独を、淡々とした演出と白黒映像で丁寧に表現しています。


■ 生きる(1952年/黒澤明)

余命を宣告された市役所職員が「何のために生きるか」を見つめ直す感動作。
白黒だからこそ、主人公の表情や静かな決意が心に強く残ります。


■ 山椒大夫(1954年/溝口健二)

平安時代、母と子が引き裂かれ、それぞれ苦しみに耐えながら生き抜く物語。
モノクロの映像が、残酷さと美しさの対比を際立たせています。

アシスタント

ラストの湖のシーンは、あまりにも美しく強烈で、しばらく動けなくなるかもしれません

あおい

溝口健二の作品はどれも強烈です


■ 砂の女(1964年/勅使河原宏)

砂の中の家に閉じ込められた男と謎の女の、奇妙な関係を描くサスペンス。
白黒映像が砂の重さや息苦しさを見事に表現し、独特の世界観をつくっています。


■ 東京オリンピック(1965年/市川崑)

1964年の東京五輪を記録したドキュメンタリー映画。
ただの記録ではなく、選手の動きや一瞬の表情を芸術的に切り取った白黒映像が印象的です。

今でも白黒映画は作られています!おすすめはこれ

画像引用元:映画.com

「白黒映画=昔のもの」と思われがちですが、実は今でもモノクロ映画は作られています。

色がないことで光や構図、感情表現に集中できるため、あえて白黒を選ぶ監督も多くいます。
モノクロは“古い”ではなく、“表現のひとつ”として、今も生き続けているのです。

最近の話題作をちょっとだけ紹介します。

■ ROMA/ローマ(2018年/アルフォンソ・キュアロン)

メキシコのある家庭で働く家政婦の視点から、1970年代の社会と家族の変化を描いた作品。
美しいモノクロ映像と静かな語り口で、多くの映画賞を受賞。

Netflixオリジナルとして話題に。


■ Mank/マンク(2020年/デヴィッド・フィンチャー)

名作『市民ケーン』の脚本家ハーマン・J・マンキーウィッツの人生を描く伝記ドラマ。
クラシックなモノクロ映像で当時のハリウッドを再現し、アカデミー賞でも高評価を受けました。


■ COLD WAR あの歌、2つの心(2018年/パヴェウ・パヴリコフスキ)

冷戦時代のポーランドを舞台に、音楽家と歌手の切ない恋を描いたモノクロ恋愛ドラマ。
映像美と音楽の融合が印象的で、カンヌ映画祭で監督賞を受賞。

アシスタント

日本でもゴジラ-1.0がモノクロ版が公開されたり、徐々にレンジが広がっている印象です

白黒映画は怖い!つまらない!わからない!は幻想だった

少年二人で、一人が何かを自慢げに話しています。白黒映画の良さを話しているのでしょうか?

こうしてみると、白黒映画は感動作もコメディも、今と変わらないほどのバラエティに富んでいることがわかります。

しかも、わたしももしベスト映画は?と聞かれたら、たぶん半分くらいは白黒映画になってしまうかもしれません。

見る前のハードルがある 0→1の苦痛

白黒映画って、観る前に「難しそう」「古そう」「なんか怖いかも」と思ってしまうことがありますよね。特に初めての人にとっては、「そもそも最後まで観られるかな?」と不安になることもあるかもしれません。

これは、白黒映画そのものが難しいというよりも、「よく知らないものに対して、一歩目を踏み出すのがこわい」という気持ちからくるものです。

やったことのないスポーツを始める前や、初めての場所に行くときにドキドキするのと同じです。

実際に白黒映画を観てみると、

「思ったよりも見やすい」

「ストーリーがシンプルでわかりやすい」

「感情がすっと入ってきた」

と感じる人がとても多いです。上記の10作品はそんな要素が充分にあります。

いったん見始めてしまえば、むしろカラー映画よりも心に残る作品もたくさんあります。

体験がないが故のイメージだけでの感情

「白黒映画ってなんだか苦手…」そう感じてしまう理由のひとつは、まだ一度も観たことがないから、という場合が多いです。

人は、よく知らないものに対して不安や抵抗を感じやすい生きものです。たとえば、行ったことのない場所に行く前や、初めての授業を受けるときも、なんとなく緊張しますよね。

白黒映画に対する「苦手」という気持ちもよく似ているのです。

おともだち

モノクロ写真はレトロでおしゃれに感じることが多いですよね

インスタグラムなどでモノクロフィルターを使った写真を見かけることもありますよね。それと同じように、白黒映画も、一度観てみると「思っていたよりずっと見やすい」と感じることがあります。

つまり、「苦手」と思っている気持ちの多くは、まだ観ていないからこその思い込みかもしれません。

最初の一歩を踏み出すだけで、新しい世界が開けるかもしれません。

初めての白黒映画、ぜひ挑戦してみてください。

『昔』という概念を捨ててみよう

白黒映画というと、「昔の作品」「時代が古い」といったイメージがあるかもしれません。

たしかに、1940年代や50年代に作られた映画は多いですが、それだけで「自分には合わない」「古くてつまらない」と思ってしまうのはもったいない話です。

白黒映画には今の時代にも通じるテーマや、心にしみるストーリーがたくさんあります。

友情や恋愛、家族の絆、夢に向かって頑張る姿など、人の気持ちや悩み、よろこびや悲しみは、いつの時代もあまり変わらないのです。

おてつだいさん

「昔の映画だから退屈そう」という概念は捨てたほうがいいですね

最近でも、あえて白黒で撮影される映画があります。それは白黒ならではの表現力があるからです。”昔だから”ではなく、”今だからこそ心に届く映画”がきっと見つかるはずです。

白黒映画の苦手意識が消える まとめ

モノクロ映画を鑑賞して、物語に感動している女性です。

この記事では、白黒映画が苦手だという人のために、すんなりと白黒映画に入っていける基本的な入り口をお伝えしました。

この記事ではこんなことをお伝えしました。

  • 白黒映画が苦手だと感じる理由は、先入観によるものが多い
  • 実は白黒映画には、光と影、表情、余白など独自の魅力がたくさんあります
  • 初心者でも観やすい白黒映画がたくさんあります
  • 今でもモノクロ映画が作られていて、色ではなく「表現」として制作されています

わたしも苦手なジャンルはありました。誰しもが、苦手なものはあります。

白黒映画は普段見る機会がないだけに、抵抗もあるという人も多かったと思います。しかし映画においては、白黒映画の作品がいつまでも印象に残っているというケースも少なくありません。

「なんとなく苦手…」と思っていた白黒映画が、少しでも気になる存在になればうれしいです。

かんとくさん

白黒映画を見ると、心がカラフルになるぞ!

あおい

うまくまとめましたね

こちらの『死ぬまでに観たい映画1001本』のリストにも、白黒映画がたくさん掲載されています。上記に紹介された作品以外にも、本当は紹介したい作品がたくさんあります。

キリがないのでここでは割愛しますが、このリストは素晴らしいものです。

こちらのほうはベスト100で、さらに探しやすいかも。

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この記事を書いた人

映画は人生の羅針盤を使うための大きなツールの一つです。
いい映画を紹介するというだけではなく、人生の考え方や人間関係などの悩みなどでお役に立てればと思っています。
映画はあなたの人生に必ず役に立てる時がありますので、いっしょに解決していきましょう。

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