『死ぬまでに観たい映画1001本』の各作品の概要80年代から全部あります1980年代リスト(前半)

『死ぬまでに観たい映画1001本』1980年代リスト(前編)

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この記事では、『死ぬまでに観たい映画1001本』全リスト作品の概要を簡単に説明しています。

全部は紹介しきれないので年代別に分けています。

ここでは、1980年代前半の、1980年から1984年までの作品を紹介します。

かんとくさん

今日も映画を見るぞ

あおい

いいですねえ

各映画の概要は簡潔に紹介しています。考察はほとんど書いていません。考察よりも、まずは感覚を楽しんでいただき、次にあなたの心を動かしてもらいたいのです。

人生の岐路において、役立つ映画がここでもわんさかと掲載されています。

興味がある作品はどんどん鑑賞していきましょう。そして次の興味をひきだして、映画ライフを充実させていきましょう。

かんとくさん

今の映画に影響を与えたものも多いねえ

記事を順番に見ていくと長くなるので、こちらの一覧リストから見ていただくといいですよ。

あおい

このリストの作品名から概要の記事に飛べます

目次

1980年

1980年を象徴するイメージ画像で、明るく前向きな気持ちになれるようにしました。

普通の人々

画像引用元:映画.com

(NO.0682)

監督:ロバート・レッドフォード

124分/アメリカ
原題または英題:Ordinary People

配信:パラマウント映画

アメリカの家族を描いた人間ドラマです。アメリカ郊外の裕福で一見幸せそうな家族が、長男をボート事故で失ったことをきっかけに深刻な問題を抱えるようになります。生き残った次男のコンラッドは兄を救えなかった罪悪感と深い悲しみに苦しみ、母親のベスは感情を抑え込んで息子から距離を置くようになります。父親のカルヴィンは家族の絆を取り戻そうと努力しますが、それぞれの心の傷は簡単には癒えません。

アカデミー賞では作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞の4部門を受賞しました。表面的な幸せの裏に隠された家族の深い傷を繊細に描かれています。自分の家族の姿を見ているようで胸が痛くても、同時に癒しも得られるような作品です。

派手な出来事や大きなドラマではなく、日常生活の中での微細な心の動きを丁寧に描いた演出が印象的です。

母と息子の間の冷たい距離感や、父親が静かに家族を見守りながら悩む姿に心をうたれます。コンラッドがセラピストとのカウンセリングを通して徐々に心を開いていく過程も面白いですね。

どんなに完璧に見える家族でも、それぞれが深い悩みや傷を抱えているということを学んでいきましょう。

人は自分の弱さや痛みを受け入れ、他者と真摯に向き合うことによってのみ、本当の癒しと成長を得られることを伝えてくれる、家族再生のお話しです。

スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0683)

監督:アーヴィン・カーシュナー

124分/アメリカ
原題または英題:Star Wars: Episode V – The Empire Strikes Back
配給:20世紀フォックス映画

スター・ウォーズシリーズの第2作目です。前作『新たなる希望』でデス・スターを破壊した反乱軍でしたが、帝国軍の激しい反撃を受けて苦しい戦いを強いられます。主人公のルーク・スカイウォーカーは、伝説のジェダイ・マスターであるヨーダのもとでフォースの修行を積み、より強いジェダイになろうと努力します。一方、ハン・ソロとレイア姫の恋愛関係も発展し、仲間たちの絆は深まっていきます。しかし、物語のクライマックスでルークとダース・ベイダーが対決した時、衝撃的な真実が明らかになります。

スター・ウォーズシリーズの中でも最高傑作と語る人も多いです。単なる続編ではなく、壮大な物語がさらに深化していて、キャラクターの成長とドラマ性が見事に描かれています。

特にダース・ベイダーの正体が明かされるシーンは、映画史上最も衝撃的な場面の一つとして語り継がれていますね。

壮大な宇宙戦争の迫力と、登場人物たちの心の成長を同時に楽しめる点が魅力的です。

氷の惑星ホスでの戦闘シーン、雲の都市クラウド・シティでの裏切り、ヨーダによる貴重な教えなど、印象的な場面が数多く登場します。特に、ルークとベイダーの光の剣による決闘は、単なるアクションシーンを超えて、父と子の複雑な関係を描いており、感動作でもあります。

この映画は「困難な状況こそが人を本当に成長させる」ことを教えてくれます。

ルークは挫折や失敗を通して強くなり、仲間たちも試練を乗り越えることで絆を深めます。勝利よりも苦しい経験の方が、人を真の意味で強くしてくれるという大切なメッセージを伝えてくれるのです。

アトランティック・シティ

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0684)

監督:ルイ・マル

104分/アメリカ・カナダ・フランス
原題または英題:Atlantic City, U.S.A.
配給:シネセゾン

カジノで有名なアトランティック・シティを舞台に、人生の終盤を迎えた初老の男性ルイと、新しい人生を求めて都会にやってきた若い女性サリーの心の交流を描いています。ルイはかつては裏社会で名前を知られた存在でしたが、今では小さなアパートで寂しく暮らしています。偶然の出来事により二人の運命が交差し、お互いの孤独感や夢について語り合う中で、深い絆が生まれていく物語です。

衰退していく街を背景に、人間の孤独と希望を美しく描いています。年齢や境遇の異なる二人が、それぞれの過去や夢について語り合い、心を通わせていく過程は見どころの一つ。

再開発によって変化していくアトランティック・シティの街並みが、登場人物たちの心の変化と重なり合い、これがリアリティに感じます。

人生のどの段階でも、新しい意味や希望を見つけることができることを考えます。

過去の失敗や挫折に縛られていても、他者との出会いや新しい経験によって人生に再び光を見出すことができる、という希望に満ちたメッセージ。

年配の男性と女性の交流のありかた、日本だと「気持ち悪い」と敬遠されがちで、実際に難しく考える男性も多いのではないでしょうか?海外のこういう映画を見ることで、少しでもヒントを得ていただきたいと思います。

終電車

画像引用元:映画.com

(NO.0685)

監督:フランソワ・トリュフォー

131分/G/フランス
原題または英題:Le dernier metro
配給:KADOKAWA

第二次世界大戦中のパリを舞台にしたヒューマンドラマです。ナチスドイツがフランスを占領していた1942年、パリのモンマルトル劇場を経営する女優マリオンは、ユダヤ人である夫ルーカスを劇場の地下室に隠しながら、演劇活動を続けています。新しく劇団に加わった俳優ベルナールと共に舞台公演を成功させようと努力しますが、常にナチスに発見される恐怖と隣り合わせの日々を送っています。舞台の華やかさと現実の厳しさが対比されながら、人間の勇気と希望が描かれています。

緊張感と感動が同時に味わえるような印象で、心を揺さぶられる場面も多くあります。

舞台裏での緊張感と、観客の前で行われる華やかな演技の対比が印象的です。

表面では美しい舞台が繰り広げられていますが、裏では命をかけた秘密が守られているというドラマチックな構成になっています。特に、ドヌーヴとドパルデューが舞台上で交わす視線や仕草には、愛情と危険が込められており、映画全体が一つの演劇のように構成されています。

どんなに困難で危険な状況でも、人は芸術と愛情によって希望を保ち続けることができることを教わるでしょう。恐怖や不安に押し潰されそうになっても、舞台を守り続ける人々の姿は、人間の誇りと強さを象徴しているのです。

シャイニング

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0686)

監督:スタンリー・キューブリック

119分/アメリカ
原題または英題:The Shining
配給:ワーナー・ブラザース映画

スティーヴン・キングの小説を映画化した心理ホラーの傑作です。作家志望のジャックが、冬の間は雪で閉ざされる山奥のホテルの管理人として、妻ウェンディと息子ダニーと共に滞在することになります。しかし、長い孤独と過去にホテルで起きた悲劇的な事件の影響により、ジャックの精神状態は次第に不安定になっていきます。一方、息子のダニーには「シャイニング」と呼ばれる超能力があり、ホテルに潜む恐ろしい秘密を感じ取ってしまいます。

公開当初は賛否両論だったものの、現在ではホラー映画史上でも傑作と再評価されています。不気味な映像美と圧倒的な心理的緊張感、恐怖を芸術的に表現されるのを見ているだけでドキッとします。

ジャック・ニコルソンの狂気を演じた演技は映画史に残る名演ともいわれ映画ファンでもよく知られています。

単なるホラー映画を超えて、芸術作品のように緻密に構築された映像美が印象的です。

左右対称の構図や長回しの撮影技法、印象的な音楽で言葉では表現できない不安感を与えます。赤い絨毯の長い廊下や双子の少女の幻影など、強烈な視覚イメージが数多く登場します。家族の絆の崩壊と人間の孤独感、そして精神的な病気が同時進行で描かれる恐怖感が、記憶に残る特別な作品と言われます。

人間にとって最も恐ろしいものは外部の怪物ではなく、自分の心の中に潜む暗い部分であることを感じとってください。

孤独や重圧、精神的なストレスが人間の理性をどのように破壊するかを描き、人間の心の脆さと危険性について考えさせてくれる、ホラーというジャンルを通じて人間心理を探求しているのです。

エレファント・マン

画像引用元:映画.com

(NO.0687)

監督:デヴィッド・リンチ

124分/G/アメリカ・イギリス
原題または英題:The Elephant Man
配給:アンプラグド

実在の人物ジョゼフ・メリックという人を描いたヒューマンドラマです。19世紀のロンドンを舞台に、重い病気のため顔や体が大きく変形してしまった、作中ではジョン・メリックという男性の物語です。彼は「エレファント・マン」と呼ばれて見世物小屋で人々の好奇の目にさらされていましたが、心優しい医師トリーヴズに救われ、初めて人間らしい生活を送ることができるようになります。メリックの知性や優しい心に触れた人々は、外見に隠された彼の人間としての尊厳に気づいていきます。

デヴィッド・リンチ監督の異色にして傑作であり、白黒映像の美しさが感情を際立たせています。涙なしには観られないという声が世界中から寄せられ、時代を超えて愛され続けている作品です。

幻想的な表現とリアリズムが見事に融合した白黒映像の美しさが印象的です。19世紀ロンドンの陰鬱な雰囲気とメリックの孤独感が鮮やかに描かれています。ジョン・ハートの繊細で心に響く演技とアンソニー・ホプキンスの誠実な演技により、観客の心を強く揺さぶります。

特に「私は人間です!」という名台詞は、人間の尊厳を訴えるメッセージとして心に刻まれます。

「人間の価値は外見ではなく、その人の心によって決まる」という重要なメッセージ!

差別や偏見に直面しても、人間としての尊厳は誰にも奪われることはありません。他者を見る時の先入観や偏見について深く考えさせられ、すべての人間が持つ尊厳の大切さを教えてくれるでしょう。

最前線物語

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0688)

監督:サミュエル・フラー

113分/アメリカ
原題または英題:The Big Red One
配給:日本ヘラルド映画

監督自身の従軍体験をもとにした戦争映画です。第二次世界大戦中のアメリカ陸軍第1歩兵師団の兵士たちを描いた作品で、ベテラン軍曹に率いられた若い兵士4人が主人公です。彼らは北アフリカ戦線からシチリア島、ノルマンディー上陸作戦、そしてドイツの強制収容所解放まで、ヨーロッパ各地の激しい戦場を転戦します。戦争を英雄的に描くのではなく、普通の兵士たちが戦場でどのように生き抜いたかを、リアルで淡々とした視点で描いています。

公開当初は派手さに欠けるという理由で賛否両論でしたが、後年になって戦争映画の傑作として再評価され、現在ではそのリアリズムと誠実な描写が高く支持されています。

戦場をスペクタクルとして派手に描くのではなく、日常生活の延長線上に突然死や暴力が現れる様子を淡々と描いた演出が印象的です。若い兵士たちが恐怖と向き合いながら成長していく姿は心に残ります。壮大な戦争の歴史の裏側に、一人ひとりの兵士の小さな人間ドラマがあることを忘れさせない構成も魅力的です。

戦争の英雄とは特別な超人ではなく、極限状況を生き抜いた普通の人間であるということです。

どんなに困難な状況でも、人は恐れや不安を抱きながらも仲間を支え合って生き続けようとする、その強さと人間らしさを伝えてくれるという戦争映画なのです。

ルル(Loulou)

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0689)

監督:モーリス・ピアラ

101分/フランス
原題または英題:Loulou

日本公開情報なし

愛と自由をテーマにした大人向けの人間ドラマです。中流階級の夫と安定した結婚生活を送っているニニは、日々の生活に息苦しさを感じていました。そんな時、無職で自由奔放な男性ルルと出会い、強く惹かれるようになります。ニニは安定した生活を捨ててルルとの情熱的で破滅的な関係に身を投じますが、その選択は彼女に予想以上の複雑な感情と困難をもたらします。安定と自由、理性と情熱の間で揺れ動く女性の心を描いた作品です。

生々しくつらい描写もあるものの、目が離せないシーンが多く、愛の持つ破壊力を感じます。強烈な印象を残す映画となるでしょう。

フランス映画界を代表する二人の名優による、愛と欲望のぶつかり合いが圧巻です。特にイザベル・ユペールの演技は、社会的な制約から解放された女性の矛盾した心理を繊細に表現しており印象的です。安定した生活を捨ててまで求める自由が本当に幸福につながるのかという問いが伝わってきます。

愛や情熱は必ずしも人を幸せにするとは限らず、時として破滅的な結果をもたらすこともあることを思い知らされます。

人生の重要な選択をする際には、感情だけでなく冷静な判断も必要で、よく考えさせられます。恋愛の甘美さと同時に、その持つリスクについても考えることになるでしょう。

レイジング・ブル

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0690)

監督:マーティン・スコセッシ

129分/アメリカ
原題または英題:Raging Bull

配給:ユナイテッド・アーティスツ

実在のボクサー、ジェイク・ラモッタの人生を描いた伝記映画です。ロバート・デ・ニーロが主演を務め、ニューヨークの下町出身で激しい闘争心を持つラモッタが、ボクシングのリングでは勝利を重ねて成功を掴む一方で、嫉妬深く暴力的な性格のために家族や友人との関係を次々と壊していく姿が描かれています。栄光と孤独という相反する要素を通して、一人の男性の複雑な人間性を深く掘り下げた作品です。

アカデミー賞ではロバート・デ・ニーロが主演男優賞を受賞し、編集賞も受賞しました。デ・ニーロの圧倒的な演技とスコセッシ監督の鋭い演出が融合した映画芸術の頂点でもあり、スポーツ映画の枠を超えて人間の光と影を描いた作品でもあります。

ロバート・デ・ニーロの役への完全な没入ぶりが印象的で、現役時代の筋肉質な体型から晩年の太った体型まで演じ分けました。モノクロ映像で撮影されたボクシングシーンは詩的でありながら生々しく、強烈な印象を残します。成功の頂点にいながらも自らの行動によって全てを失っていく主人公の姿が痛々しくもあります。

人生最大の敵は他人ではなく、自分自身の心の闇であるということでしょうか。

どんなに才能があり成功を収めても、嫉妬や怒りといった負の感情に支配されれば、大切なものを全て失ってしまいます。感情をコントロールし、周囲の人々を大切にすることの重要性を伝えてくれる作品でもあるのです。

フライングハイ

画像引用元:映画.com

(NO.0691)

監督:ジム・エイブラハムズ、デヴィッド・ザッカー、ジェリー・ザッカー

88分/アメリカ
原題または英題:Airplane!
配給:パラマウント映画=CIC

原題は「Airplane!」で、後の多くのコメディ映画に大きな影響を与えた作品です。物語は、食中毒で操縦士たちが次々と倒れてしまった旅客機を舞台に、飛行機に対してトラウマを持つ元軍人のテッドが、恋人や乗客を救うために操縦を引き受けるというものです。しかし、真面目な設定は表面だけで、実際には災害映画のパロディとして、ひたすら笑いを追求したナンセンス・コメディとなっています。

コメディ映画の傑作とも言われます。映画パロディの新時代を切り開いた金字塔的作品でもあり、公開から40年以上経った現在でも多くの人に愛され続けています。

災害映画を徹底的にパロディ化したスタイルで、真面目な俳優たちが大真面目にばかばかしい状況を演じることから生まれる笑いが最大の魅力です。

レスリー・ニールセンをはじめとする出演者たちが「真顔でボケる」演技を徹底しているため、ユーモアがより効果的に際立っています。台詞の掛け合いから背景の小道具まで、画面の隅々まで笑いのネタが仕込まれています。

どんなに深刻な状況でも、笑いの視点を持てば世界は全く違って見えることでしょう。

人生で直面する不安やプレッシャーも、ユーモアを通して見ることで受け止め方が変わることを示しています。笑いの力が大切で、困難な状況を乗り越える助けになることを感じられる名作コメディです。

1981年

1981年を象徴するイメージ画像で、前向きな気持ちになれるようにしました。

狼男アメリカン

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0692)

監督:ジョン・ランディス

97分/アメリカ・イギリス
原題または英題:An American Werewolf in London
配給:日本ヘラルド

ホラーとコメディが巧妙に組み合わされた映画です。アメリカ人の大学生デヴィッドとジャックがイギリス旅行中、ヨークシャーの荒野で謎の狼のような生き物に襲われます。ジャックは命を落としますが、デヴィッドは一命を取り留めてロンドンの病院で治療を受けます。しかし、回復した彼は満月の夜になると狼男に変身してしまう運命にあることを知ります。死んだはずの親友ジャックがゾンビの姿で現れ、デヴィッドに自殺するよう迫るなど、現実と悪夢が交錯する恐怖の日々が始まります。

リック・ベイカーが手がけた狼男への変身シーンは当時としては画期的で、この作品での功績によりアカデミー賞に新設された第1回メイクアップ賞を受賞しました。恐ろしいけれど笑える独特な体験を感じられるでしょう。

ホラー映画としての恐怖とブラックユーモアが絶妙にバランスされた構成が魅力的です。デヴィッドが腐敗していく親友ジャックのゾンビと会話するシーンや、夢と現実が入り混じる幻想的な映像表現は、単純な怪物映画を超えた独特の世界観があります。ロンドンの地下鉄駅での狼男による襲撃シーンは緊張感がありますね。

人間の内面に潜む制御できない衝動や本能と、それに苦しむ人間の姿を感じるでしょう。

善良な青年が自分の意志に反して怪物に変わってしまう悲劇は、私たち誰もが持つ理性と本能の葛藤を象徴的に表現しており、自分自身の感情や欲望をコントロールすることを感じとってください。

ディーバ

画像引用元:映画.com

(NO.0693)

監督:ジャン=ジャック・ベネックス

117分/G/フランス
原題または英題:Diva
配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム

1980年代のフランス映画に新しい風をもたらしたスタイリッシュなサスペンス映画です。主人公は郵便配達員として働くジュールという青年で、彼は美しいオペラ歌手シンシア・ホーキンスに強く憧れています。ある日、ジュールは彼女のコンサートを密かに録音しますが、その後偶然の事故により、彼のテープが犯罪組織に関わる重要な証拠テープと取り違えられてしまいます。このことから彼は危険な事件に巻き込まれ、命を狙われるようになってしまいます。

1980年代フランス映画の代表的作品とも言われます。芸術性と娯楽性のバランスが完璧で、映像の美しさに魅了されることでしょう。特にオペラと現代的な映像表現を組み合わせた斬新なアプローチは、後の多くの映画作家に大きな影響を与えています。

青や赤を基調とした鮮やかで美しい色彩と、パリの都会的な雰囲気を捉えた映像美が印象的です。ジュールが憧れの歌手の部屋や舞台を見つめるシーンには、純粋な憧れと危険性が混じり合った独特な雰囲気。パリの街を舞台にしたバイクチェイスなどサスペンス要素も加えられており、娯楽性も高く見応えがあります。

憧れや芸術への純粋な気持ちは美しいものだが、時として予想外の危険を招くこともあるということでしょうか?

理想と現実の間で揺れ動く主人公の姿を通して、夢を追いかけることの喜びと同時に、それに伴うリスクについても考えさせてくれる、メッセージ性も多い作品です。

レイダース/失われたアーク《聖櫃》

画像引用元:映画.com

(NO.0694)

監督:スティーヴン・スピルバーグ

115分/G/アメリカ
原題または英題:Raiders of the Lost Ark
配給:ユナイテッド・シネマ

冒険アクション映画の金字塔です。考古学者でありながら冒険家でもあるインディアナ・ジョーンズが主人公で、旧約聖書に登場する神聖な箱「聖櫃(アーク)」を巡ってナチス・ドイツと激しい争奪戦を繰り広げます。ジャングルの古代遺跡から始まり、エジプトの砂漠まで、世界各地を舞台にスリル満点の冒険が展開されます。

「インディ・ジョーンズ」シリーズの基盤でもあり、冒険映画の最高傑作とも。あらゆる世代が楽しめる完璧なエンターテインメントです。世界的な大ヒットを記録し、アカデミー賞では視覚効果賞、美術賞、編集賞、録音賞、音響効果賞の5部門を受賞しました。

息をのむようなアクションシーンと巧妙な演出が魅力的です。特に映画冒頭のジャングル遺跡での仕掛けや巨大な石球に追われるシーン、砂漠でのトラックチェイス、そして聖櫃が開かれるクライマックスシーンは名場面となっています。

スピルバーグ監督の世界としてすっかりお馴染みにもなった「ハラハラ、ドキドキ」させる演出。真骨頂ともいえます。

冒険心と勇気こそが人を成長させ、困難を乗り越える原動力になります。危険を恐れずに挑戦する姿勢や、知識と勇気を組み合わせて問題を解決していく主人公の姿は、私たちの日常生活でも参考になります。

人生そのものが一つの大きな冒険であり、リスクを理解したうえで前向きに挑戦することの大切さを伝えてくれているのです。

U・ボート

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0695)

監督:ウォルフガング・ペーターゼン

135分/西ドイツ
原題または英題:Das Boot
配給:日本ヘラルド映画

第二次世界大戦中のドイツ潜水艦U96を舞台に、若い戦争特派員が潜水艦に乗り込み、艦長や乗組員たちと共に危険な任務に出発する物語です。海中での緊迫した戦闘、敵艦との遭遇、酸素不足による極限状態など、狭い潜水艦内で繰り広げられる生死をかけた戦いが描かれています。戦争を美化することなく、兵士たちが体験する恐怖や苦悩をリアルに表現した、戦争の真実を伝える重要な作品です。

史上最もリアルな潜水艦映画と言われます。戦争の虚しさと人間の尊厳を描いた、息をするのを忘れるほどの緊張感の連続で、重いけど印象に残る作品ですね。

狭い潜水艦内という極限状況で描かれる人間の心理が印象的です。乗組員たちは仲間と笑い合いながらも、常に死と隣り合わせの恐怖と向き合っています。艦長の冷静な判断力と部下を思いやる心、そして若い兵士たちが見せる恐怖と勇気の入り混じった複雑な感情が、リアルな人間ドラマを作り出しています。

本当の敵は外部にいる敵だけでなく、自分の心の中にある恐怖や絶望でもあることを伝えようとしています。

人間は弱い存在でありながら、同時に困難な状況でも仲間と支え合って生き抜く強さも持っています。極限状態でも人間らしさを失わず、お互いを大切にすることの大切さも感じ取れるのです。

誓い

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0696)

監督:ピーター・ウィアー

110分/オーストラリア
原題または英題:Gallipoli
配給:パラマウント=CIC

第一次世界大戦を背景にしたオーストラリアの戦争映画です。陸上競技の才能を持つ真面目な青年アーチーと、世の中に対して冷めた態度を取るフランクという全く性格の違う二人の青年が出会い、友情を育んでいきます。やがて二人は軍隊に志願し、トルコのガリポリ半島での戦闘に参加することになります。戦争の理想と現実のギャップ、そして若者たちの友情と犠牲を通して、戦争の本質を深く問いかけた作品です。

単なる戦争映画を超えた青春と友情の物語でもあり、ピーター・ウィアー監督の叙情的で美しい映像表現も印象的です。オーストラリア映画においての、戦争映画の名作とも言われています。

戦場に向かうまでの二人の青年の日常と友情が丁寧に描かれており、彼らの人間性がよく分かるため、その後の展開がより心に響きます。

オーストラリアの美しい風景と、戦場での過酷な現実との対比も印象的です。特にクライマックスの戦闘シーンは、戦争の理不尽さと悲しさを強烈に表現した映画史に残る場面です。

戦争は国や大義という大きな理由で語られるが、実際に犠牲になるのは普通の若者たちであることを痛烈に感じとってしまいます。

友情や信頼といった人間の感情が、戦争によって簡単に失われてしまうかを感じます。平和や人と人とのつながりの価値について考えさせてくれるのです。

炎のランナー

画像引用元:映画.com

(NO.0697)

監督:ヒュー・ハドソン

123分/イギリス
原題または英題:Chariots of Fire
配給:20世紀フォックス

実話をもとにした映画で、1924年のパリ・オリンピックに出場した二人のイギリス人陸上選手の物語を描いています。一人はケンブリッジ大学の学生でユダヤ人のハロルド・エイブラハムスで、彼は当時のイギリス社会にあった偏見や差別に負けないために走り続けています。もう一人は敬虔なキリスト教徒のエリック・リデルで、彼は神への信仰を大切にしながら走っています。全く違う理由で走る二人が、オリンピックという舞台で自分の信念を証明しようとする物語です。

アカデミー賞では作品賞を含む4部門を受賞した名作です。美しい映像と音楽に彩られた素晴らしい人間ドラマが堪能出来て、スポーツ映画でありながら深い精神性も併せ持っていて、感動的で勇気をもらえる作品です。

ヴァンゲリスが作曲したシンセサイザー音楽に合わせて選手たちが浜辺を走る冒頭のシーンは、映画史に残る名場面です。単純に勝ち負けを競うのではなく、それぞれが自分の信念や誇りをかけて走る姿には心を動かされます。

選手たちがオリンピックで活躍するまでの葛藤や成長が丁寧に描かれているところも面白いですね。

人は自分の信念や誇りを守るためにこそ、本当の力を発揮できるというメッセージを感じます。

勝つことよりも大切なのは、自分がそれに取り組む理由をしっかりと持つことです。スポーツとして描かれていますが、勉強や将来の夢に向かって努力する時にも当てはまる、人生の普遍的なメッセージを伝えようとしているのです。

白いドレスの女

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0698)

監督:ローレンス・カスダン

113分/アメリカ
原題または英題:Body Heat
配給:ワーナー・ブラザース

蒸し暑いフロリダの小さな町を舞台に、冴えない弁護士ネッドが美貌の人妻マティと出会い、激しい情事に溺れていきます。やがて二人は彼女の夫を殺害して保険金と遺産を手に入れる計画を立てますが、ネッドは次第にマティの真の狙いを疑うようになります。愛と欲望、裏切りと復讐が絡み合い、破滅的な結末へと向かう大人のサスペンスです。

1980年代を代表するネオ・ノワールとも言われます。海外の批評では「古典的フィルム・ノワールを現代に見事に蘇らせた傑作」「キャスリーン・ターナーの妖艶で知的な演技が圧巻」と絶賛されました。

官能とサスペンスを巧妙に織り交ぜた脚本と演出は、後の多くの作品に影響を与えています。

湿度の高いフロリダの夜を背景に、赤やオレンジの暖色系で統一された映像が官能的でありながら不穏な雰囲気を醸し出しています。主人公と同様に彼女の魅力と危険性に魅了されます。緻密に構築された脚本は、最後まで真相を隠しながら、振り返ると全ての伏線が完璧に回収されている構成です。見事ですよね。

一時的な欲望に支配されると、人生を破滅させる選択をしてしまう危険性を描いています。

人を操作しようとする者こそが、最も冷酷で計算高いという人間関係も描かれていて興味深いですよね。表面的な魅力に惑わされず、相手の真の動機を見抜く洞察力や、倫理的な判断を曇らせる欲望の恐ろしさについて考えさせられる、大人が鑑賞するとうなずくようなサスペンスです。

鉄の男

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0699)

監督:アンジェイ・ワイダ

153分/ポーランド
原題または英題:Man of Iron Czlowiek za zelala

配給:東宝東和

ポーランドの民主化運動を題材にした社会派ドラマで、前作『大理石の男』の続編です。物語は1980年のグダニスク造船所でのストライキを背景に、労働者の息子マチェクが「連帯」運動の重要人物として成長していく姿を描いています。政府寄りのジャーナリストが彼を取材する過程で、ポーランド社会の矛盾や労働者たちの苦悩、そして自由への渇望が浮き彫りにされます。実際の政治的激動をリアルタイムで映画化した作品です。

1981年のカンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞しました。これは東欧映画にとって歴史的な快挙でした。共産主義体制下で制作されながら体制批判を含む内容であったため、その勇気ある姿勢も高く評価されました。

ドキュメンタリーのようなリアリズムと叙情的な演出が見事に調和しています。

実際のニュース映像や労働者の生の声を織り交ぜながら、個人の家族の物語や内面的な葛藤を重ね合わせることで、政治映画でありながら人間ドラマとしても面白いです。特に主人公マチェクが一人の青年から社会運動の象徴的存在へと成長していく過程の描かれ方に注目です。

歴史を動かすのは特別な英雄ではなく、普通の人々の勇気と団結であるということを考えてみましょう。

権力による弾圧や恐怖に直面しても、人々が連帯して声を上げることで社会は変革できるというメッセージ。個人が社会に対して無力だと感じる時でも、同じ志を持つ人々と力を合わせることで大きな変化を起こせるという希望に満ちたメッセージを伝えてくれるのです。

レッズ

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0700)

監督:ウォーレン・ベイティ

195分/アメリカ
原題または英題:Reds
配給:パラマウント映画=CIC

実在したアメリカ人ジャーナリストのジョン・リードという人の人生を描いています。リードは『世界を揺るがした十日間』という有名な本を書いた人で、ロシア革命の様子を世界に伝えました。この映画では、リードと作家のルイーズ・ブライアントとの恋愛関係と、リードが持っていた社会主義への強い信念が同時に描かれています。愛する人との関係と政治的な理想の間で悩む男性の物語です。

ベイティは俳優でありながら監督賞を受賞するという珍しい記録を作りました。3時間以上ありながらも退屈することはなく、歴史と恋愛が上手く組み合わされていて、政治的な内容の中に人間の愛情もしっかり描かれています。

この映画の特徴は、実際にその時代を生きた人たちのインタビューを映画の中に入れていることです。

これにより、作り話と実際の歴史が混ざり合って、とてもリアルな感じになっています。ベイティとキートンの恋愛演技や、ジャック・ニコルソンが演じる劇作家の役も印象的で、重厚な印象を与えているのでしょうね。

自分の理想を追いかけることと、大切な人との関係を両方とも大事にするのはとても難しいということを教えてくれます。

社会を良くしたいという気持ちは素晴らしいものですが、そのために恋人や家族との時間を犠牲にしてしまうこともあります。何を一番大切にするべきか、どうやってバランスを取るかについて考えさせられます。

三人の兄弟(THE FRATELLI)

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0701)

監督:フランチェスコ・ロージ

113分/イタリア・フランス
原題または英題:Three Brothers
日本公開情報なし

南イタリアの農村で、三人の息子たちが母親の葬儀のために久しぶりに実家に集まります。長男は都市部で裁判官として働き、テロ事件などの社会問題に直面しています。次男は教育関係の仕事で社会事業に取り組んでおり、三男は工場で働く労働者として生活しています。それぞれ違う道を歩んできた兄弟たちが、母の死をきっかけに再会し、お互いの人生や考え方について語り合います。家族の絆を描きながら、当時のイタリア社会が抱えていた様々な問題も浮き彫りにした作品です。

家族の物語を通してイタリア社会全体を描いていますが兄弟のそれぞれの生き方、家族について考えさせられることもあり、ヨーロッパ映画の秀作と考える人も多いようです。

三人の兄弟がそれぞれ異なる人生を歩んできたことで生まれる価値観の違いが印象的に描かれています。

南イタリアののどかな農村の風景と、都市部での緊張した生活との対比も美しく表現されています。家族の会話や沈黙の中に、それぞれが抱える悩みや人生への思いが込められており、自分自身の家族関係について考えさせられます。

家族はそれぞれ違う道を歩んでも、根本的なつながりは失われないということです。

社会で様々な立場にいる人たちがどのような悩みを抱えているかを理解することも大切です。家族と過ごす時間やお互いの人生を尊重することについて、感動するし、多くのことを学べるでしょう。

1982年

1982年を象徴するイメージ画像をアニメ風に。前向きな気持ちになれるようにしました。

E.T.

画像引用元:映画.com

(NO.0702)

監督:スティーヴン・スピルバーグ

115分/G/アメリカ
原題または英題:E.T. the Extra-Terrestrial
配給:東宝東和

スティーヴン・スピルバーグ監督による、世界中で愛されているファンタジー映画です。10歳の少年エリオットが、地球に取り残されてしまった小さな宇宙人E.T.と出会うところから物語が始まります。最初はお互いに驚きながらも、エリオットはE.T.を自分の家にかくまい、兄のマイケルや妹のガーティと一緒にE.T.を守ろうとします。言葉は通じませんが、二人の間には深い友情が芽生えていきます。しかし、政府の科学者たちがE.T.を捕まえようとするため、エリオットたちは彼を故郷に帰してあげるために奔走します。

映画史上最も愛される作品の一つとなっています。世界中で大ヒットし、アカデミー賞では4部門を受賞しました。公開から40年以上経った現在でも、世代を超えて多くの人に愛され続けており、「何度観ても涙が出る」「子供の頃の純粋な気持ちを思い出す」という声が数多く聞かれます。

E.T.とエリオットが心を通わせていく場面の一つ一つが感動的です。特に、E.T.とエリオットが自転車に乗って月を背景に空を飛ぶシーンは、映画史に残る最も美しい場面の一つとして有名です。ジョン・ウィリアムズが作曲した音楽も素晴らしく、物語をより感動的にしています。また、子供の目線から描かれているため、大人が忘れがちな「素直に信じる心」や「別れることの辛さ」がリアルに伝わってきます。

見た目や出身が違っても、心を開けば深く理解し合えるということを語っています。

人生には出会いと別れが必ずあり、その経験を通して人は成長していくというメッセージも込められています。友情の素晴らしさや相手を思いやる気持ちの大切さを、感動的な物語を通して学べる映画なのです。

死霊のはらわた

画像引用元:映画.com

(NO.0703)

監督:サム・ライミ

85分/アメリカ
原題または英題:The Evil Dead
配給:日本ヘラルド映画

後のホラー映画界に大きな影響を与えた作品です。大学生5人が森の奥にある古い山小屋で休暇を過ごすことになりますが、地下室で古代の魔術書「死者の書」と、それを読み上げた録音テープを発見してしまいます。うっかりテープを再生してしまったことで邪悪な霊が呼び起こされ、仲間たちが次々と悪霊に取り憑かれていきます。主人公のアッシュは、生き残るために恐ろしい状況と戦わなければならなくなります。

ホラー映画の中でも、日本でも知名度の高い作品ですね。今までのホラー映画の常識を覆したスピード感あふれるカメラワークが革新的です。ホラーの金字塔として海外でも熱狂的な支持を受け、カルト映画として愛され続けています。この作品の成功から、サム・ライミ監督は後に『スパイダーマン』シリーズの大作を手がけるようになりました。

低予算でありながら工夫を凝らした恐怖演出と、当時としては斬新だった映像表現が魅力です。

見えない悪霊の視点から撮影した主観ショットは、想像力を刺激して恐怖感があります。手作り感のある特殊効果が逆に独特の迫力を生み出しており、大手スタジオの大予算作品とは違った生々しさがあります。

限られた予算や環境でも、創意工夫と情熱があれば人々に強いインパクトを与える作品を作れることを証明しました。極限状況での人間の生存本能や、困難に立ち向かう強さも描かれます。

制約がある中での斬新なエンターテインメント作品は、その後ゲームやリメイクなど、新たな方向性を生み出しました。

初体験/リッジモント・ハイ

画像引用元:映画.com

(NO.0704)

監督:エイミー・ヘッカーリング

90分/アメリカ
原題または英題:Fast Times at Ridgemont High

配信:ユニバーサル・ピクチャーズ

南カリフォルニアの高校を舞台にしたアメリカの青春コメディです。ジャーナリストのキャメロン・クロウが実際に高校に潜入取材した体験をもとに作られました。恋愛に悩む女子高生ステイシー、自由気ままなサーファー青年ジェフ・スピコリなど、様々な高校生たちの日常を群像劇として描いています。恋愛、友情、アルバイト、家族との関係など、ティーンエイジャーが直面する現実的な問題を、ユーモアを交えながら描いた作品です。性的な内容や薬物使用なども含まれる大人向けの映画です。

1980年代の青春映画を代表する作品となりました。ティーンエイジャーのリアルな姿をユーモアと誠実さで描いたもので、青春映画の新しい基準を作りました。懐かしい高校時代を思い出すかも?そして軽快で楽しくもあり、切ない気持ちになるかもしれません。公開から40年以上経った現在でもカルト的な人気を保っていて、その後の日本のドラマにも影響を与えました。

1980年代のポップカルチャーや音楽、ファッションがふんだんに盛り込まれており、当時の時代の空気感をよく表現しています。特にショーン・ペンが演じたスピコリは、自由奔放で破天荒ながらも愛すべきキャラクターとして多くの人に印象を残しました。群像劇なので色々なタイプの高校生が登場し、観客は誰かしら自分に似た人物を見つけることができます。

青春時代の失敗や挫折も含めて、すべてが大切な学びの経験であるのです。

恋愛や人間関係で悩んだり、時には間違った選択をしてしまったりしても、それが大人になるための大事なステップになります。高校時代の輝きと切なさの両方を描いた、懐かしい気持ちにさせてくれる青春映画だったのです。

早すぎる、遅すぎる、

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0705)

監督:ダニエル・ユイレ、ジャン=マリー・ストローブ

100分/フランス
原題または英題:Too Early, Too Late
配給:日本公開情報なし

とても実験的なドキュメンタリー映画です。普通の映画のような物語やドラマは一切なく、フランスとエジプトの農村地帯の風景を長い時間をかけて映し出します。映像と一緒に、フランス革命の時代に書かれた農民の手紙や、マルクス主義の文章が朗読され、過去と現在の農民たちの苦しい生活が重ね合わされています。通常の映画とは全く違う作りの挑戦的な作品です。

映像だけで社会の問題を表現した革新的な作品で、政治的なメッセージと詩的な美しさが重ねあっています。映画芸術としては一見の価値のある映画ですよ。

説明的なセリフや分かりやすいドラマを一切使わず、ただ風景を映し続ける徹底したスタイルが特徴です。広大な田園風景や街の様子を長時間撮影した映像は、静けさの中に社会の格差や時代の重さを感じさせます。

「早すぎる/遅すぎる」というタイトルの意味を考えながら、歴史と現在のずれについて深く考えることになっていくでしょう。

歴史や社会の変化は、個人の感覚とは違う時間の流れで進んでいくのです。

自分の行動が早すぎるか遅すぎるかと悩むことがありますが、それでも歴史は確実に積み重なっていきます。急がば回れじゃないですが、冷静に物事を見る価値など考えさせれる内容でもあります。独特な映像体験から考えてみましょう。

ポルターガイスト

画像引用元:映画.com

(NO.0706)

監督:トビー・フーパー

114分/アメリカ
原題または英題:Poltergeist
配給:20世紀フォックス

アメリカの郊外で平和に暮らしていたフリーリング家に、ある日突然不可思議な現象が起こり始めます。5歳の末っ子キャロル・アンがテレビの砂嵐に向かって話しかけるようになり、やがて家の中で家具が勝手に動いたり、物が宙に浮いたりする恐ろしい出来事が続発します。ついにはキャロル・アンが姿を消してしまい、両親は娘を取り戻すために超自然的な恐怖と戦わなければならなくなります。

1980年代のホラー映画の代表作の一つ。ホラー映画でありながら家族の愛情もしっかり描かれており、それでいて古典的傑作シーンも多いです。家族の絆には感動するのと同時に、特殊効果の迫力は今でも充分見応えがあります。

当時としては最先端だった特殊効果と、家族を中心にした心温まる物語が見事に組み合わされています。

超常現象の映像は非常に迫力がありますが、娘を救おうとする両親の愛情が物語に温かさを与えており、単なる怖い映画を超えた感動を生み出しています。

キャロル・アンが言う「They’re here.(来たわ)」というセリフは、映画史に残る有名なフレーズとなりました。

どんなに恐ろしい状況に直面しても、家族の絆と愛情こそが最も強い力になるということです。

未知の恐怖に立ち向かう家族の姿は、現実生活での困難にも通じるメッセージとなるでしょう。恐怖と感動が同時に味わえるホラー映画でもあり、家族の大切さについて考えさせてくれるでしょう。

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0707)

監督:ユルマズ・ギュネイ

111分/トルコ・スイス・フランス
原題または英題:Yol
配給:フランス映画社

トルコの映画界で最も重要な作品のひとつです。脚本を書いたユルマズ・ギュネイは、なんと監獄にいながらこの物語を生み出しました。実際の撮影は相棒のシェリフ・ギョレンが担当し、まさに命がけで作られた映画です。

物語は、5人の囚人が1週間の休暇をもらって故郷に帰るところから始まります。しかし彼らを待っていたのは、想像していた温かい家族との再会ではありませんでした。伝統や家族の重い期待に社会の厳しいルールが、見えない監獄のように彼らを縛っていたのです。

カンヌ映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞しました。

トルコの美しくも厳しい自然と、登場人物たちの心の葛藤が重なり合う映像美は大きな魅力です。

雪山や荒れた大地が、人間の孤独感を際立たせながらも、生きる力強さを表現しています。

この映画から学べるのは、「本当の自由とは何か」ということです。

監獄から出ても、心の中や社会の中には別の監獄があることを教えてくれます。同時に、どんなに困難な状況でも自分で選択し、自分らしく生きる道を見つけられるということを教えてくれるのです。

人生について深く考えさせてくれる映画です。

ブレードランナー

画像引用元:映画.com

(NO.0708)

監督:リドリー・スコット

116分/アメリカ
原題または英題:Blade Runner
配給:ワーナー・ブラザース映画

フィリップ・K・ディックの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』が原作で、2019年のロサンゼルスが舞台となっています。

物語の主人公は、元警察官のデッカード。彼の仕事は「ブレードランナー」と呼ばれる特別な捜査官で、人間とほぼ同じ見た目をした人工生命体「レプリカント」を追跡することです。逃亡したレプリカントたちを追ううちに、デッカードは「人間とは何か」「生きるとは何か」という深い問題に直面していきます。

この映画は公開当初、興行的には振るわず批評も分かれましたが、時間が経つにつれて「SF映画の古典」として高く評価されるようになりました。特に映像美は圧倒的で、雨に濡れたネオンの街並みや巨大な広告塔に覆われた未来都市は、その後のSF映画に大きな影響を与えました。

見どころは、息をのむような未来都市の風景と、レプリカントのリーダー、ロイが語る名場面です。「すべての記憶は雨の中の涙のように消えていく」という彼の言葉は、映画史に残る名台詞です。

人間らしさは、生まれや寿命の長さではなく、どう生き、何を感じるかで決まるということを教えてくれます。限られた時間の中で愛し、記憶を作り、感情を抱くことの尊さを、レプリカントたちの姿を通してメッセージを投げかけます。

アクションと哲学が見事に組み合わされた作品になっており、深い余韻が残ります。自分にとって何が大切なのかを考えさせれくれるでしょう。

ダイナー

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0709)

監督:バリー・レヴィンソン

110分/アメリカ
原題または英題:Diner

配給:MGM

1959年のボルチモアが舞台です。20代前半の5人の仲間が、そのうちの一人の結婚式のために故郷に集まり、いつものダイナー(食堂)で夜な夜な語り合う姿を描いた青春映画です。

物語の中心にいるのは、結婚を控えて不安になっているエディ。彼は婚約者にアメリカン・フットボールのテストを課し、合格しなければ結婚しないと言い出します。他の仲間たちも、結婚生活に悩むシュレイヴ、女性にモテるブーギー、いつも酔っぱらっているフェンウィックなど、それぞれに悩みや問題を抱えています。

リアルな会話と自然な演技が素晴らしく心地よいもので、青春の不安や友情を見事に描いていると言えます。

見どころは、何でもない日常会話の中に人生の大切なことがさりげなく込められていること。音楽の話、恋愛の悩み、将来への不安などが、ユーモアを交えながらリアルに語られます。

大人になることは完璧になることではなく、不安を抱えながらも前向きに歩んでいくことを教えてくれます。人生の節目では誰もが迷い悩みますが、仲間との絆や会話が支えになります。

派手な事件は起こらないけれど、心に響きます。自分の友達や青春時代のことを懐かしく思い出したくなるでしょう。

トッツィー

画像引用元:映画.com

(NO.0710)

監督:シドニー・ポラック

116分/アメリカ
原題または英題:Tootsie

配給:コロンビア・ピクチャーズ

ニューヨークで俳優をしているマイケルは、性格が難しくて仕事がもらえずに困っています。そこで女装して「ドロシー」という女性になりすまし、テレビの昼ドラマに出演することにしました。

「ドロシー」として演技するマイケルは大人気になりますが、共演者の女性ジュリーに恋をしてしまいます。でも相手は自分を女性だと思っているので、とても複雑な状況に陥ってしまいます。

アカデミー賞では作品賞を含む10部門にノミネートされ、ジェシカ・ラングが助演女優賞を受賞しました。

ダスティン・ホフマンの女装は特別な演技力が必要であり、大きな見どころの一つ。男性のマイケルと女性のドロシーを行き来する姿は、笑えるだけでなく考えさせられます。女性として働くことで、マイケルは今まで気づかなかった男性の失礼な態度や、女性が職場で受ける不当な扱いを体験し、人として成長していきます。

相手の立場に立って考えることの大切さを学べる映画です。マイケルは女性になることで、初めて女性の気持ちや苦労を理解しました。そして正直でいることの重要性も教えてくれます。嘘をついて成功しても、本当の幸せは得られないのです。

笑いながら人間関係や社会について深く考えられる、とても質の高いコメディ映画なのです。

フィッツカラルド

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0711)

監督:ヴェルナー・ヘルツォーク

157分/西ドイツ・ペルー
原題または英題:Fitzcarraldo
配給:大映インターナショナル

主人公のフィッツカラルドは、南米ペルーのアマゾンにオペラハウスを建てるという夢を持った男性です。その建設資金を得るため、ゴムの採取で大儲けしようと考えます。

しかし、目的地に行くには大きな蒸気船を陸に上げて山を越えさせる必要がありました。常識では考えられない無謀な計画ですが、フィッツカラルドは夢を諦めません。現地の人々の協力を得ながら、本当に巨大な船を山越えさせようとします。

この映画の驚くべき点は、ヘルツォーク監督が実際に320トンもある蒸気船をアマゾンの山で引き上げる撮影を行ったことです。特撮を一切使わず、本物の船を本物の山で移動させました。撮影は非常に困難でけが人も出ましたが、その結果生まれた映像は迫力満点です。

狂気と美しさが融合した映画です。クラウス・キンスキーの狂気的な演技と、アマゾンの大自然の映像美が印象に残るでしょう。

大きな夢を追うことの素晴らしさと危険性について考えさせられます。

無謀に見える挑戦でも、強い意志があれば不可能を可能にできること。しかし同時に、夢に取り憑かれすぎると周りが見えなくなる危険性も教えてくれます。

人間の情熱と自然の力が激しくぶつかり合う、忘れられない映画体験を与えてくれるでしょう。

ガンジー

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0712)

監督:リチャード・アッテンボロー

188分/G/イギリス・インド
原題または英題:Gandhi
配給:コロムビア

インド独立の父、マハトマ・ガンジーの生涯を描いた歴史映画です。物語は、南アフリカで弁護士をしていた若いガンジーが人種差別を体験するところから始まります。その後、インドに帰国した彼が「非暴力・不服従」という方法でイギリスからの独立を目指す、長い戦いの道のりを約3時間で描いています。

主人公のガンジーを演じるベン・キングズレーの演技は圧巻! 本物のガンジーがそこにいるような錯覚を起こすほどの迫力で、この演技でアカデミー賞主演男優賞を受賞しました。映画自体も作品賞を含む8部門でアカデミー賞を獲得しました。

大勢の人々が参加するデモ行進の壮大な映像は大きな見どころの一つとなっています。実際に30万人以上のエキストラが参加した葬儀の場面は圧倒的で、ガンジーがいかに多くの人に愛されていたかがよく分かります。

静かに語るガンジーの言葉一つ一つが、人々の心を動かす力を持っているという描かれ方も胸をうたれます。

暴力を使わなくても、強い信念があれば世界を変えることができるということです。ガンジーは武器を持たず、ただ正しいことを訴え続けることで、ついにはイギリスという大国を動かし、インドを独立に導きました。

一人の人間がどれほど大きなことを成し遂げられるかを教えてくれる、感動的な映画です。

遊星からの物体X

画像引用元:映画.com

(NO.0713)

監督:ジョン・カーペンター

108分/PG12/アメリカ
原題または英題:The Thing
配給:アーク・フィルムズ、boid

舞台は南極の観測基地。氷の中から発見された恐ろしい宇宙生物は、人間に化けることができる能力を持っていました。この化け物は人を襲って完全にその人になりすますため、仲間の中に紛れ込んでも誰にも分からないのです。

主人公のマクレディたち研究チームは、誰が本物の人間で誰が偽物なのか疑心暗鬼に陥ります。閉ざされた基地の中で、恐怖と不信が広がっていく心理的な恐怖が描かれています。

ロブ・ボッティンが手がけた特殊メイクは圧巻で、現在でも色褪せない迫力です。

「誰も信用できない」という極限状況での人間心理の描写は印象に残るでしょう。化け物よりも怖いのは、疑い合う人間同士の関係かもしれません。衝撃的な変身シーンは、1982年当時としては革新的な特殊効果で作られており、今見ても驚きます。

この映画から学べるのは、「真の恐怖は外からの敵ではなく、内側にある不信から生まれる」ということです。疑心暗鬼は人間関係を破壊し、協力すべき仲間を敵に変えてしまいます。

ただのモンスター映画ではなく、人間の心の暗い部分を描いた深い作品で、誰を信じるべきかを考えさせられるかもしれません。

ファニーとアレクサンデル

画像引用元:映画.com

(NO.0714)

監督:イングマール・ベルイマン

311分/スウェーデン・フランス・西ドイツ
原題または英題:Fanny och Alexander
配給:ザジフィルムズ、マジックアワー

劇場を経営する豊かな家庭で育つ姉弟、ファニーとアレクサンデルの物語を描いています。最初は幸せに暮らしていた二人でしたが、お父さんが急に亡くなってしまいます。その後、お母さんが厳しい司教と再婚したことで、家族の生活は一変します。新しいお父さんは想像力豊かなアレクサンデルを理解せず、厳しく罰してばかり。そんな苦しい日々の中で、子どもたちは演劇や想像の世界に救いを求めます。

アカデミー賞では外国語映画賞を含む4部門で受賞しました。批評家からは「ベルイマンの最高傑作」「人生そのものを映画にした作品」と絶賛されました。

美しい映像と深い人間ドラマは見どころの一つ。家族の温かさと冷たい支配の対比、そして子どもの目線から見た大人の世界の理不尽さが丁寧に描かれています。

長い映画ですが、まるで小説を読んでいるような豊かな時間を過ごせます。

どんなに辛いことがあっても、想像力や芸術があれば心は自由になれるということでしょうか。現実が厳しくても、本や映画、音楽といった文化や芸術に触れることで、心に希望の灯りを保ち続けることができるのです。

人生には思い通りにならないことがたくさんあります。しかし自分の心の中に大切にしているものがあれば、きっと乗り越えていけるはずなのです。

サン★ロレンツォの夜

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0715)

監督:ヴィットリオ・タヴィアーニ、パオロ・タヴィアーニ

107分/イタリア
原題または英題:La notte di San Lorenzo
配給:フランス映画社

第二次世界大戦の終わり頃、イタリアの小さな村が舞台で、6歳の少女チェチーリアの記憶として語られます。1944年の夏、ドイツ軍に占領された村の人々が、アメリカ軍に助けを求めて村を脱出する物語です。村人たちは危険な旅路で様々な困難に直面しながらも、お互いを助け合って進んでいきます。しかし、同じ村の住民同士が敵味方に分かれて戦うという悲しい現実も描かれています。

この映画は素晴らしくてワクワクする描写も多く、心が揺さぶられる体験をするでしょう。

戦争の恐ろしさを描きながらも、美しい風景や星空が印象的に使われているのが印象的です。

特に麦畑での戦闘シーンや、少女の目に映る幻想的な場面が心に残ります。子どもの視点から見た戦争は、現実と想像が入り混じった不思議な世界として描かれています。

どんなに辛い状況でも、人は希望を捨てずに生きていけるのです。戦争という最悪の状況の中でも、人々は星に願いをかけ、明日への希望を持ち続けます。困難な時こそ、人と人とのつながりや優しさが大切だということを教えてくれているのです。美しい映像と深いメッセージが込められた映画から感じ取ってみてください。

A Question of Silence(DE STILTE ROND CHRISTINE M.)

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0716)

監督:マルレーン・ゴリス

92分/オランダ
原題または英題:A Question of Silence
日本公開情報なし

『A Question of Silence(沈黙についての疑問)』は、お互いを全く知らない3人の女性が、ある日ブティックで男性店主を殺してしまうという衝撃的な出来事を描いています。

主婦のクリスティーン、秘書のアンドレア、ウェイトレスのアニーという3人の女性が主人公です。彼女たちは普通の生活を送っていましたが、それぞれが男性中心の社会で感じている息苦しさや不満を抱えていました。ある日、ブティックで万引きをしようとしたクリスティーンが店主に見つかった時、なぜか他の2人も加わって店主を殺してしまいます。事件後、女性の精神科医が彼女たちの心理を探ろうとしますが、なかなか本当の動機がわかりません。

フェミニズム映画の古典として高く評価されています。1982年のトロント国際映画祭で上映され、フランスの女性映画祭でグランプリを受賞しました。今も色褪せない社会への問題提起とも言われています。

暴力的な場面を直接見せずに、観客の想像力に委ねる演出の巧さは見どころです。女性たちの「沈黙」に込められた様々な意味—従順さ、抵抗、連帯感—を繊細に描いています。

声に出せない気持ちにも耳を傾けることも必要なことです。普段は目立たない不公平や理不尽さも、積み重なれば大きな問題になることがあります。お互いの立場や気持ちを理解し、対話を大切にすることの重要性を教えてくれる作品です。

英国式庭園殺人事件

画像引用元:映画.com

(NO.0717)

監督:ピーター・グリーナウェイ

107分/イギリス
原題または英題:The Draughtsman’s Contract
配給:JAIHO

独特な雰囲気の謎解き映画です。1694年のイングランドが舞台で、まるで美術館で名画を見ているような美しい映像が印象的な作品です。

若い画家ネヴィルが、旅行中の夫に代わって奥さんから屋敷と庭園の絵を12枚描くよう依頼されることから始まります。しかし、絵を描いていくうちに、庭に不思議な物が現れるようになり、やがて殺人事件が起きてしまいます。実は、この依頼には隠された目的があったのです。

有名な映画批評家ロジャー・イーバートも4つ星の満点評価をつけました。「美しさとミステリーが完璧に組み合わさった作品」と絶賛されています。

絵画のような美しい映像は見とれてしまいます。17世紀の豪華な衣装や庭園、建物のすべてが計算されて配置されており、まるで美術館にいるような気分になります。

難しい言葉で話すキャラクターたちの会話も独特で、謎解きの面白さが印象に残るでしょう。

物事の表面だけを見ていては真実はわからないということでしょうか。

美しいものの裏には複雑な事情や人間関係が隠れていることがあります。見た目に騙されず、注意深く観察することも大切なことがあるのです。人生の教訓にもなりますね。

1983年

1983年を象徴するイメージ画像をアニメ風に、前向きな気持ちになれるようにしました。

ア・クリスマス・ストーリー(A CHRSTMAS STORY)

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0718)

監督:ボブ・クラーク

93分/アメリカ・カナダ
原題または英題:A Christmas Story
配給:日本公開情報なし

アメリカのクリスマス映画の名作です。アメリカでは毎年クリスマスになると必ずテレビで放送される、家族みんなで楽しめる心温まる作品として親しまれています。

1940年のクリスマス、9歳の少年ラルフィーがどうしても欲しいプレゼントがありました。それは「レッドライダーのBBガン」(空気銃のおもちゃ)です。でも、お母さんも学校の先生もサンタクロースも、みんな「危ないから目を撃っちゃうよ」と言って反対します。それでもラルフィーは諦めず、いろんな方法でこのプレゼントをもらおうと頑張ります。

アメリカでは1997年から毎年クリスマスに24時間連続で放送され続けており、国民的なクリスマス映画となっています。しかし日本ではなぜか未公開なのです。

子どもの頃の思い出がよみがえってくるような日常の描写が見どころです。いじめっ子との戦い、兄弟喧嘩、お父さんの変わった趣味、お母さんの優しさなど、どこの家庭にもありそうな出来事がユーモラスに描かれています。

欲しいものより、家族と過ごす時間こそが一番大切な宝物ということを教えてくれます。プレゼントがもらえるかどうかより、みんなで過ごすクリスマスの思い出こそが、大人になっても心に残る本当の贈り物なのです。

ラルジャン

画像引用元:映画.com

(NO.0719)

監督:ロベール・ブレッソン

85分/フランス・スイス
原題または英題:L’argent
配給:紀伊國屋書店、マーメイドフィルム

タイトルの「ラルジャン」はフランス語で「お金」という意味で、ロシアの文豪トルストイの小説「偽札」を映画化した作品です。

お小遣いが足りない学生が友達から偽の500フラン札をもらい、それを写真屋で使うことから始まります。この偽札が人から人へと渡されていき、最終的に何も知らない真面目な配達員イヴォンの手に渡ってしまいます。偽札を使ったとして罪に問われたイヴォンは、仕事を失い、家族を失い、ついには犯罪に手を染めてしまうという悲しい物語です。

1983年のカンヌ映画祭では監督賞を受賞。ブレッソン監督の芸術的な集大成で、お金の恐ろしさを冷静に描いた傑作でもあります。ブレッソン監督の作品は心がえぐられるバッドエンド系の作品ばかりです。

派手な演出を一切使わず、静かで淡々とした映像で人間の心の変化を描いているのが特徴です。感情的な音楽もなく、俳優も表情をあまり変えませんが、それがまた深く考えさせる力を持っています。

小さな嘘や無責任な行動が、思いもよらない大きな悲劇を生むことがあるということです。

最初の学生の軽い気持ちが、無関係な人の人生を破滅させてしまいます。私たちの日常の選択や行動が、実は誰かに大きな影響を与えているかもしれないという教訓も与えているのです。

ライトスタッフ

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0720)

監督:フィリップ・カウフマン

193分/G/アメリカ
原題または英題:The Right Stuff
配給:ワーナー・ブラザース映画

アメリカの宇宙開発を描いた3時間を超える大作映画です。実在の人物をもとに、最初に宇宙に行った7人の宇宙飛行士「マーキュリー・セブン」の物語を描いています。

1940年代後半、アメリカの空軍テストパイロットたちが音の速さを超える飛行に挑戦していました。その中でも有名なチャック・イェーガーは、危険を顧みず新しい記録に挑み続けます。やがてソ連が人工衛星「スプートニク」の打ち上げに成功したことで、アメリカも宇宙開発競争に参加することになります。厳しい訓練と選考を経て選ばれた7人の宇宙飛行士が、未知の宇宙への第一歩を踏み出していく物語です。

アカデミー賞では8部門にノミネートされ、音響賞や編集賞など4部門で受賞しました。

実際の飛行シーンの迫力と、宇宙飛行士たちの人間的な魅力は見どころの一つ。命がけで未知の世界に挑む男たちの勇気と、それを支える家族の愛情が丁寧に描かれています。アメリカとソ連の宇宙開発競争という歴史的背景も興味深く学べます。

本当の勇気とは、恐怖に立ち向かって新しいことに挑戦する気持ちなのです。

宇宙飛行士たちは名声のためではなく、人類の可能性を広げるために危険な任務に挑みました。私たちも日常で困難に直面した時、彼らのような前向きな気持ちを持つことが大切です。

再会の時

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0721)

監督:ローレンス・カスダン

103分/アメリカ
原題または英題:The Big Chill
配給:コロムビア映画

大学時代の仲間たちが、友人の突然の死をきっかけに15年ぶりに再会する週末を描いた作品です。1960年代にミシガン大学で一緒に過ごした7人の友人たちが主人公です。彼らは若い頃、理想に燃えて世界を変えようと夢見ていました。しかし、30代になった今、それぞれが全く違う人生を歩んでいます。成功したビジネスマン、テレビ俳優、弁護士、主婦など、みんな大人になって現実と向き合っています。友人アレックスの葬儀で集まった彼らは、南部の別荘で週末を過ごしながら、昔話をしたり、今の悩みを語り合ったりします。

会話の中に人生の深さを感じとることができ、素晴らしい音楽とキャストも印象的ですね。

豪華なキャストの自然な演技と、1960年代の名曲が使われたサウンドトラックが印象的。グレン・クローズ、ジェフ・ゴールドブラム、ケビン・クラインなど、後に大スターになった俳優たちの若い頃の演技が楽しめます。

時間が経っても友情は大切な宝物になりえます。

大人になって夢と現実のギャップに悩んでも、昔の友人との絆は心の支えになります。人生には思うようにいかないこともあるけれど、それも含めて自分らしく生きることが大切なんですね。

サン・ソレイユ

画像引用元:映画.com

(NO.0722)

監督:クリス・マルケル

104分/フランス
原題または英題:San Soleil
配給:アテネ・フランセ文化センター

普通の映画のようなストーリーはなく、世界各地で撮影した映像を組み合わせて作られた「映像詩」のような作品です。世界を旅するカメラマンが撮った映像を女性の声で紹介していく構成になっています。主な舞台は日本で、東京の街や神社、お祭り、猫などの日常風景が映し出されます。他にもアフリカのギニア・ビサウやアイスランドなど、世界各地の人々の暮らしも登場します。外国人の目から見た1980年代の日本の姿がとても興味深く描かれています。

映画界で権威ある雑誌『サイト・アンド・サウンド』の2014年ドキュメンタリー映画ランキングでは第3位に選ばれました。「映像で作られた哲学書」と言われています。

普通なら見過ごしてしまうような日常の風景が、とても美しく印象的に撮影されています。

映像に合わせた女性のナレーションが詩的で、見ている人を不思議な世界に引き込みます。難しい内容も含まれていますが何度も見ることで新しい発見がある映画です。

記憶は時間とともに変わっていくということでしょうか。私たちは過去の出来事を覚えているつもりでも、実は少しずつ変化していきます。また、違う文化や国の人々の暮らしを見ることで、世界の多様性と共通点の両方に気づくことができます。

スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還

画像引用元:映画.com

(NO.0723)

監督:リチャード・マーカンド

133分/アメリカ
原題または英題:Star Wars: Episode VI – Return of the Jedi
配給:20世紀フォックス映画

スター・ウォーズ旧三部作の最終章。ジョージ・ルーカスが作り上げた壮大な宇宙の物語がついに完結する、感動的な作品です。

前作で冷凍された親友ハン・ソロを救うため、ルーク・スカイウォーカーとレイア姫たちが敵の宮殿に乗り込むところから始まります。一方、悪の皇帝は新しいデス・スター(宇宙要塞)を完成させ、反乱軍を一網打尽にしようと計画しています。ルークは父親であるダース・ベイダーと最後の戦いを繰り広げ、善と悪、光と闇の決着をつけることになります。

父と子の関係に涙するかもしれません。最後まで手に汗握る展開が続きます。

見どころは、なんといってもルークと父ダース・ベイダーの最終決戦です。光る剣(ライトセーバー)を使った戦いは迫力満点ですが、それ以上に父と子の心のやり取りが感動的です。また、森の惑星エンドアでのイウォーク族(小さなクマのような宇宙人)と反乱軍の共闘も見どころの一つです。

どんなに悪いことをした人でも、愛する気持ちがあれば変われるということでしょうか?

ダース・ベイダーは長い間悪の道を歩んでいましたが、最後は息子への愛によって正しい道に戻ります。また、仲間と力を合わせれば、どんな困難も乗り越えられることも教えてくれます。

家族や友達を大切にする心があれば明るい未来が待っているという、人生において大切なメッセージが込められた作品です。

楢山節考

画像引用元:映画.com

(NO.0724)

監督:今村昌平

131分/日本
配給:東映

この映画は世界最高峰の映画祭であるカンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞し、日本映画の素晴らしさを世界に知らしめました。

舞台は江戸時代の信州の山奥にある貧しい村。この村では「70歳になったら楢山という山に行く」という厳しい掟がありました。これは食べ物が少ない村で、みんなが生き延びるための苦しい決まりでした。69歳になったおばあさんのおりんは、この掟を素直に受け入れ、息子の辰平に背負われて山へ向かう準備をします。

この映画の凄さは、ただ悲しい話ではなく、厳しい自然の中で生きる人間の強さや家族の愛を描いているところです。おりんは怖がるどころか、家族のために進んで山に向かおうとします。一方、息子の辰平は母を愛しているからこそ、とても辛い気持ちを抱えています。

考えられないような風習に見るのは辛いかもしれませんが、それゆえに魅力的な体験が得られます。

雪に覆われた美しい山村の風景と、登場人物たちの自然な演技が素晴らしく、まるで昔の日本にタイムスリップしたような気持ちになります。特に主演の坂本スミ子は、役作りのために実際に歯を抜くなど、命がけで演技に取り組みました。

限りある人生をどう生きるか、家族をどう愛するかを考えさせてくれます。現代の私たちとは全く違う時代の話ですが、親子の愛情や、困難な状況でも尊厳を保って生きることについて考えさせられます。

現代社会、少子高齢化で、年寄りがわんさかとあふれかえっています。この映画のことがおきれば??ということを考えずにはいられません。

愛と追憶の日々

画像引用元:映画.com

(NO.0725)

監督:ジェームズ・L・ブルックス

132分/アメリカ
原題または英題:Terms of Endearment
配給:CIC

お母さんと娘の30年間の関係を描いたアメリカ映画です。強がりで口うるさい母親のオーロラと、そんな母親に反発しながらも愛している娘のエマ。二人は結婚や子育て、病気などの人生の出来事を通して、時にはケンカし、時には支え合いながら生きていきます。笑いあり涙ありの感動的なストーリーです。

この映画はアカデミー賞で作品賞を含む5つの賞を受賞し、1983年で2番目にヒットした大成功作となりました。泣きながら笑える映画というにふさわしく、親子の複雑な愛情を見事に表現している作品です。

見どころは、母親役のシャーリー・マクレーンと隣人の元宇宙飛行士役のジャック・ニコルソンの名演技です。特にこの二人のユーモラスで心温まるやりとりが映画に彩りを添えています。

家族の愛は完璧でなくてもいいのです。ぶつかり合いやすれ違いがあっても、本当の愛情は最後まで続くのだと気づかせてくれるでしょう。

エル・ノルテ/約束の地

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0726)

監督:グレゴリー・ナヴァ

141分/アメリカ
原題または英題:El Norte
配給:KUZUIエンタープライズ

グアテマラから兄妹がアメリカを目指す感動的な映画で、移民問題を真正面から描いた社会派作品として高く評価されています。

故郷で内戦に巻き込まれた兄のエンリケと妹のロサは、命の危険を感じて故郷を離れ、「エル・ノルテ(北の国)」と呼ばれるアメリカを目指します。しかし、そこまでの道のりは想像以上に過酷で、アメリカに着いてからも理想と現実のギャップに苦しむことになります。

移民の現実を詩的に描いた傑作であり、社会問題を人間ドラマとして見事に表現しているといえます。現代の『怒りの葡萄』」ともいえ、アメリカ映画史の重要な作品とも言われます。

見どころは、主演の二人の自然で説得力のある演技と、美しい映像で描かれる過酷な現実のコントラストです。

夢を追うことの大変さや家族の絆の大切さを教えてくれると同時に、移民問題について考えさせてくれます。

現代においては、この映画はより身近な例として考えさせる材料になっています。日本でも移民問題で大きく揺れています。そういうときに「話の趣旨が違う」とあらすじだけを追うのではなく、どういう考えをもつか、どういう風に外国と接していくべきかを考えさせてくれるのです。内容が同意できるかどうかではなく、あなたの心にどう入っていくかを試してほしいのです。

4番目の男

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0727)

監督:ポール・バーホーベン

104分/オランダ
原題または英題:The 4th Man
配給:KUZUIエンタープライズ

後に『氷の微笑』で世界的に有名になったバーホーベン監督の、ハリウッド進出前の代表作として知られているスリラー映画です。

主人公は酒好きの作家ジェラルドで、講演旅行先で美しい美容師クリスティーヌと出会います。彼女に惹かれる一方で、過去に3人の夫が不可解な死を遂げていることを知り、自分が「4番目の男」になるのではないかという恐怖と欲望の間で揺れ動きます。現実と幻覚が混じり合う中で、真実が何なのかがわからなくなっていく物語です。

宗教的な象徴とエロティックな要素を巧妙に組み合わせた、傑作ともいえるスリラーで、挑発しながらも魅了する作品ともいえます。

キリスト教的なモチーフが随所に散りばめられた美しく不気味な映像と、主人公の心理状態を巧みに表現した演出は大きな見どころです。

バーホーベン監督特有の過激さがありながらも、人間の欲望や恐怖を深く掘り下げた心理描写が印象的です。

この映画は、理性と欲望の狭間で揺れる人間の複雑さを描いた大人向けの心理スリラーです。

ヴィデオドローム

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0728)

監督:デヴィッド・クローネンバーグ

87分/アメリカ・カナダ
原題または英題:Videodrome
配給:日本ヘラルド映画

不気味なホラー映画として知られており、テレビと人間の体が異常な形で結びつく、とても独特な世界を描いた作品として有名です。

主人公のマックス・レンは、小さなテレビ局の社長で、視聴率の取れる刺激的な番組を探しています。そんな時、「ヴィデオドローム」という暴力的な内容の謎の番組を発見します。しかし、この番組を見続けるうちに、マックスの体に異変が起こり始め、現実と幻覚の区別がつかなくなっていきます。

視覚的に大胆で混乱させる奇妙な作品といえます。また、テクノロジーや娯楽、政治についての考察が今でも新鮮に感じるでしょう。公開から40年経った今でも、メディアとの付き合い方について警告を発する予言的な作品として注目されています。

見どころは、人間の体がテレビやビデオテープと融合していく衝撃的な特殊効果です。

現在のようにスマートフォンやネットが普及する前の1980年代に、メディアに支配される怖さを描いた先見性のある作品として評価されています。

現代の私たちにとって、映像メディアとの関係を見直すきっかけを与えてくれる映画です。

コヤニスカッティ

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0729)

監督:ゴッドフリー・レジオ

86分/アメリカ
原題または英題:Koyaanisqatsi
配給:ヘラルド・エース

実験的なドキュメンタリー映画の一つで、物語も会話も一切ないのが最大の特徴です。映像と音楽だけで約90分間を構成した、とても珍しい作品として知られています。

タイトルの「コヤニスカッティ」は、アメリカ先住民ホピ族の言葉で「バランスを失った生活」という意味です。映画は美しい自然の風景から始まり、やがて都市の忙しい風景へと移っていきます。スローモーションや早送りなどの技法を使って、自然と人間社会の対比を印象的に描いています。

音楽は有名な作曲家フィリップ・グラスが担当し、映像と音楽が一体となって強烈な印象を与えます。

映像と音楽が融合した素晴らしい体験ができ、大胆でありながら純粋に楽しめる作品といえます。

便利で快適な現代生活が果たして本当に良いものなのか、自然との調和を忘れていないか問いかけている映画と言えます。

言葉がないからこそ、世界中の人が同じメッセージを受け取れる普遍的な作品として、今でも多くの人に愛され続けています。

スカーフェイス

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0730)

監督:ブライアン・デ・パルマ

169分/アメリカ
原題または英題:Scarface
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ

キューバからアメリカに渡った移民が麻薬組織のボスにのし上がる姿が描かれるギャング映画です。

主人公のトニー・モンタナは、貧しいキューバ移民としてマイアミにやって来ます。彼は野心と冷酷さを武器に麻薬売買の世界で成り上がり、ついにはフロリダ最大の麻薬王になります。しかし、権力と富を手に入れるほど孤独になり、最後は破滅への道を歩むことになります。

スタイリッシュで超暴力的、そして印象的なセリフが満載のギャング映画の王道的作品です。公開当時は過激な暴力シーンで物議を醸しましたが、現在ではギャング映画の古典としても高く評価されていますね。

この映画は、お金や権力への欲望が人をどこまで変えてしまうのか、そして成功の代償がいかに大きいかを教えてくれる作品です。アメリカンドリームの光と影を描いた、大人向けの重厚なギャング映画です。

キング・オブ・コメディ

画像引用元:映画.com

(NO.0731)

監督:マーティン・スコセッシ

109分/アメリカ
原題または英題:The King of Comedy
配給:松竹富士

お笑い芸人を夢見る男が、有名になるためにとんでもない行動に出る物語を描いています。

主人公のルパート・パプキンは34歳で、今でも母親と一緒に住みながらコメディアンを目指しています。彼は人気トーク番組の司会者ジェリー・ラングフォードに憧れ、番組に出演させてもらおうと必死にアプローチします。しかし、相手にされないルパートは次第に常識を超えた行動に走り、ついには犯罪にまで手を染めてしまいます。

公開当時は理解されなかったですが、今見ると不気味なほど先見性がある作品といえます。

実際、この映画が描く「有名になりたがる人」の心理は、SNSが普及した現代でより身近に感じられるものになっています。

デ・ニーロが演じるルパートの痛々しいまでの必死さと、それに対する周囲の冷たい反応は見どころの一つ。

夢を持つことの大切さと同時に、それが行き過ぎると危険になることをあり、考えさせられますね。

有名になることの虚しさや、現代の有名人崇拝の問題点も鋭く描いた作品として、今でも多くの人に愛され続けています。

ローカル・ヒーロー/夢に生きた男

画像引用元:映画.com

(NO.0732)

監督:ビル・フォーサイス

112分/イギリス
原題または英題:Local Hero
配給:ハーク

アメリカの石油会社で働く男性が、仕事でスコットランドの小さな村を訪れたことから始まるというお話しの心温まるコメディドラマです。

主人公のマック・マッキンタイヤーは、テキサス州ヒューストンの石油会社で働くビジネスマンです。会社の命令で、スコットランドの美しい海辺の村フェルネスを買収するために派遣されます。最初は仕事として来ただけでしたが、村の人々の温かさや美しい自然に触れるうちに、都市生活では味わえない豊かさを感じるようになります。

魅力的で控えめなキャラクターというのもあって、ユーモラスで心温まる作品です。

この映画の魅力は、急がず焦らず、ゆっくりと展開される物語と、スコットランドの美しい風景です。

お金や成功だけが幸せではないこと、自然や人とのつながりの大切さを静かに教えてくれる、優しい気持ちになれる映画です。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0733)

監督:セルジオ・レオーネ

205分/アメリカ・イタリア
原題または英題:Once Upon a Time in America
配給:東宝東和

イタリアの巨匠セルジオ・レオーネ監督の最後の作品で、ギャング映画の傑作として知られています。禁酒法時代のニューヨークを舞台に、貧しい少年時代から犯罪組織のボスへと成り上がった男たちの、50年にわたる友情と裏切りの物語を描いています。

主人公は「ヌードルス」と呼ばれるデイヴィッドで、幼なじみのマックスたちと一緒にユダヤ系移民街で育ちます。彼らは犯罪に手を染めながら成長し、やがて大きな組織を築きますが、欲望と裏切りによって友情は崩れ、悲劇的な結末を迎えます。

美しい背景が続き、そのうえで心を揺さぶるという傑作です。公開当時、アメリカでは大幅にカットされた短縮版が上映されて評判が悪かったのですが、後に監督の意図した完全版(約4時間)が評価され、映画史に残る名作といわれるようになりました。

お金や権力を追い求めることの虚しさと、過去の行いが人生にどのような影響を与えるかを描いた重厚な人間ドラマです。

エンニオ・モリコーネの美しい音楽も印象的で、大人向けの深い作品として多くの人に愛されています。

UTU(ウツ)/復讐

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0734)

監督:ジェフ・マーフィー

104分/ニュージーランド
原題または英題:Utu
日本公開情報なし

1870年代のニュージーランドで実際にあった「ニュージーランド戦争」を題材に、先住民マオリ族とイギリス植民者の激しい戦いを描いている歴史映画です。

主人公のテ・フェケは、最初はイギリス軍の兵士として働いていたマオリ族の戦士です。しかし、イギリス軍が彼の村を襲撃して家族を殺したことで、復讐を誓います。「ウツ」とはマオリ語で「復讐」を意味する言葉で、テ・フェケは元の仲間だったイギリス軍に対して激しい戦いを挑みます。

海外では「ニュージーランド版西部劇」とも言われます。この映画の成功により監督はハリウッドでも仕事を得ることができました。ニュージーランドでも大ヒットし、当時の国産映画として2番目の興行成績を記録しました。

この映画は、植民地支配の残酷さと復讐の連鎖がもたらす悲劇を描いています。

怒りに支配されて復讐を求めることの危うさと、異なる文化同士の対立の悲しさを教えてくれます。

最後の戦い

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0735)

監督:リュック・ベッソン

90分/フランス
原題または英題:Le Dernier Combat

配給:ホールマン・オフィス=パブリスト・プランナーズ

将来の『レオン』や『フィフス・エレメント』で有名になるベッソン監督の記念すべきデビュー作として知られています。

何らかの災害によって文明が崩壊した近未来の世界を舞台にしています。人々は話す能力を失い、ほとんど言葉を発することができません。映画全体でわずか2つの単語しか話されないという、とても珍しい作品です。モノクロで撮影されており、まるで古い無声映画のような雰囲気があります。

主人公は廃墟となった世界をさまよう男性で、途中で医師や女性と出会います。彼らは言葉なしでコミュニケーションを取りながら、過酷な環境で生き延びようとします。ジャン・レノも「野蛮人」役で出演しており、これが彼の映画デビュー作でもあります。

この映画は実験的な作品として作られたため、一般的な娯楽映画とは大きく異なります。

ストーリーよりも映像の美しさや雰囲気を重視した芸術的な作品です。文明が失われても人間らしさを保とうとする姿を通して、人とのつながりの大切さを静かに描いています。

芸術作品と言われながらも、人間の生きる本能を美しく示している作品でもあるのです。

1984年

1984年を象徴するイメージ画像をアニメ風に。前向きな気持ちになれるようにしました。

ターミネーター

画像引用元:映画.com

(NO.0736)

監督:ジェームズ・キャメロン

108分/PG12/アメリカ
原題または英題:The Terminator
配給:ローソン・ユナイテッドシネマ

わずか640万ドルという低予算で作られましたが、世界中で大ヒットし、映画史に残る映画となりました。

未来で機械と人間が戦争をしている世界から始まります。機械軍の人工知能「スカイネット」は、人類の抵抗軍リーダーであるジョン・コナーの誕生を阻止するため、殺人ロボット「ターミネーター」を1984年に送り込みます。ターミネーターの目標は、ジョンの母親サラ・コナーを殺すことです。一方、人類側も兵士カイル・リースを過去に送り、サラを守ろうとします。

アーノルド・シュワルツェネッガーが演じるターミネーターの冷酷で無表情な演技が印象的で、「アイル・ビー・バック(また戻ってくる)」というセリフは映画史に残る名言となりました。

単なるアクション映画ではなく、「未来は変えられる」というメッセージが込められています。

どんなに絶望的な状況でも、人間の意志と行動で運命を変えることができるという希望を与えてくれる作品です。

ナチュラル

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0737)

監督:バリー・レヴィンソン

138分/アメリカ
原題または英題:The Natural

配給:TriStar Pictures

物語の主人公ロイ・ハブスは、若い頃に野球の天才選手として注目されていました。しかし不運な事件でけがを負い、長い間野球から離れることになります。16年後、35歳になったロイは再び野球の世界に戻り、弱小チーム「ニューヨーク・ナイツ」に入団します。年齢のハンディを跳ね返す驚異的なバッティングで、チームを勝利に導いていく姿が描かれています。

神話のようなスポーツ映画でもあり、美しい映像と音楽がハートをつかみます。

この映画の一番の見どころは、ロバート・レッドフォードが演じるロイの雄姿です。バットを振る瞬間の美しさや、ホームランボールがスタジアムの照明を破壊するクライマックスシーンは、野球映画史に残る名場面です。

夢を追うのに遅すぎることはありません!

人生で挫折や困難があっても、諦めずに努力を続ければ、再び輝ける瞬間が訪れるかもしれません。この映画は、野球というスポーツを通して人生をやり直す勇気を教えてくれます。

ゴーストバスターズ

画像引用元:映画.com

(NO.0738)

監督:アイヴァン・ライトマン

105分/アメリカ
原題または英題:Ghostbusters

配給:コロンビア・ピクチャーズ

ホラーとコメディを上手く組み合わせた作品として世界中で大人気になり、日本でもよく知られています。

ニューヨークで超常現象の研究をしていた3人の科学者が大学をクビになってしまうところから始まります。お金に困った彼らは「幽霊退治」の会社を作って商売を始めることにしました。最初はからかわれていた彼らですが、本当に幽霊が現れるようになると、街の人たちは彼らに助けを求めるように。やがて街を脅かす巨大な悪霊が現れ、科学者たちは力を合わせて立ち向かいます。

なんといってもキャラクターたちの面白い会話は見どころでしょう。特にビル・マーレイが演じる主人公の軽いノリのセリフが笑いを誘います。怖いシーンもあるものの基本的にユーモアたっぷりで、家族みんなで楽しめる内容です。当時としては最新の特撮技術も使われていて、幽霊たちの迫力ある姿も見どころの一つです。

どんなに変わったアイデアでも、仲間と力を合わせて信じて進めば成功できるのです。

最初は誰にも相手にされなかった彼らが、最後には街のヒーローになる姿は、どんな人でも感じるものがあるでしょう。

パリ、テキサス

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(NO.0739)

監督:ヴィム・ヴェンダース

146分/G/西ドイツ・フランス・イギリス
原題または英題:Paris, Texas
配給:東北新社

家族の大切さと人生のやり直しについて描いた感動的な作品です。

4年間も行方不明になっていたトラヴィスという男性が主人公。彼は記憶を失った状態で砂漠で見つかり、弟に保護されます。やがて彼は自分に7歳の息子がいることを思い出し、その子と再会します。しかし、妻は4年前に姿を消したまま。トラヴィスは息子と一緒に、失踪した妻を探す旅に出ることになります。

カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞しました。アメリカの広大な砂漠や街並みを美しく撮影した映像と、ギターの切ない音楽が印象的で心に深く残ります。

主人公トラヴィスを演じたハリー・ディーン・スタントンの静かで深い演技と、映画の終盤で妻との間に交わされる心に響く会話シーンは見どころです。父と息子が一緒に旅をしながら絆を深めていく過程も描かれています。

過去に失敗や後悔があっても、愛する人のために行動すれば新しいスタートを切れるということです。

時には自分を犠牲にしても、大切な人の幸せを願う気持ちの美しさを伝えてくれる映画なのです。

エルム街の悪夢

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0740)

監督:ウェス・クレイヴン

91分/アメリカ
原題または英題:A Nightmare On Elm Street

配給:日本ヘラルド映画

恐怖映画の歴史を変えた名作として知られています。高校生のナンシーたちが悪夢の中で謎の男に襲われるという不思議な出来事から始まります。その男の名前はフレディ・クルーガー。焼けただれた顔に、指にナイフがついた手袋をはめた恐ろしい姿をしています。最も怖いのは、夢の中で殺されると現実でも死んでしまうということ。眠ることができなくなった若者たちは、この悪夢の正体を突き止めて立ち向かおうとします。

この映画は世界中で大ヒットしました。特に「夢」という誰もが体験する身近なものを恐怖の舞台にしたアイデアが画期的でした。フレディ・クルーガーは映画史上最も有名なホラーキャラクターの一人となり、その後多くの続編が作られました。

ジョニー・デップはこの作品が映画初出演作で、のちに大スターの道を歩みました。

どんなに怖いことがあっても逃げずに立ち向かう勇気をひっそりと学んでいきましょう。

主人公ナンシーが最後に見せる勇気ある行動は、現実の困難に立ち向かうヒントを与えてくれます。単なる怖い映画ではなく、人間の強さについて考えさせられる作品です。

スパイナル・タップ

画像引用元:映画.com

(NO.0741)

監督:ロブ・ライナー

83分/G/アメリカ
原題または英題:This Is Spinal Tap
配給:アンプラグド

『スパイナル・タップ』は1984年に作られたアメリカのコメディ映画で、架空のハードロックバンド「スパイナル・タップ」のコンサートツアーを追った「偽のドキュメンタリー」です。本当のドキュメンタリーのように作られていますが、実際にはすべて演技で撮影された面白い映画です。

物語は、落ち目になったイギリスのロックバンドがアメリカツアーを行う様子を描いています。バンドメンバーたちは自分たちを偉大なミュージシャンだと思い込んでいますが、実際にはトラブル続きで失敗ばかり。コンサート会場を間違えたり、ステージで迷子になったり、観客がほとんど来なかったりと、笑えるハプニングが次々に起こります。

この映画は世界中で高く評価され、コメディ映画の傑作として知られています。特に「アンプのボリュームを11まで上げられる」という名セリフは、今でも多くの人に愛され続けています。後の多くのコメディ番組や映画にも大きな影響を与えました。

この映画が教えてくれるのは、自分を客観視することの大切さです。バンドメンバーたちの勘違いぶりは笑えますが、私たちも時には同じように自分を過大評価してしまうことがあります。笑いながら、謙虚さの大切さについて考えさせられる作品です。

インドへの道

画像引用元:Rotten Tomatoes

(NO.0742)

監督:デヴィッド・リーン

163分/イギリス
原題または英題:A Passage To India
配給:松竹富士

有名な小説を映画化した作品です。監督は『アラビアのロレンス』で知られるデヴィッド・リーンで、これが彼の最後の作品になりました。

物語は1920年代のインドが舞台です。当時のインドはイギリスに支配されていました。イギリスからやってきた若い女性アデラと、インド人の医師アジズが友達になりますが、ある出来事をきっかけに大きな誤解が生まれてしまいます。アデラがアジズに乱暴されたと訴えたことで、裁判が行われることになります。

主演女優のペギー・アシュクロフトがアカデミー助演女優賞を受賞しました。

インドの美しい風景を映した映像が特に印象的で、まるで絵画のような美しさです。また、当時のイギリス人とインド人の間にあった偏見や差別の問題を丁寧に描いています。

人と人が本当に理解し合うことは難しいものです。言葉や文化が違う人たちが出会ったとき、誤解や偏見が生まれてしまうことがあります。

それでも相手を理解しようとする気持ちが大切だということを伝えてくれます。現代を生きる私たちにとっても、多様な人たちと共に生きるために必要な心構えを学べる作品といえます。

ビバリーヒルズ・コップ

画像引用元:映画.com

(NO.0743)

監督:マーティン・ブレスト

105分/アメリカ
原題または英題:Beverly Hills Cop
配給:パラマウント=CIC

コメディとアクションが組み合わさった楽しい作品です。主人公はエディ・マーフィが演じるアクセル・フォーリーという、デトロイトで働く型破りな刑事です。

親友が殺される事件から始まります。アクセルは犯人を捕まえるために、高級住宅地で有名なビバリーヒルズに向かいます。デトロイトの下町育ちの彼にとって、お金持ちばかりが住む洗練された街は別世界。ビバリーヒルズの警察官たちも彼の自由すぎる捜査方法に困惑してしまいます。でも、アクセルは持ち前のユーモアと機転を使って、次々と問題を解決していきます。

この映画は世界中で大ヒットし、エディ・マーフィを一躍スターにしました。特に有名なのが「Axel F」という音楽で、今でも多くの人に愛され続けています。アクセルが嘘をついてホテルに泊まったり、警察署で騒ぎを起こしたりするシーンは、何度見ても笑えます。

自分らしさを大切にすることが大切だということを教えてくれます。

周りと違っていても、自分の個性を活かせば道は開けるということを、アクセルの活躍を通して伝えてくれます。笑いながら元気がもらえる、80年代を代表する名作です。

キリング・フィールド

画像引用元:映画.com

(NO.0744)

監督:ローランド・ジョフィ

141分/イギリス
原題または英題:The Killing Fields
配給:ワーナー・ブラザース

カンボジアで実際に起きた悲しい出来事を描いた作品です。1970年代のカンボジアでは内戦が起きており、ポル・ポトという人が率いるクメール・ルージュという組織が国を支配していました。

物語の主人公は、アメリカ人記者のシドニー・シャンバーグと、彼を助けていたカンボジア人通訳のディス・プランです。二人は戦争の真実を世界に伝えるために協力していました。しかし、戦争が激しくなったとき、シャンバーグは安全な場所に避難できましたが、プランは故郷に残らなければなりませんでした。

プランはその後、強制労働をさせられたり、ひどい扱いを受けたりしながらも、生き延びようと必死に頑張りました。一方のシャンバーグは、友達を助けられなかった罪悪感に苦しみながら、プランを探し続けました。

世界中で高く評価され、プランを演じたハン・S・ノールがアカデミー助演男優賞を受賞しました。彼自身も実際にポル・ポト政権下を生き延びた体験があるため、演技にはリアルな迫力がありました。

戦争の恐ろしさと友情の大切さを伝えています。どんなに困難な状況でも、希望を捨てずに生きることの重要性を伝えてくれる作品です。

ポル・ポト政権をテーマにした映画は少ないのでけっこう貴重ですよ。

ストレンジャー・ザン・パラダイス

画像引用元:映画.com

(NO.0745)

監督:ジム・ジャームッシュ

90分/アメリカ・西ドイツ
原題または英題:Stranger Than Paradise
配給:フランス映画社

インディペンデント映画(大きな映画会社に頼らずに作られた映画)の代表的な作品です。モノクロで撮影されたデッドパン(無表情)喜劇です。

物語はとてもシンプル。ニューヨークに住む青年ウィリーのもとに、ハンガリーから従妹のエヴァがやってきます。最初はお互いによそよそしかった二人ですが、だんだんと仲良くなっていきます。その後、ウィリーと友達のエディーは、クリーブランドに住むエヴァに会いに行き、最後は三人でフロリダへ旅行に出かけます。

普通の映画のように派手なアクションや劇的な出来事がほとんど起こらない映画です。

登場人物たちはテレビを見たり、タバコを吸ったり、何気ない会話をしたりするだけ。でも、その「何もしない時間」がなぜか面白く感じられます。

特別なことが起こらない日常にも、実は豊かさや面白さが隠れています。この感覚を思えると、きっと毎日の生活がもっと充実したものになるでしょう。

どこに行っても結局は同じような毎日が続くけれど、それを受け入れることで見えてくるものがあるのかもしれません。派手さを求めがちな現代において、何もないことの価値を伝えてくれます。

アマデウス

画像引用元:映画.com

(NO.0746)

監督:ミロス・フォアマン

160分/G/アメリカ
原題または英題:Amadeus
配給:松竹富士

音楽史上最も有名な天才作曲家モーツァルトの人生を描いた作品です。ただし、この映画はモーツァルト本人ではなく、同じ時代に生きていたサリエリという宮廷作曲家の目線から物語が語られます。

サリエリは神に音楽の才能を与えてもらえるよう一生懸命お祈りしていましたが、現れたのは下品で子どもっぽいモーツァルトでした。でも彼の音楽は信じられないほど美しく、サリエリは自分の才能との違いに苦しみます。次第にサリエリはモーツァルトを憎むようになり、彼を陥れようと画策するようになります。

この映画はアカデミー賞で作品賞など8部門を受賞し、世界中で絶賛されました。

18世紀のウィーンの豪華な宮廷を再現した美術や衣装も素晴らしく、何よりもモーツァルトの美しい音楽が映画全体を彩っています。サリエリを演じたF・マーリー・エイブラハムの迫真の演技も印象的です。

人間の複雑な感情について考えさせられます。

他人の才能に嫉妬することは誰にでもある感情ですが、それに支配されてしまうと自分自身を苦しめることになります。また、天才や異人って、みんな常識人とは限りません。何とかと天才は紙一重という言葉もある通り、みんな良い子だから優れていると言えばまた違うわけで。

日本の、みんな同じように向くという文化にも一石を投じている内容でもあるのです。

真の芸術は時代を超えて人々の心を動かし続けるということも合わせながら鑑賞すると楽しい映画と言えるでしょう。

まとめ

80年代っぽく、映画撮影を楽しんでいる動物たちのイメージ画像です。

この記事では、『死ぬまでに観たい映画1001本』のうち、1980年~1984年までの、80年代前半作品の概要をお伝えしました。

かんとくさん

『ゴーストバスターズ』は冷蔵庫に怪物がいたけど、僕も冷蔵庫を開けたら何と!

あおい

ええ!! 本当ですか?

かんとくさん

賞味期限切れのお弁当がいっぱいいたんだ

あおい

片付けたほうがいいかと…..

『死ぬまでに観たい映画1001本』の完全リストはこちらです。

80年代後半の概要はこちら

『死ぬまでに観たい映画1001本』1980年代リスト(後編)

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映画は人生の羅針盤を使うための大きなツールの一つです。
いい映画を紹介するというだけではなく、人生の考え方や人間関係などの悩みなどでお役に立てればと思っています。
映画はあなたの人生に必ず役に立てる時がありますので、いっしょに解決していきましょう。

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