この記事では
『死ぬまでに観たい映画1001本』全リスト作品の概要を簡単に説明しています。
全部で1200作品以上あり一つの記事で紹介しきれないので、年代別に分けています。
ここでは、1970年代後半の、1975年から1979年までの作品を紹介します。

今日も映画を見るぞ






















































いいですねえ
各映画の概要を簡潔に紹介しています。考察はほとんど書いていません。まずは感覚を楽しんでいただき、あなたのハートを動かしてもらうのが目的です。
人生の岐路において、役立つ映画がここでもわんさかと掲載されています。
興味がある作品はどんどん鑑賞していきましょう。そして次の興味をひきだして、映画ライフを充実させていきましょう。

名作映画がズラリと並んでいるねえ
記事を順番で見ていくと長くなるので、こちらの一覧リストから見るといいですよ。























































このリストの作品名から概要の記事に飛べます
1975年

バリー・リンドン

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0611)
監督:スタンリー・キューブリック
185分/アメリカ
原題または英題:Barry Lyndon
配給:ワーナー・ブラザース映画
18世紀のヨーロッパを舞台にした壮大な物語です。主人公のレドモンド・バリーは、アイルランドの貧しい青年でしたが、恋愛のもつれから決闘騒ぎを起こし、故郷を離れることになります。軍隊に入ったり、ギャンブラーになったりしながら、最終的には美しい貴族の未亡人と結婚して「バリー・リンドン」という名前と地位を手に入れます。しかし、贅沢な生活の中で次第に家族や周囲の人々との関係が悪化し、やがて没落への道を歩むことになります。
公開当初は長時間で静かな展開のため賛否あったものの、時間が経つにつれてその芸術的価値が高く評価されるようになりました。絵画のように完璧な映像美です。というのは、自然光やロウソクの明かりだけで撮影された革新的な映像技術であったからです。
18世紀の絵画がそのまま動き出したかのような美しさで、まるでタイムマシンで過去の世界を覗いているような感覚です。華やかな宮廷生活や戦場の様子がリアルに描かれています。
美しい映像とは対照的に、人間の欲望や嫉妬、虚栄心といった醜い部分も冷静に描かれており、その対比が印象的です。
成功や地位、お金といったものは永続しないという教訓を教わります。
主人公は一時的には社会的な成功を手に入れますが、それが必ずしも幸せをもたらすわけではないということでしょう。人生の栄光と挫折を通して、本当に大切なものは何かを考えさせてくれるでしょう。
主演は最初ライアン・オニールの予定ではなく、キューブリックは最初ロバート・レッドフォードを望んでいたのですが断られ、当時人気絶頂だったライアン・オニールを起用。
「人気俳優を起用しないと興行的に危険」という配給会社の事情もあったとか。
ロッキー・ホラー・ショー

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0612)
監督:ジム・シャーマン
99分/イギリス
原題または英題:The Rocky Horror Picture Show
配給:20世紀フォックス映画
世界中でカルト的な人気を誇る異色作品です。結婚を控えたカップルのブラッドとジャネットが、嵐の夜に車が故障して立ち寄った古いお城で、奇妙な科学者フランクン・フルター博士と出会います。そこで繰り広げられるのは、ロック音楽とダンス、コメディとホラーが混ざり合った予想外の世界です。普通の映画とは全く違う、型破りで華やかな物語が展開されます。
この映画の最も特徴的なのは「参加型上映」という文化で、観客がコスプレをして映画館に行き、登場人物と一緒にセリフを言ったり歌ったりします。
これは映画史上でも非常に珍しい現象で、単に映画を見るだけでなく、観客も一緒に作品を作り上げる体験として評価されています。
ティム・カリーが演じるフランクン・フルター博士の圧倒的な演技力と、印象的な音楽ナンバーが魅力です。
「普通」や「常識」という枠にとらわれない生き方を描いており、多様性や個性を大切にするメッセージが伝わってきます。他人の目を気にしすぎず、自分らしく生きることが大切です。
周りと違っていても悪いことではないということを示しており、多様性について考えさせてくれます。現代でより輝く映画ですよね。
ローリング・ストーンズのミック・ジャガーは、映画『ロッキー・ホラー・ショー』の主役であるフランクン・フルター博士を演じることを強く希望していたといわれます。
映画の脚本家であるリチャード・オブライエンによると、ミック・ジャガーの関係者が、彼がフランクン・フルターを演じるために映画の権利を買い取りたいと申し出たそうです。しかし、オブライエンと監督のジム・シャーマンは、舞台版で同役を演じていたティム・カリーを起用することを望んでいたため、その申し出を断ったのだとか。
ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0613)
監督:シャンタル・アケルマン
202分/G/ベルギー・フランス
原題または英題:Jeanne Dielman, 23, quai du commerce, 1080 Bruxelles
配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
ブリュッセルに住む未亡人のジャンヌ・ディエルマンという女性の3日間の日常生活を、3時間20分という長い時間をかけて描いています。料理を作る、掃除をする、息子の世話をするといった普通の家事を、省略することなくそのまま映し出します。普通の映画のような劇的な出来事はほとんど起こりませんが、日常の繰り返しの中で少しずつ変化が現れ、最後に衝撃的な結末を迎えます。
2022年に発表されたイギリス映画協会の「史上最高の映画」ランキングで、70年の歴史で初めて女性監督の作品が1位に選ばれるという歴史的な快挙を成し遂げました。「フェミニズム映画の金字塔」「日常を芸術に変えた稀有な作品」と言われています。退屈だけれど忘れられない、深い余韻を残す映画として記憶に残るでしょう。











でも折りたたみベッドはオシャレでした
家事のシーンが延々と続くという一見単調な映像の中に、女性の社会的立場や心の内面が巧妙に込められています。料理や掃除などの作業を丁寧に映すことで、普段見過ごされがちな家庭内労働の価値や、女性が感じる孤独感を浮き彫りにしています。
日常の単調な繰り返しの中にも、実は深い意味や感情が隠されているのです。
表面上は平穏に見える生活でも、人は心の中に様々な思いを抱えています。女性の社会的地位や家庭内での役割について考えさせられるという斬新なテーマは、その後の家庭のあり方を大きく変えていくのでした。
恋人と観る映画とは言えないのでお気をつけて。
静かすぎて、一定のリズムで続くから海外では「子守歌映画」と呼ばれることも。

眠くてウトウトして、寝て起きてもまだジャガイモをむいていたよ






















































あらら
旅芸人の記憶

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0614)
監督:テオ・アンゲロプロス
232分/ギリシャ
原題または英題:O THIASSOS
配給:フランス映画社
1939年から1952年にかけてのギリシャの激動の歴史を、「羊飼いの少女ゴルフォ」という劇を演じて各地を回る旅芸人一座の姿を通して描いています。
この映画の一番の特徴は、アンゲロプロス監督独特の「長回し」と呼ばれる撮影方法です。4時間近い映画なのに、カットの数はわずか80回程度という驚異的な技法で撮られています。一つの場面を長い時間映し続けることで、観客は映画の中の時間をゆっくりと体験できます。
1975年のカンヌ国際映画祭で国際批評家大賞を受賞し、日本でも1979年のキネマ旬報外国映画第1位に選ばれるなど、世界中で絶賛されました。






















































アメリカでも人気があったんですね

「観たけど説明できない映画」とネタにされていたみたい
この映画を見ると、戦争や政治の混乱の中でも、人々は日常を生き続けるということがよくわかります。
旅芸人たちは時代に翻弄されながらも、芝居を続けることで希望を失いません。
困難な時代に直面したとき、自分なりの芝居を続けることで幸福になれるヒントを示しています。そして歴史は教科書の出来事ではなく、普通の人々の人生そのものなのです。
モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0615)
監督:テリー・ギリアム、テリー・ジョーンズ
93分/イギリス
原題または英題:Monty Python and the Holy Grail
配給:テレキャスジャパン
イギリスの人気コメディグループ「モンティ・パイソン」が作った93分の映画です。アーサー王の聖杯探しの物語を、とことんバカバカしくパロディにした作品で、真面目な騎士道物語を笑い飛ばしています。
この映画の面白さは、お金をかけずに工夫で笑いを作り出している点です。
馬がいないので、従者がココナッツを叩いて馬の足音を表現したり、手足を切り落とされても「かすり傷だ!」と言い張る黒騎士など、アイデア満載のギャグが次々と登場します。
海外では「史上最高のコメディ映画の一つ」と言われています。アメリカでは特にカルト的人気を誇り、セリフを暗記するファンも多くいるほどです。

映画の製作費、ビートルズのジョージ・ハリスンやピンク・フロイドが資金援助したんですね






















































「続きが見たい!」というファン心理からだったようです
どんなに偉そうなものでも笑いに変えられるのですね。
権威や常識を疑って、違う角度から物事を見るのもいいかもしれません。
日本でもこういうギャグ漫画たくさんありました。人生で行き詰まったとき、少しバカバカしく考えてみると、新しい発見があるかもしれません。真面目すぎる毎日に笑いが欲しい人におすすめの映画です。
DEEWAAR

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0616)
監督:ヤシュ・チョプラ
174分/インド
原題または英題:Deewar
日本公開情報なし
主演は「ボリウッドの帝王」と呼ばれるアミターブ・バッチャンです。この映画によって、バッチャンは「怒れる若者」として一躍スターになりました。
貧しい環境で育った兄弟の全く違う人生を描いています。兄のヴィジャイは生活の苦しさから犯罪の世界に入り、弟のラヴィは正義を信じて警察官になります。二人の間には大きな「壁」ができてしまい、最後は敵同士として向き合うことになります。母親は両方の息子を愛しているため、その苦しみは計り知れません。
インド映画の金字塔とも言われ、その後の基礎を作りました。後の香港映画やハリウッド映画にも影響を与えました。
1970年代のインド社会を象徴する作品で、「怒れる若者」を体現したアミターブ・バッチャンを国民的スターに押し上げた映画です。彼のキャリアを語るうえで外せない1本であり、インド映画の流れを変えたといわれています。日本未公開でこのリストに載った理由はこういうところかと思いますね。
この映画は、人生の選択がどれほど大切かということを考えさせられます。
同じ環境で育っても、それぞれが選ぶ道によって全く違う結果になってしまいます。また、家族の愛情と正義感の間で揺れ動く人間の心の複雑さも描かれており、自分だったらどうするかを考えさせられるでしょう。
狼たちの午後

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0617)
監督:シドニー・ルメット
124分/G/アメリカ
原題または英題:Dog Day Afternoon
配給:ワーナー・ブラザース映画
1972年にニューヨークで実際に起きた銀行強盗事件を元にしており、「全て真実の話」として映画の冒頭でも紹介されています。
主人公のソニーは仲間と一緒に銀行を襲いますが、計画は最初からうまくいきません。逃げ遅れて人質を取ることになり、銀行の外には警察と野次馬がどんどん集まってきます。事件は生中継され、まるでお祭りのような騒ぎになっていきます。
アカデミー賞では6部門にノミネートされ、脚本賞を受賞しました。特に、当時としては珍しいLGBTQの問題も扱った、当時としては勇気のある作品でもありました。
この映画の見どころは、アル・パチーノの迫真の演技と、だんだんと追い詰められていく緊張感です。
事件を面白がって見物する群衆やメディアの様子も描かれており、現代のSNSでの「炎上」現象にも通じる内容になっています。
パチーノが絶叫する「アティカ!(Attica!)」は、4年前にニューヨーク州の刑務所で起きた暴動事件への抗議を指しています。
人は追い詰められると本当の姿が出てしまうということと、社会がそんな人を「娯楽」として消費してしまう怖さです。犯罪は決して正しくありませんが、ソニーの人間らしい弱さには共感してしまいます。











実際に銀行を襲ったジョンは逮捕・服役後、刑務所でこの映画を観て「まぁ、だいたい合ってる」とコメントしたそうです。
カッコーの巣の上で

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0618)
監督:ミロス・フォアマン
133分/アメリカ
原題または英題:One Flew Over the Cuckoo’s Nest
配給:ユナイテッド・アーティスツ
刑務所での厳しい労働を避けるため、精神的な病気のふりをして精神病院に送られた主人公マクマーフィーの物語です。
病院では看護師ラチェッドが患者たちを厳しく管理していました。自由奔放なマクマーフィーは、おとなしくなっていた患者たちに生きる楽しさを教えようとしますが、ラチェッドとの対立は激しくなっていきます。この「自由 vs 管理」の戦いが映画の中心になっています。
アカデミー賞では、作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞・脚色賞の主要5部門を制覇しました。これは映画史上3作品しか成し遂げていない快挙です。
この映画の見どころは、ニコルソンとフレッチャーの迫力ある演技対決です。明るく自由なマクマーフィーと、冷たく支配的なラチェッド看護師の戦いは息を呑む緊張感があります。

ニコルソンは多くのシーンで脚本を無視してアドリブを連発。あまりの自由奔放でNG連発していたみたい






















































それでもアカデミー賞とっちゃうんですね
患者たちが少しずつ自分らしさを取り戻していく姿も感動的です。
本当の「自由」とは何でしょうか?
規則に従うことも大切ですが、時には自分らしく生きることも重要だと気づかせてくれます。人間の尊厳を守ることの大切さを考えさせられるでしょう。
マニラ・光る爪

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0619)
監督:リノ・ブロッカ
127分/フィリピン
原題または英題:Manila in the Claws of Light
日本公開情報なし
地方の漁師だった青年フリオが、恋人のリガヤを探すためにマニラにやってきて、都市の厳しい現実に直面するという社会派ドラマです。
フリオは建設現場で働きながらリガヤを探しますが、大都市マニラは貧困と腐敗に満ちた世界でした。純粋だった青年が、生きるために様々な困難と向き合わなければならない姿を、ドキュメンタリーのようなリアルさで描いています。
アメリカの映画保存団体クライテリオンからも重要な作品として収録されており、フィリピン映画の金字塔と言われています。

数少ないフィリピン映画で、その中でも名作と言われます
この映画の見どころは、1970年代のマニラの街をそのまま映したような生々しい映像です。スラム街の人々の生活や、働く人たちが直面する不公平な現実を隠すことなく描いており、まるでニュース映像を見ているような迫力があります。
大都市の光と影を見つめるといろいろなものが見えてきます。
きれいに見える都市にも、必ず見えないところで苦しんでいる人たちがいます。フリオの体験を通して、社会の問題について考えるきっかけを与えてくれる作品です。






















































日本未公開なんですね
自由の代償

画像引用元:映画.com
(NO.0620)
監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
123分/PG12/西ドイツ
原題または英題:Faustrecht der Freiheit/Fox and His Friends
配給:コピアポア・フィルム
ドイツの映画監督ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーが自分でも主演しました。主人公のフォックスは移動遊園地で働く貧しい青年でしたが、宝くじで50万マルクという大金を当てます。
お金を手に入れたフォックスは、裕福な家庭の青年エウゲンと恋人関係になり、お金持ちの仲間たちと付き合うようになります。しかし、彼らはフォックスのお金目当てで、本当の愛情ではありませんでした。だんだんお金を使い果たすと、周りの人たちは冷たくなっていきます。
階級社会の残酷さを描いた名作として見応えがあります。
純粋で素直なフォックスと、彼を利用する冷たい人たちとの対比は見どころの一つ。お金があるときは優しくされるけれど、なくなると見放されてしまう現実が痛々しく描かれています。ファスビンダー自身が主演することで、より深い感情が込められています。
本当の友情や愛情はお金では買えないということです。お金や地位に惑わされず、相手の本当の気持ちを見極めること、普遍的な人間関係を伝えています。

当選した宝くじの番号、監督が好きな意味ありげな数字を仕込んでたらしく、演技や皮肉の意味がありました






















































しかし観た人は誰も気づかなかったんですね
ナッシュビル

画像引用元:映画.com
(NO.0621)
監督:ロバート・アルトマン
159分/アメリカ
原題または英題:Nashville
配給:日本スカイウェイ、アダンソニア
アメリカ南部の音楽で有名な街ナッシュビルを舞台に、24人もの人物が登場する群像劇です。カントリー歌手、政治家、ファン、記者など様々な人たちが、それぞれの夢や悩みを抱えながら5日間を過ごしていく物語です。
この映画には特定の主人公がいません。代わりに、たくさんの人たちの人生が少しずつつながっていく様子を描いています。音楽シーンでは、俳優たちが自分で作った歌を実際に歌っており、とてもリアルに感じられます。
アカデミー賞では5部門にノミネートされ、主題歌「I’m Easy」が歌曲賞を受賞しました。
この映画の見どころは、たくさんの人物の物語が自然に絡み合っていく様子です。音楽業界の華やかさと、その裏にある人々の孤独や悩みが同時に描かれており、まるで本当のドキュメンタリーを見ているような感覚になります。
24人ものメインキャストがいるため、誰がどこにいるのかわからなくなることも。スタッフが「誰をカメラで追うべきか」で混乱し、結局アルトマンが「全員撮れ!」と投げやりに指示したという逸話も。
どんな人でも心の奥に寂しさや不安を抱えているということです。夢を追いかけることの素晴らしいのと同時に、現実の厳しさも感じ取ることになるでしょう。
ソドムの市

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0622)
監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
117分/イタリア・フランス
原題または英題:Salo o le 120 Giornate di Sodoma
配給:ユナイト
マルキ・ド・サドの小説を第二次世界大戦末期のファシスト・イタリアに置き換え、権力者たちが青少年を拉致し、120日間にわたって極限的な暴力と支配を行う物語として再話しました。
この映画は単なるショック映像ではなく、ファシズムと権力の本質に対するパゾリーニの痛烈な政治的批判として制作されました。監督自身が「セックスシーンは権力とその従属者との関係の比喩だ」と述べているように、表面的な描写の背後には、権力による人間性の完全な破壊というテーマなのです。
海外での評価は極めて複雑です。多くの国で上映禁止となりました。クライテリオン・コレクションに収録され、「傑作」と呼ぶ批評家もいて、20世紀最も重要かつ議論を呼ぶ作品の一つとして位置づけられています。






この映画はう〇こを食べ!”!??






















































ぴぇ~!!。。。
この映画から学べるのは、権力の絶対化がもたらす人間性の完全な破綻です。パゾリーニは観客に強烈な不快感を与えることで、ファシズムの本質と現代社会への警告を発しました。
極めて過激な内容のため、軽い気持ちで鑑賞というわけにはいきません。映画史や政治思想に関心を持って鑑賞を。
公開当時は検閲で封じられた国も多く、上映された場所では観客の一部が途中退場し、逆に残った人たちは熱烈な議論を始めたといいます。
なお、監督は撮影後、この作品の公開を待たずして殺害されてしまいました。
カラスの飼育

画像引用元:映画.com
(NO.0623)
監督:カルロス・サウラ
107分/スペイン
原題または英題:Cria Cuervos
配給:シネセゾン
8歳の少女アナが主人公で、両親を失った悲しみの中で現実と想像の世界を行き来する物語です。
アナは軍人だった父親の死を目撃し、すでに亡くなった母親の幻影を見るようになります。厳格な叔母のもとで姉妹と暮らしながら、子どもらしい純粋さと大人の世界への不安を抱えて過ごしています。この映画は、フランコ独裁政権が終わろうとしていた1975年に撮影され、政治的な意味も込められています。
アナを演じた子役のアナ・トレントの演技は「映画史に残る名演」と絶賛されています。さらに映画全体に流れる「Porque te vas」という歌が、作品の悲しい雰囲気をより深めています。
子どもの目から見た大人の世界の描き方に注目です。家の中の日常的な場面が、アナの心の状態によって美しく見えたり怖く見えたりします。現実なのか想像なのかわからない場面が続き、観る人も一緒にアナの心の中に入り込んでいく感覚になります。
アナが「毒入りの粉」を牛乳に溶かして渡すシーンが何度も出てきますが、実際は砂糖水で撮影。スタッフいわく「彼女は甘いものを飲むのを楽しみにしていた」そうです。
子どもの心がどれほど繊細で深いかを考えてみましょう。
大人には理解しにくい子どもの感情や、失くしたものへの想いが丁寧に描かれており、家族や記憶の大切さについて考えさせられられます。
ピクニック at ハンギング・ロック

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0624)
監督:ピーター・ウィアー
107分/オーストラリア
原題または英題:Picnic at Hanging Rock
配給:グッチーズ・フリースクール
1900年のバレンタインデーに、女子寄宿学校の生徒たちがハンギング・ロックという不思議な岩山にピクニックに出かけます。ところが、数人の女子生徒と女性教師が忽然と姿を消してしまい、最後まで謎は解明されません。
この映画は実際の事件を基にした小説を映画化したものですが、失踪の理由は意図的に明かされていません。観客は答えのないまま、美しくも不気味な映像世界に引き込まれていきます。
この映画の成功により、オーストラリア映画が国際的に注目されるきっかけとなり、「オーストラリア・ニュー・ウェーブ」と呼ばれる新しい映画の流れが生まれました。
美しい自然の映像と不思議な雰囲気が特徴の映画です。
太陽の光、風の音、鳥の鳴き声などが効果的に使われ、のどかな風景が次第に不安な雰囲気に変わっていきます。白いドレスを着た少女たちの姿は美しくも儚く、観る人の心に強い印象を残します。
人生にはすべての謎に答えが用意されているわけではないのです。
なぜ少女たちが消えたのかは永遠にわからないままですが、それこそが人生の不思議さを表しているのかもしれません。すべてを理屈で解決しようとするのではなく、わからないことも受け入れる、人生にはこういう局面が必ずやってきます。
幻想的で美しい映像と、解けない謎が心に残り続ける特別な作品です。

原作にはちゃんと疾走の理由が書いてあるよ。しかし監督は「謎は謎のままのほうが怖い」という理由で削除したんだよ






















































だから余韻が伝説になったんですね
インディア・ソング

画像引用元:IMDb ※本記事は映画解説のために引用しています。著作権は権利者に帰属します。
(NO.0625)
監督:マルグリット・デュラス
フランス
原題または英題:India Song
配給:ケイブルホーグ
1930年代のインドが舞台で、フランス大使夫人のアンヌ=マリー・ストレッテルという女性が主人公の、実験的な映画です。
普通の映画とは全く違う作り方をしています。画面に映る人物たちは話をしませんが、画面の外から声だけが聞こえてきて物語が進んでいきます。まるで美しい絵を見ながら、別の場所からお話を聞いているような不思議な体験ができます。
この映画、出演者は口を動かしているのに実際にはセリフを発していません。声はすべて事前に録音した「声だけの役者」たちのもの。映像に出ている俳優と、声を担当する人物が別々という奇妙な仕掛けになっています。
映画の歴史の中でも珍しい芸術作品ではありますが、理解するのが難しいのも事実です。
豪華な屋敷の美しい映像と、幻想的な雰囲気は息をのみます。登場人物たちはまるで幽霊のようにゆっくりと動き、夢の中にいるような気分になるでしょう。
普通の映画のように分かりやすいストーリーはありませんが、感覚で楽しむ映画です。
人生には言葉では表せない感情や思い出があります。愛や孤独といった気持ちは、必ずしもはっきりとした形で表れるわけではなく、音楽や風景、沈黙の中に隠れていることもあります。
理屈で理解するのではなく、心で感じること「潜在意識」を上手く映画で表現しています。

ほとんど動かないけど「犬」はよく出てきます






















































犬が一番自然に演技していると揶揄されたんですよね
JAWS/ジョーズ

画像引用元:映画.com
(NO.0626)
監督:スティーヴン・スピルバーグ
124分/アメリカ
原題または英題:Jaws
配給:東宝東和
海辺の町アミティで巨大なサメによる襲撃事件が発生し、保安官のブロディ、海洋学者のフーパー、ベテラン漁師のクイントの3人がサメ退治に乗り出す物語です。
この映画は「サマー・ブロックバスター」という言葉を生み出した記念すべき作品で、夏休みに大作映画を公開するスタイルを作り上げました。公開当時、全米で空前の大ヒットを記録し、映画業界に大きな影響を与えました。
「完璧なサスペンス映画」「映画史を変えた名作」として世界中で愛され続けています。
この映画の最大の見どころは、サメをほとんど画面に映さないという演出方法です。
実は撮影で使った機械のサメが故障続きだったため、スピルバーグ監督は水中からの視点やジョン・ウィリアムズの有名な音楽を使って恐怖感を演出しました。見えないからこそ怖いという、映画史に残る名演出が生まれました。
撮影で使われた機械サメには「ブルース」というあだ名がつけられていました。これはスピルバーグの弁護士の名前から。後に『ファインディング・ニモ』で登場するホオジロザメが「ブルース」と呼ばれるのは、このオマージュです。
この映画から学べるのは、恐怖に立ち向かう勇気の大切さです。水を怖がる保安官ブロディが、町の人々を守るために恐怖を乗り越えてサメと戦う姿は、私たちが困難に直面したときの手本になります。
見えない恐怖に怯えるのは人間として自然なことですが、勇気を出して立ち向かうことで乗り越えられることを教えてくれる名作です。

この映画の公開後、アメリカでは海水浴客が激減したそうです






















































映画がそこまで生活様式を変えたのですね
1976年

地球に落ちて来た男

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0627)
監督:ニコラス・ローグ
139分/イギリス
原題または英題:The Man Who Fell to Earth
配給:コロンビアピクチャーズ
ロックスター・デヴィッド・ボウイが主演した不思議な SF 映画です。一見すると宇宙人の話ですが、実は私たち人間の心の奥底にある孤独感を描いた深い作品なのです。
物語の主人公トーマス・ニュートン(デヴィッド・ボウイ)は、実は異星人。彼の故郷は深刻な水不足で滅びそうになっているため、地球に水を取りに来ました。地球では持っている高度な技術を使って大企業を作り、大金持ちになります。しかし、地球での生活に慣れるうちに、お酒やテレビなどの誘惑に負けてしまい、本来の目的を忘れてしまいます。
この映画の一番の見どころは、やはりデヴィッド・ボウイの存在感です。
もともと現実離れした雰囲気を持つボウイが、地球外生命体を演じることで、まるで本当に異世界から来た人のように見えるのです。幻想的な映像も美しく、見ている人を不思議な世界へ引き込みます。
映像が美しく、ボウイの演技も存在感が抜群。現在でもカルト映画の名作として愛され続けています。
撮影中のボウイは、当時ロックシーンでの成功と薬物依存に揺れていた時期。本人も後に「ほとんど演技していない、ただ自分を見せただけだ」と語っています。
どんなに優れた能力を持っていても、周りの環境や誘惑に負けてしまうと、大切なものを見失ってしまうということを教えてくれます。
ニュートンの孤独感は、現代社会で生きる私たちも感じる「理解されない寂しさ」と重なります。また、お金や快楽に溺れることの危険性も描かれており、本当に大切なものは何かを考えさせられます。
1970年代の作品でありながら、今見ても新鮮で、人間の本質について深く考えさせてくれます。
大統領の陰謀

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0628)
監督:アラン・J・パクラ
132分/アメリカ
原題または英題:All The President’s Men
配給:ワーナー・ブラザース映画
実際に起きた「ウォーターゲート事件」を題材にした政治サスペンス映画です。この事件により、当時のニクソン大統領が辞任に追い込まれた歴史的な出来事を、新聞記者の視点から描いています。
1972年、ワシントンのウォーターゲートビルで起きた何気ない泥棒事件を取材していたワシントン・ポスト紙の記者ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタイン。しかし調べていくうちに、この事件が大統領にまで繋がる巨大な政治スキャンダルだということが分かってきます。二人は「ディープ・スロート」と呼ばれる謎の情報提供者の助けを借りながら、権力者たちの圧力に負けずに真実を追い求めていきます。
この映画の最大の魅力は、派手なアクションがなくても観客をハラハラさせる緊張感です。電話での取材、資料調べ、深夜の密会など、地道な記者活動がスリル満点に描かれています。アカデミー賞では助演男優賞を含む4部門で受賞しました。
「記者映画の傑作」として、その後の社会派ミステリーに影響を与えました。

編集部のシーンではタイプライターの音をわざと大きめに録音して緊迫感を演出したんです






















































「タイプ音が主役」と揶揄されたんですよね
この作品が教えてくれるのは、真実を明らかにすることの大切さと難しさです。権力に立ち向かうには勇気が必要で、小さな事実を積み重ねることで大きな嘘が暴かれることを示しています。
自由な報道がいかに民主主義にとって重要かということも分かります。現代でも「フェイクニュース」が問題となる中、正しい情報を見極める力の重要性を改めて教えてくれる貴重な作品です。
現代の日本社会において目を背けたくなるお話しかも(!?)
アウトロー

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0629)
監督:クリント・イーストウッド
137分/アメリカ
原題または英題:The Outlaw Josey Wales
配給:ワーナー・ブラザース映画
クリント・イーストウッドが監督・主演を務めた西部劇の名作です。南北戦争が終わった頃のアメリカを舞台に、家族を失った一人の農夫が復讐者となり、やがて新しい仲間と出会って人間らしさを取り戻していく物語を描いています。
ミズーリ州で平和に暮らしていた農夫ジョージー・ウェールズは、北軍兵士によって妻と息子を殺されてしまいます。怒りに燃えた彼は南軍の兵士として戦い、戦争が終わった後もお尋ね者として追われる身となります。テキサスへ逃れる途中で、老いたインディアンのローン・ワティや、家族を失った女性ローラ・リーと出会い、次第に新しい家族のような絆を育んでいきます。
ヒロイン役ソンドラ・ロックは、のちにイーストウッドと長年パートナー関係になります。
この映画の最大の魅力は、単なる復讐映画ではなく、傷ついた人々が支え合って生きていく温かさを描いているところです。あの有名な映画監督オーソン・ウェルズも「これまで見た最高の西部劇」と絶賛しました。
迫力のある銃撃戦と美しい自然の風景、そして心に響く人間ドラマが見事に組み合わさっています。
この作品が教えてくれるのは、一人では生きていけないということです。
最初は復讐だけを考えていたウェールズも、仲間と出会うことで本当の強さを見つけます。民族や立場の違いを乗り越えて信頼関係を築くことの大切さや、過去の痛みを乗り越え、新しい未来を切り開く勇気を感じとれる作品です。

カーッ(゚Д゚≡゚д゚)、ペッ ( ゚д゚)、ペッ






















































「唾を吐く」のも名場面ですね
チャイニーズ・ブッキーを殺した男

画像引用元:映画.com
(NO.0630)
監督:ジョン・カサヴェテス
134分/アメリカ
原題または英題:The Killing of a Chinese Bookie
配給:ザジフィルムズ
主人公はロサンゼルスでストリップクラブを経営するコズモ・ヴィテッリ。ギャンブル好きが災いして借金まみれになった彼が、マフィアから「ある男を殺せ」と命令される物語です。
コズモはクラブの女性たちを大切にする優しい経営者ですが、ギャンブル依存症に悩んでいます。ある夜、賭博で大きく負けてしまい、借金が23,000ドルにまで膨らみます。困り果てた彼に、マフィアが「チャイニーズ・ブッキー(中国系の賭博業者)を殺せば借金をチャラにしてやる」と持ちかけます。クラブを失いたくないコズモは、仕方なくその仕事を引き受けることになります。
この映画の特徴は、普通の犯罪映画とは全く違うところです。派手な銃撃戦よりも、登場人物の心の動きや日常の会話に時間をかけて、リアルな人間の姿を描いています。











クラブでのダンスや歌のシーンが長く、映画全体を支配していますね






















































「犯罪映画じゃなくてキャバレー映画じゃないか!」と文句を言った人もいたとか
小さな欲望や弱さは人生を狂わせます。どの国でも、いつの時代でも同じです。
自分のプライドや見栄を守ろうとするあまり、本当に大切なものを失ってしまう危険性も描かれています。現代社会でも通じる深いメッセージが込められています。
ネットワーク

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0631)
監督:シドニー・ルメット
121分/PG12/アメリカ
原題または英題:Network
配給:ユナイテッド・アーティスツ
今から50年近く前の作品なのに、現代のメディア問題を見事に予言していたことで話題になっています。アメリカのテレビ局を舞台に、視聴率のためなら何でもする恐ろしさを描いた作品です。
ベテランニュースキャスターのハワード・ビールは、年齢を理由にクビを宣告されます。怒った彼は生放送で「来週、自殺する」と発言してしまいます。普通なら大問題になるはずですが、この発言が話題になって視聴率が上がったため、テレビ局の幹部たちは彼を「怒れる預言者」として番組に起用することにします。やがてハワードは「私は怒り狂っている!もうこれ以上我慢しない!」と視聴者に向かって叫び、社会現象を起こします。
1976年の作品でありながら、現代のテレビやネットの問題を完璧に予測しているのが魅力です。アカデミー賞でも4部門で受賞しました。ピーター・フィンチとフェイ・ダナウェイの迫力ある演技は圧巻で、「怒り狂っている!」の叫びは映画史に残る名シーンです。
ピーター・フィンチは受賞直前に急逝してしまい、アカデミー賞で初の「死後受賞」となりました。そのため式典はかなり異例の雰囲気だったとか。

ベアトリス・ストレイトはわずか5分の出演で助演女優賞を獲得したんです











最短時間でのアカデミー賞受賞者の記録が残っていますね
メディアがいかに人々の感情を利用して商売にするかを思い知らされます。
私たち視聴者も、過激で面白い内容を求めてしまう危険性があることも描かれています。SNSで炎上が話題になったり、過激な動画が人気になったりする現代にこそ、この映画のメッセージは重要です。情報を受け取る時は、冷静に考える力が必要だということを教えてくれる、今見ても新鮮な名作です。






















































AI時代が来た今でも本質は変わりませんね
キャリー

画像引用元:映画.com
(NO.0632)
監督:ブライアン・デ・パルマ
98分/R15+/アメリカ
原題または英題:Carrie
配給:ユナイテッド・アーティスツ
ホラー小説の巨匠スティーヴン・キングの最初の作品を映画化した傑作ホラーです。単なる怖い映画ではなく、現代でも問題となっているいじめや家庭内の問題を扱った深いメッセージを持つ作品です。






















































スティーヴン・キングの小説デビュー作です
主人公のキャリー・ホワイトは、学校でいつもいじめられている内気な高校生です。家では宗教に狂った母親から厳しく育てられ、普通の女子高生らしい経験をすることができません。そんなキャリーに、ある日超能力が現れます。心優しい同級生の計らいでプロムパーティーに参加することになりますが、そこで待っていたのは残酷ないたずらでした。屈辱を受けたキャリーの怒りが爆発し、恐ろしい事件が起こります。
巧みな演出と役者たちの素晴らしい演技は記憶に残ります。特にキャリー役のシシー・スペイセクの演技は圧巻で、アカデミー賞にノミネートされました。プロムでの血まみれのシーンは、映画史に残る有名な場面として今でも語られます。
『キャリー』と同時期に制作されていた『スター・ウォーズ』のキャスティングと合同でオーディションが行われていました。つまり、シシー・スペイセクやウィリアム・カットは『キャリー』の試験の後に『スター・ウォーズ』の台本を読まされたり、その逆も。

もしかしたらキャリー役がレイア姫になっていた可能性もあったんですね!
いじめや家庭での抑圧がどれほど人を傷つけるかということで、今でも社会問題として色褪せることはありません。
キャリーの悲劇は、周りの人たちが彼女の痛みを理解しなかったことから始まります。
さらに人を見た目や態度だけで判断することの危険性も描かれています。現代のSNSでのいじめなどにも通じる、とても大切なメッセージがあります。人間関係について深く考えさせられる名作ホラーなのです。






ラストの手のシーンって特殊効果かと思ったら、女優エイミー・アーヴィングの本物の手だったんだ!






















































リアルでスタッフもビビったらしいですね…..
タクシー・ドライバー

画像引用元:映画.com
(NO.0633)
監督:マーティン・スコセッシ
114分/PG12/アメリカ
原題または英題:Taxi Driver
配給:コロムビア映画
アメリカ映画界の巨匠マーティン・スコセッシ監督とロバート・デ・ニーロが組んだ代表作です。ベトナム戦争から帰ってきた男性が、ニューヨークでタクシードライバーをしながら次第に心のバランスを崩していく物語を描いています。
主人公のトラヴィス・ビックルは、不眠症に悩まされる元海兵隊員です。夜眠れないため、ニューヨークでタクシーの運転手として働き始めます。しかし、街で見かける犯罪や汚れた現実に嫌悪感を抱き、「この街をきれいにしたい」という思いが強くなっていきます。政治家の選挙スタッフの女性ベッツィに恋をしたり、12歳の少女娼婦アイリスを救おうとしたりしますが、うまくいかず、最終的に暴力的な行動に出てしまいます。











この時代に「ピンク映画」描かれているのが意外でした
この映画の魅力は、デ・ニーロの圧倒的な演技力です。特に鏡に向かって「俺に言ってるのか?」とつぶやく有名なシーンは、彼のアドリブから生まれた名場面として語り継がれています。カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールを受賞し、映画史における不朽の名作として揺るぎない地位を確立しました。
鏡に向かってトラヴィスが「You talkin’ to me?(俺に言ってるのか?)」とつぶやく名場面。実は台本には一切書かれておらず、デ・ニーロのアドリブでした。スコセッシ監督は「そのまま行け!」と大喜びして採用。今では映画史に残る名ゼリフです。
この作品が教えてくれるのは、孤独や社会からの疎外感がどれほど人を追い詰めるかということです。
トラヴィスは最初は普通の人でしたが、誰とも深い関係を築けず、理想と現実のギャップに苦しんで、最終的に危険な行動に走ってしまいます。
もともとはベトナム戦争の背景が物語の発端ですが、現代社会においても深く心に刻まれます。SNSなどで孤立感を感じる人が多い中、他者とのつながりの大切さを改めて考えさせられるのです。
公開から5年後、この映画に影響を受けた青年ジョン・ヒンクリーがレーガン大統領暗殺未遂事件を起こします。ジョディ・フォスターに執着していた彼は『タクシー・ドライバー』を何度も観ていたことが明らかになり、映画が現実に影を落とした珍しい例になりました。






















































この事件でさらに、この映画の「名作」ブランドに拍車がかかりました
ロッキー

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0634)
監督:ジョン・G・アヴィルドセン
120分/アメリカ
原題または英題:Rocky
配給:ユナイテッド・アーティスツ
シルヴェスター・スタローンが脚本を書き、自ら主演も務めた感動的なスポーツドラマです。アメリカンドリームを体現した不朽の名作として、今でも多くの人に愛され続けています。
舞台はフィラデルフィア。ロッキー・バルボアは、小さなボクシングジムで試合をしながら、お金を貸している人から取り立てをする仕事で生活している冴えない男性です。ところが、世界チャンピオンのアポロ・クリードから、なんと世界戦の挑戦者に指名されます。これは人生を変える大チャンスです。恋人のエイドリアンやトレーナーのミッキーに支えられながら、ロッキーは必死にトレーニングを積んで大一番に挑みます。
映画に登場するブルマスティフ犬「バットカス」は、スタローンが当時飼っていた愛犬です!
この映画の最大の魅力は、ロッキーの人間らしさです。彼は決してかっこいいヒーローではなく、不器用で優しい普通の人です。しかしチャンスをつかんだ時の真剣さや、諦めない心が観る人の胸を打ちます。

朝のトレーニングで生卵を飲みシーンは実際の生卵です






















































何度もテイクを重ね、スタローンはかなり気分が悪くなったそうですね
アカデミー賞では作品賞、監督賞、編集賞の3部門で受賞し、1976年のアメリカで最もヒットした映画になりました。
この作品が教えてくれるのは、「勝つことよりも最後まで諦めないことが大切」だということです。ロッキーは試合で勝つことではなく、「15ラウンド最後まで立っていること」を目標にします。
結果よりも、挑戦する勇気と努力することの価値を教えてくれます。
フィラデルフィア美術館の階段を駆け上がるシーンは、今でも「頑張る人」の象徴として世界中で愛されています。
愛のコリーダ

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0635)
監督:大島渚
108分/R18+/日本・フランス
原題または英題:L’Empire des sens
配給:アンプラグド
実際に昭和11年(1936年)に起きた「阿部定事件」という衝撃的な出来事を題材に、男女の愛と欲望の果てを赤裸々に描いています。この映画は芸術作品なのか、それとも単なる官能映画なのかという議論を世界中で巻き起こしました。
料亭で働く女中の定(松田英子)と、店の主人である吉蔵(藤竜也)が激しく愛し合う物語です。二人は次第に社会から切り離された世界で、互いの存在だけを求めるようになります。しかし、その愛は普通の愛情を超えて、破滅的な結末へと向かっていきます。
この映画は当時の日本では検閲が厳しく、まともに制作することができませんでした。そのため、フランス資本で製作し、フランスで現像・編集を行うという特殊な方法で完成させました。
国内では規制のため長らく完全版が上映されず、ビデオやDVD化もカット版が主流でした。結果として「日本映画なのに、日本人が一番観られない」という奇妙な状況で、今でも続いています。
1976年のカンヌ国際映画祭で上映され、芸術作品として国際的な評価を受けました。しかし、日本では大幅な修正を加えられた版が公開され、後に裁判問題にまで発展しました。
現在では映画史上重要な作品として位置づけられており、表現の自由について考える上で欠かせない作品となっています。






















































ポルノ映画の金字塔です
人間の欲望や愛情がどこまで人を支配するのかという深いテーマを扱っています。また、芸術表現の自由とは何か、社会的なタブーと向き合うこと大島監督はやろうとしたのです。
この映画を通じて既存の価値観に挑戦し、観客に様々な問いを投げかけています。
1900年

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0636)
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
316分/イタリア・フランス・西ドイツ
原題または英題:Novecento
配給:日本ヘラルド映画
上映時間はなんと5時間を超える長編で、20世紀前半のイタリアを舞台に、二人の男性の人生を通してその時代を描いています。豪華なキャストと圧倒的なスケールで話題になった歴史映画の傑作です。
1901年、同じ日に生まれた二人の男の子がいました。アルフレードは地主の家の息子、オルモは農民の家の子でした。幼い頃は仲良しだった二人ですが、育った環境の違いから次第に対立するようになります。物語は1945年まで続き、その間にイタリアで起きた大きな歴史の変化―ファシズムの台頭、戦争、社会主義の広がりなどが描かれます。
とにかく長い映画で、じっくりと人物の成長と時代の変化を描いています。出演者も豪華で、ロバート・デ・ニーロ、ジェラール・ドパルデューに加えて、バート・ランカスター、ドナルド・サザーランドなど有名俳優が出演しています。
この作品は、個人の人生が歴史や社会の大きな流れにどのように影響されるかを教えてくれます。
生まれた環境や時代背景によって、友達だった人同士が敵になってしまうこともある一方で、最後まで人間同士のつながりを大切にすることの重要性も描かれています。
一つの時代を深く理解できる映画でもあるのです。
撮影地となったエミリア=ロマーニャ地方では、エキストラやスタッフに多くの地元住民が雇われ、地域経済が一時的に活性化。今でも「『1900年』が来た年は町が変わった」と語る人がいるとか。
処刑の丘

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0637)
監督:ラリーサ・シェピチコ
110分/ソビエト連邦
原題または英題:Voskhozhdenie/The Ascent
配給:日本ヘラルド映画
戦争映画の傑作ですで、第二次世界大戦中のベラルーシを舞台に、二人のソビエト兵士の運命を描いています。
1942年の厳しい冬、ドイツ軍に占領されたベラルーシで、パルチザン(抵抗軍)の兵士ソトニコフとリバクが食料を探しに出かけます。しかし、任務の途中でドイツ軍に捕まってしまいます。捕虜になった二人は拷問を受け、最後には「仲間を裏切れば命を助ける」という選択を迫られます。この極限状況で、二人は全く違う道を選ぶことになります。
この映画は真冬の厳しい環境で撮影され、雪景色の美しさと戦争の恐ろしさが対比されています。白黒映画で作られており、雪の白さと絶望の黒さが印象的です。1977年のベルリン国際映画祭で最高賞の金熊賞を受賞。ハリウッド映画のような派手な戦闘シーンはなく、人間の心の動きを丁寧に描いた作品です。

ロケ中のあまりの寒さに出演者の多くが本当に体調を崩し、撮影中は風邪薬とウォッカが欠かせなかったみたいだね






















































そこはウォッカなんですね
この作品が教えてくれるのは、本当に大切なものは何かということです。
命か名誉か、生きることか信念を貫くことか―答えのない難しい選択を通して、人間の強さと弱さの両方を見せてくれます。
戦争は人々を極限状況に追い込み、普段は見えない人間性を浮き彫りにするということも描かれています。人生について深く考えさせられます。











監督は意外にも女性の方です。夫も映画監督です






















































『炎628』のエレム・クリモフなんですね
1977年

未知との遭遇

画像引用元:映画.com
(NO.0638)
監督:スティーヴン・スピルバーグ
135分/G/アメリカ
原題または英題:Close Encounters of the Third Kind
配給:コロムビア映画
『スター・ウォーズ』と同じ年に公開され、世界中で大ヒットしました。この映画は宇宙人を恐ろしい敵としてではなく、友好的な存在として描いた作品です。
電気技師のロイ・ニアリーは、ある夜の仕事中に不思議な光を目撃します。それがUFOだったことで、彼の人生は大きく変わります。その体験が頭から離れなくなったロイは、山のような形のビジョンに取り憑かれ、それが何を意味するのかを探し始めます。一方、世界各地では奇妙な現象が起きており、政府の科学者チームも宇宙人との接触を試みています。最終的に、すべての手がかりがワイオミング州のデビルズタワーに導かれ、人類史上初の宇宙人との平和的な出会いが実現します。
当時のハリウッドSFでは宇宙人=侵略者が定番。『未知との遭遇』は“対話できる存在”として描き、その後の『E.T.』や『コンタクト』に大きな影響を与えました。
この映画の最大の魅力は、恐怖ではなく驚きと感動で宇宙人を描いたことです。特に宇宙人と人間が音楽でコミュニケーションを取る場面は、映画史に残る名シーンとして有名です。ジョン・ウィリアムズが作曲した5つの音符は、誰でも覚えられるシンプルなメロディーです。アカデミー賞では撮影賞を受賞し、世界で3億ドルを超える興行収入を記録しました。

母船の表面には、さりげなく郵便ポストや墓石などが模型として貼り付けられています






















































わからなかったです…..
知らないもの・未知のものに対して恐れるのではなく、好奇心を持って向き合おうというメッセージを投げています。
ロイは家族に理解されず孤独になりますが、真実を追い求める気持ちを諦めません。
この映画は、未来への希望と人間の探求心の素晴らしさを描いているのです。
ザ・ラスト・ウェーブ

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0639)
監督:ピーター・ウィアー
105分/オーストラリア
原題または英題:The Last Wave
配給:日本ヘラルド映画
『ピクニック at ハンギング・ロック』で有名になったウィアー監督が、今度はオーストラリアの先住民アボリジニの文化と現代社会の衝突を描いています。
シドニーで働く弁護士デビッド・バートンは、アボリジニの男性たちが仲間を殺したとされる事件の弁護を担当することになります。しかし、事件を調べていくうちに、デビッドは奇妙な夢を見るようになります。それは巨大な波が世界を飲み込む恐ろしいビジョンでした。やがて彼は、この事件がアボリジニに伝わる古い予言と関係があることを知ります。その予言とは、「最後の波」が来て世界が終わるというものでした。
この映画の魅力は、現代的なシドニーの街と、何千年も前から続くアボリジニの伝統的な文化が混じり合う不思議な世界観です。弁護士という理性的な職業の主人公が、科学では説明できない体験をすることであなたも引き込まれていくでしょう。オーストラリア・ニューウェーブ映画の代表作とされています。
現代の文明社会が必ずしも正しいわけではないということでしょうか?
アボリジニの人々が何千年もの間大切にしてきた知恵や文化には、現代人が忘れてしまった大切なものがあるかもしれません。
自分の常識や価値観だけで物事を判断するのではなく、違う文化や考え方にも耳を傾けることも大切です。不思議で少し怖い映画ですが、考えさせられます。

クライマックスの巨大な波は、実際には特殊効果と編集で大げさに見せただけだよ






















































現場では「これで世界の終わりに見えるのか?」とスタッフが笑っていたようですね
スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望

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(NO.0640)
監督:ジョージ・ルーカス
121分/アメリカ
原題または英題:Star Wars
配給:20世紀フォックス映画
若き農夫ルーク・スカイウォーカーが、仲間たちと共に悪の銀河帝国と戦う冒険を描いています。プリンセス・レイア、ハン・ソロ、師匠オビ=ワン・ケノービらと出会い、「フォース」という神秘的な力に目覚めながら、帝国の巨大兵器デス・スターを破壊する物語です。
公開当時、この映画は映画界に革命をもたらしました。
ILM(インダストリアル・ライト&マジック)が生み出した画期的な特撮技術と、ジョン・ウィリアムズの壮大な音楽が観客を魅了しました。ライトセーバーの光る剣や迫力ある宇宙戦闘は、それまでの映画では見たことのない映像体験でした。
アカデミー賞では美術監督賞、衣装デザイン賞、音響賞、視覚効果賞、音楽賞、編集賞の6部門と特別功労賞を含む合計7つのオスカーを受賞し、その技術的革新性が認められました。

ハリソン・フォードはそれまで売れない役者で、大工仕事やってて呼ばれたんだよ






















































家を直していたら銀河を救ってしまったたわけですね
この映画の最大の魅力は「希望」というテーマに集約されます。
無力だった青年ルークが仲間たちと協力し、圧倒的な敵に立ち向かっていく姿は、誰もが持つ可能性を信じる勇気を与えてくれます。善と悪の分かりやすい対立、友情の大切さ、そして諦めない心の強さといった普遍的なメッセージが、世代を超えて愛され続けている理由です。
『新たなる希望』は単なる娯楽映画を超えて、文化現象となり、その後の映画界に計り知れない影響を与えた記念すべき作品です。
シュトロツェクの不思議な旅

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(NO.0641)
監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
110分/西ドイツ
原題または英題:Stroszek
配給:日本ヘラルド映画
刑務所から出てきたばかりのブルーノ・シュトロツェクが、娼婦のエヴァ、老人シャイツと共にアメリカのウィスコンシン州に新天地を求めて旅立つ物語です。しかし、彼らが夢見た「自由の国」での生活は思うようにいかず、現実の厳しさに直面することになります。
派手な演出はありませんが、リアルで心に響く人間ドラマとなっています。
最大の見どころは、主演のブルーノ・Sの素晴らしい演技です。彼は俳優ではなく、ヘルツォークが彼のために特別に脚本を書いたという実在の人物で、その自然で心に響く演技が観客を魅了します。
ヘルツォークはブルーノが演じやすいように、彼自身の人生や境遇に近づけて脚本を書き直しました。そのため半分ドキュメンタリーのような質感が生まれています。
映画の最後に登場する「踊るニワトリ」のシーンは、不思議だけど深い意味を持つ名場面ともいわれます。

遊園地のシーンは、正式な許可をとらずにゲリラ撮影だったそうだよ






















































スタッフは「捕まったらどうしよう…..」とビクビクしていたようですね
夢を追うことの大切であるし、現実と向き合う勇気も必要であるということです。
ブルーノたちのように新しい環境に飛び込んでも、思い通りにいかないことの方が多いでしょう。それでも、諦めずに自分なりの生き方を見つけていく姿に、人生への静かな希望を感じることができます。
シンプルでありながら心に深く残る、独特な魅力を持った作品です。
チェド

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0642)
監督:センベーヌ・ウスマン
116分/セネガル
原題または英題:Ceddo
配給:岩波ホール
「アフリカ映画の父」と呼ばれるセネガルのオウスマン・センベーヌ監督による歴史劇です。18-19世紀の植民地化前のセネガルを舞台に、伝統的な宗教を信じる人々「チェド(外部の人々)」が、イスラム教やキリスト教の強制的な改宗、そして奴隷貿易に抵抗する姿を描いています。
物語は、王がイスラム教に改宗し、民衆にも改宗を強制しようとしたことから始まります。これに反発したチェドの人々は、王の娘ディオール・ヤシーヌ王女を誘拐して抗議の意思を示します。映画は宗教と政治の権力争い、そして普通の人々がその中でどのように翻弄されるかを描いています。
アフリカ自身の視点から歴史を語った画期的な作品と言われています。ヨーロッパ中心ではなく、アフリカの人々が自分たちの歴史を語る点が革新的でした。
しかしイスラム教への批判的な描写が問題視され、セネガル政府によって8年間上映が禁止されました。
この映画の見どころは、複雑な歴史を分かりやすく描きながらも、現代にも通じるテーマであることです。
権力者の都合で宗教や文化を押し付けられる状況は、今の世界でも見られる問題です。また、長回しの撮影技法により、まるで歴史の現場にいるような臨場感を味わえます。
どんな時代でも、普通の人々には自分たちの信念と文化を守る権利があるということを考えさせられます。
権力や宗教の名のもとに押し付けられることに対して、立ち向かっています。アフリカの歴史を通して人間の尊厳について考えさせる映画です。
アメリカの友人

画像引用元:映画.com
(NO.0643)
監督:ヴィム・ヴェンダース
126分/G/西ドイツ・フランス
原題または英題:Der amerikanische Freund
配給:東北新社
パトリシア・ハイスミスの小説「リプリーズ・ゲーム」を映画化したサスペンス作品です。ハンブルクで額縁職人として働くヨナサン・ツィンマーマンは、白血病で余命いくばくもないと診断されています。そんな彼の前に、アメリカ人の美術商トム・リプリーが現れ、家族に遺産を残すために殺し屋の仕事をするよう持ちかけます。最初は拒否していたヨナサンですが、家族の将来を考えて引き受けることになり、危険で複雑な犯罪の世界に足を踏み入れていきます。
ヴェンダース独特の詩的な映像美とアメリカ文化への批評性が見事に融合した作品といえます。ハリウッド的なスリルとは異なる、虚無感と不条理を漂わせたサスペンスです。
ヴィム・ヴェンダースは遊び心で、仲の良い映画監督仲間を殺し屋としてカメオ出演させました。『ブルーベルベット』のニコラス・レイや『ラストタンゴ・イン・パリ』のベルナルド・ベルトルッチもいます。
美しい映像感覚が印象的で、雨に濡れたハンブルクの街並みや列車のシーンに漂う孤独感が心に残ります。犯罪映画でありながら人生の儚さや複雑さを深く描いており、リプリーの不気味さとヨナサンの人間らしさの対比が観客を強く引き込みます。
人生で避けることのできない重要な選択と、その選択がもたらす責任の重さについて教えてくれます。
死を目前にした時、人はどのような誘惑や危険な道に手を伸ばしてしまうのか、そしてその選択が周囲の人々にどのような影響を与えるのかを深く考えさせられます。
サスペンス映画でありながら、人間の孤独や欲望を見つめた作品といえます。

当時の西ドイツ映画としては珍しく、サウンドトラックにアメリカのロックやカントリーが挿入されているよ






















































タイトル名は文化的浸食の皮肉でもあるんですね
アニー・ホール

画像引用元:映画.com
(NO.0644)
監督:ウディ・アレン
93分/PG12/アメリカ
原題または英題:Annie Hall
配給:ユナイト映画
神経質で皮肉屋のコメディアン、アルビーが、自由奔放で魅力的な女性アニー・ホールとの恋愛関係を振り返る物語です。二人は恋に落ちますが、価値観や生き方の違いから次第にすれ違いが生まれ、最終的には別れることになります。アレン監督らしいユーモアと知性に満ちた会話、そして恋愛の喜びと切なさが巧妙に織り交ぜられた、ロマンティックコメディです。
アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞の4部門を受賞しました。
当時のハリウッドに「知的で大人向けの恋愛映画」という新しいジャンルを切り開いた作品でもあります。軽妙な会話や観客に直接語りかけるなどの斬新な演出手法が心地よいですね。
アレン流のシニカルで知的な笑いとキートンの自然体で魅力的な演技が絶妙に組み合わされています。
アニーが身に着けるファッションは当時大流行し、「アニー・ホール・ルック」と呼ばれる社会現象にもなりました。






















































あまりに人気でアメリカでは『映画を観てなくても服だけ真似する人』がたくさんいたんですよ
時系列を自由に行き来する構成や、登場人物が観客に直接話しかける手法など、従来の恋愛映画にはない実験的な要素も取り入れられており、観客を最後まで飽きさせません。
恋愛関係は永続的でなくても、その経験自体に大きな価値があるということを学びましょう。
最終的に別れることになっても、お互いに愛し合った時間や共有した思い出は、人生にとって決して無駄ではないというメッセージでもあるんです。大人の恋愛の複雑さと美しさを、笑いと共感を通じて描いた作品です。

この年のオスカーは『スター・ウォーズ』は制覇すると思われていたんだよ






















































当時はまだ、大人向けドラマやコメディが強かったのです
サスペリア

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0645)
監督:ダリオ・アルジェント
99分/R15+/イタリア
原題または英題:Suspiria
配給:是空、ハピネット
視覚的に非常に印象的なホラー映画です。アメリカ人の青年スージーがドイツの名門バレエ学校に留学しますが、到着早々に他の生徒が残酷に殺害される事件に遭遇します。学校では次々と不可解な出来事や生徒の失踪が続き、やがてスージーはこの学校が実は魔女たちによって支配されていることを知ります。美しいバレエ学校の裏に隠された恐ろしい秘密と対峙する、鮮烈なゴシック・ホラーです。
「史上最も美しいホラー映画」と言われました。
赤や青といった極彩色を効果的に使ったセットデザイン、異様な雰囲気を作り出す照明技術、そして実験音楽グループ「ゴブリン」による不協和音が特徴的なサウンドトラックが、感情を刺激するでしょう。
物語の恐怖よりも「視覚と聴覚で体験する恐怖」の感覚です。











『決して一人では見ないでください』という宣伝文句が大当たりしたのがこの作品です
ストーリー自体はシンプルですが、映像と音響の演出が観客を幻惑し続けます。特に映画冒頭の衝撃的な殺害シーンは、公開当時に観客が失神するほどでした。
現実にはありえない色彩や音の洪水が、深層心理に眠る恐怖を呼び覚まします。
恐怖は論理的な理解ではなく、感覚的な体験によって生まれるということでしょう。
表面的な美しさの裏に隠された危険性について考えさせられ、「外見だけで物事を判断してはいけない」という重要な教訓もあります。恐怖を芸術の域まで高めた革新的な作品として、あなたもずっと記憶に残る映画となるでしょう。
テロリストたちの夜/自由への挽歌

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0646)
監督:ロジャー・ドナルドソン
101分/ニュージーランド
原題または英題:Sleeping Dogs
日本公開情報なし
C.K.スティードの小説「スミスの夢」を映画化した作品で、架空の内戦状態に陥ったニュージーランドを舞台にしています。主人公のスミスは、妻が親友と駆け落ちしたショックから、人里離れた島で一人静かに暮らそうとしています。しかし、ニュージーランドでは政府と反政府勢力の対立が激化し、政府は強権的な「特別警察」を設立して国民を弾圧し始めます。スミスは政治に関わりたくないと思っていましたが、島で武器が発見されたことから政府に目をつけられ、望まずして抵抗運動に巻き込まれていきます。
この映画はニュージーランド映画史において重要な転換点となった作品です。











「ニュージーランド映画の夜明け」と言われるほどでした
サム・ニールの若々しく力強い演技と、ニュージーランドの美しい自然を背景にした迫力ある映像が印象的です。政府の弾圧と民衆の抵抗という重いテーマを扱いながらも、アクションとしても楽しめます。
特に印象的なのは警察による暴力的な鎮圧シーン。これは後に1981年に実際にニュージーランドで起きた南アフリカ代表チームの試合を巡る抗議デモでの警察の行動を予言しているかのようだったと言われています。
タイトル『Sleeping Dogs』は英語の慣用句で「触らぬ神に祟りなし(寝ている犬を起こすな)」という意味。「政治に巻き込まれたくない普通の人」を象徴するタイトルですが、日本公開時の邦題はなぜか「テロリストたちの夜/自由への挽歌」。う~ん…..
普通の人間が社会の混乱に巻き込まれた時、どのような選択をするかという問題を提起しています。
政治に関わりたくないと思っていても、時代の流れによって選択を迫られることがあります。スミスのように中立を保とうとしても、結局はどちらかの側に立たざるを得ない現実を描いており、現代でも通用する普遍的なメッセージを持っています。
LAST CHANTS FOR A SLOW DANCE

画像引用元:アメリカンシネマテークより
(NO.0647)
監督:ジョン・ジョスト
90分/アメリカ
原題または英題:Last Chants for a Slow Dance
日本公開情報なし
アメリカのインディペンデント映画作家ジョン・ジョストが制作した実験的なドラマ映画です。ジョスト監督は脚本、監督、撮影、編集のすべてを一人で手がけ、さらに劇中で使われるカントリーソングまで作曲・歌唱しました。わずか3000ドルという超低予算で制作されました。
物語は、仕事も家庭も安定しないトム・ベイツという男性が、モンタナ州を車で放浪する姿を描いています。彼は妻子を持ちながらも責任感に欠け、仕事を探すふりをしながら実際にはバーで飲んだり一夜限りの関係を重ねたりして時間を過ごします。
1977年のエディンバラ国際映画祭で初上映され、批評家から高く評価されました。ジャン=リュック・ゴダールは「アメリカの監督の中で、ジョン・ジョストは映画を裏切らない数少ない存在」と評価しており、実験映画としては異例の注目を集めました。






最初の上映は友人の家や大学の講義室だったんだって






















































観客も友人が数人とかの規模だったようですね
ジョスト監督の徹底したミニマリズムが特徴です。
長回しのショットと簡素な会話の積み重ねにより、独特の緊張感と不快感をもたらします。ハリウッド映画のような分かりやすい娯楽性は一切ありませんが、そのリアリティは心に深く刺さります。
実在の殺人犯ゲイリー・ギルモア事件にインスピレーションを得た作品として、アメリカ社会の暗部を見つめた内容になっています。
自由に見える放浪生活も、結局は責任や社会との関わりから逃れることはできないという現実を描いているのではないでしょうか?
主人公の自己中心的で破滅的な行動を通して、人間の孤独感や虚無感と向き合うことの難しさを突きつけられます。現代社会に生きる人々が抱える問題について深く考えさせてくれる作品なのです。
大理石の男

画像引用元:映画.com
(NO.0648)
監督:アンジェイ・ワイダ
160分/ポーランド
原題または英題:Mans of Marble L’homme de Marbre
配給:日本ヘラルド映画
若い女性映画監督アグニェシュカが、卒業制作として1950年代の労働英雄マテウシュ・ビルクットについてのドキュメンタリー映画を作ろうとする物語です。ビルクットはかつて優秀な煉瓦職人として政府に称えられ、プロパガンダ映画にも出演していましたが、ある時期から突然歴史から消されてしまいました。アグニェシュカは彼の行方を追いながら、共産主義体制が作り上げた「英雄」の真実を明らかにしていきます。











東欧版『市民ケーン』とも言われました
当時の共産主義体制下のポーランドで、これほど直接的に政府批判を行った作品が作られたことは驚くべきことでした。
後に起こる連帯運動を予見した作品とも言われ、実際の記録映像を巧妙に組み合わせた手法も革新的でした。
この映画の最大の特徴は「映画の中で映画を作る」というメタ構造です。
観客はアグニェシュカと一緒に真実を探っていく体験ができ、まるで探偵小説を読んでいるような面白さがあります。また、1950年代の実際の記録映像と1970年代の現在が巧妙に組み合わされており、歴史の重層性が見事に表現されています。
主演のクリスティナ・ヤンダの粘り強く勇敢な演技も印象的で、権力に立ち向かう女性ジャーナリストの姿が力強く描かれています。
1981年に『鉄の男』という続編が作られ、今度は「大理石の男」の息子が主人公に。ポーランドの民主化運動「連帯」と直接リンクしており、カンヌでパルム・ドールを受賞しました。つまり『大理石の男』は歴史を告発する第一部だったのです。
権力によって隠された真実を探ることの重要性を教えてくれます。
政府や組織が作り上げる美しい物語の裏には、しばしば個人の犠牲や苦悩が隠されています。また、過去の出来事をきちんと調べて理解することで、現在をより良く生きることができるというメッセージも込められています。真実を追求する勇気と粘り強さの大切さを学べる作品なのです。
サタデー・ナイト・フィーバー

画像引用元:映画.com
(NO.0649)
監督:ジョン・バダム
121分/PG12/アメリカ
原題または英題:Saturday Night Fever
配給:シナジー
ディスコブームを世界中に広めたとも言われる作品です。ブルックリンに住む19歳の青年トニー・マネロが主人公で、平日はペンキ屋で働く退屈な日々を送っていますが、土曜の夜だけはディスコのフロアで輝くダンサーに変身します。ダンスパートナーのステファニーとの関係を通して、自分の将来や人生について悩み成長していく青春ドラマです。単なる音楽映画ではなく、労働者階級の若者が抱える現実的な問題も深く描かれています。
ジョン・トラボルタはこの作品でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、一躍世界的なスターになりました。
ビー・ジーズが手がけたサウンドトラックは全世界で4000万枚以上を売り上げ、映画史上最も成功したサウンドトラックの一つとなりました。
単なるエンターテインメントを超えて、1970年代のアメリカ文化を象徴する作品でもあります。

日本でも公開後に「ディスコ人口が一気に倍増した」と新聞に書かれたんだよ
何といってもトラボルタの圧倒的なダンスシーンが魅力ですね。
特に光るフロアの上で「ステイン・アライヴ」に合わせて踊る場面は、映画史に残る名シーンとして語り継がれています。また、華やかなディスコシーンの裏側にある家庭の問題や社会的な格差など、若者が直面する現実的な悩みも描かれており、単純な娯楽映画を超えた作品です。
どんなに厳しい現実があっても、自分が輝ける場所や時間は必ずあることを教えてくれます。
トニーがディスコで見せる自信と情熱は、日常生活で抱える不満や将来への不安を乗り越える力になっています。夢を追いかけることの大切さと同時に、現実と向き合うことの重要性も描かれており、青春時代の複雑な感情や成長過程を考えさせられるでしょう。
KILLER OF SHEEP

画像引用元:映画.com
(NO.0650)
監督:チャールズ・バーネット
81分/アメリカ
原題または英題:Killer of Sheep
日本公開情報なし
アメリカの傑作インディペンデント映画です。UCLA映画学部の学生だったバーネット監督が、わずか1万ドルという超低予算で制作した卒業制作でしたが、後にアメリカ映画史上最も重要な作品の一つとして認められるようになりました。ロサンゼルスのワッツ地区を舞台に、食肉処理場で働くスタンとその家族の日常を描いています。物語らしい筋書きはなく、貧困の中で生きる黒人労働者階級の人々の等身大の生活を、詩的で静かなタッチで映し出した作品です。
アメリカ議会図書館の国立フィルム登録簿に選ばれた作品です。
1978年に初上映されましたが、音楽の使用権が取得できずに長い間一般公開されませんでした。2007年にようやく劇場公開され、その後多くの映画監督や批評家からインディペンデント映画の金字塔として絶賛されています。マーティン・スコセッシやデヴィッド・ゴードン・グリーンなど、後の世代の映画作家にも大きな影響を与えました。






















































個人制作に近い形で作られ、後のアメリカ・インディーズ映画の流れを切り開いたのですね
日常生活の中にある美しさと悲しさを同時に捉えた詩的な映像が見どころです。
子どもたちが建物の屋上を飛び移って遊ぶシーンや、スタンと妻がゆっくりとダンスを踊る場面など、貧困という厳しい現実の中にも人間らしい温かさや希望を見つけることができます。
プロの俳優を使わず地元の人々を起用したことで、非常にリアルで自然な演技が生まれており、ドキュメンタリーのような真実味があります。
この映画は「どんなに厳しい状況でも、日常の小さな瞬間に美しさや意味を見つけることができる」ことを教えてくれます。
派手な出来事や劇的な展開がなくても、家族との何気ない時間や友人との会話などに、人生の本当の価値があることを伝えています。
イレイザーヘッド

画像引用元:映画.com
(NO.0651)
監督:デヴィッド・リンチ
89分/アメリカ
原題または英題:Eraserhead
配給:KADOKAWA
89分のモノクロ映画で、工場地帯に住む青年ヘンリーが、恋人との間に生まれた奇妙な赤ちゃんを育てることになり、だんだん精神的に追い詰められていく話です。
この映画は最初、たった25人の観客から始まりました。しかし、その強烈さに魅力を感じた24人が翌週も映画館に足を運び、やがて深夜上映の代表的作品となって世界中に広まりました。
映画界への影響も絶大で、『エイリアン』のデザイナーH.R.ギーガーが「最高の映画の一つ」と絶賛し、『シャイニング』のスタンリー・キューブリック監督も撮影中にスタッフ全員でこの映画を鑑賞したほどです。
『スター・ウォーズ』で世界を制したジョージ・ルーカスは、この映画のファンで「自分の会社でリメイクさせてくれ」とリンチに頼んだことがあるそうです。もちろんリンチは断りました。

断らなければダース・ベイダーの隣に赤ん坊が並んでいたかもしれないねえ






あのウォルト・ディズニー社のアニメーターたちも、夜な夜な集まってイレイザーヘッドを観ていたんだって!






















































白雪姫の国の人々もリンチの悪夢にハマっていたんですね…..
美しいモノクロ映像と恐ろしいほどリアルな赤ちゃんの造形、そして機械音のような不気味な音響効果。普通の日常が徐々に悪夢に変わっていく様子が、心に強く残ります。見どころは満載です。
人生の不安や恐怖は特別な怪物ではなく、実は私たちの身近な日常の中に潜んでいるということです。
家族を持つ責任、育児の大変さ、孤独感など、誰もが感じうる気持ちが、奇妙な映像を通して描かれています。
理解しにくい部分も多い作品ですが、だからこそ自分なりの解釈を楽しむことができる、一生忘れられない映画体験を与えてくれるのです。
女王陛下の戦士

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0652)
監督:ポール・バーホーベン
149分/オランダ
原題または英題:Soldier of Orange
配給:日本ヘラルド映画
『ロボコップ』で有名なポール・バーホーベン監督がハリウッド進出前に手がけた戦争ドラマの傑作です。第二次世界大戦でナチスドイツに占領されたオランダを舞台に、大学の同級生たちがそれぞれ異なる道を歩む姿を描いています。
この映画は実際のオランダ人レジスタンス活動家エリック・ハゼルホフ・ルールフゼマの自伝に基づいており、戦争が友情をどう引き裂くかをリアルに描写しています。ある者は抵抗運動に身を投じ、ある者は占領軍に協力し、かつての友人同士が敵味方に分かれる悲劇が緊張感たっぷりに展開されます。
この映画はオランダ国内映画賞(ゴールデン・カルフ)において殿堂入りの扱いで、後に「オランダ映画トップ10」ランキングを作ると必ず上位に入る常連です。
この作品を見たスティーブン・スピルバーグ監督がバーホーベンに「なぜオランダにいるのか?アメリカに来るべきだ」と電話をかけたという有名なエピソードもあります。

『シンドラーのリスト』はこの作品を参考にしたと言われているよ
戦争という極限状態で人間の本性が露わになる心理描写が見どころです。
派手なアクションよりも人間ドラマに重点を置き、愛国心と生存本能の間で揺れる登場人物たちの姿が印象的ですね。
困難な状況でも自分の信念を貫くことの大切さを学んでいきましょう。
正義と友情、生存と名誉——誰もが人生で直面する選択の重さを、戦時下という設定を通して考えさせられる作品です。
サランドラ

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0653)
監督:ウェス・クレイヴン
90分/アメリカ
原題または英題:The Hills Have Eyes
配給:日本ヘラルド映画
極限状態における人間の本性を鋭く描き出したショッキングな作品で、休暇旅行中のカーター一家がネバダ砂漠でトラブルに遭い、そこに住む凶暴な食人一家に襲われるという恐怖の物語です。低予算で制作されましたが、緊迫感あふれる演出と衝撃的な内容で強烈な印象を残しました。
B級ホラーながらカルト的な人気を確立しています。文明社会と野蛮な本能の衝突を描いた点が印象的で、「自分が同じ状況ならどうするか」と深く考えさせる作品です。
食人一家の長男プルート役を演じたマイケル・ベリーマンは、もともと遺伝的な病気で髪や爪が生えにくい体質。その独特の風貌が監督の目に留まり「特殊メイクいらず!」と即採用されたとか。
最大の見どころは、普通の家族が生命の危機に直面した時の変化です。
最初は無力だった人々が、愛する家族を守るために次第に暴力的になっていく様子が、恐怖でも不思議な説得力を持って描かれています。荒涼とした砂漠の風景も、不安感を最大限に高める効果を生んでいます。
人間の本性は置かれた環境によって大きく変わることがあります。
安全な日常では隠れている本能も、命の危険にさらされれば表面化し、理性を上回ることがある——その残酷な真実をホラーという形で突きつける、衝撃的ながらも深い内容の作品なのです。
1978年

天国の日々

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(NO.0654)
監督:テレンス・マリック
94分/PG12/アメリカ
原題または英題:Days of Heaven
配給:アンプラグド
美しい映像と音楽で人間の愛と運命を描いた、まるで絵画のような映画です。
1916年、シカゴの工場で働く青年ビルが恋人アビーと妹リンダと共にテキサスの農場へ逃れ、そこで起こる愛の三角関係を描いています。物語は少女リンダの無邪気なナレーションで語られ、大人たちの複雑な感情を子供の視点から見つめる独特な構成になっています。
撮影監督ネストール・アルメンドロスがアカデミー撮影賞を受賞しました。自然光だけを使って撮影された夕暮れや収穫の風景は息をのむほど美しく、映画史に残る映像美とも。

収穫シーンで実際にエキストラたちが農作業をやったんだけどあまりに真剣に働いてしまってスタッフが注意したんだって






















































「映像が地味になるからもう少し演技っぽく」と注意したんですよね
最大の見どころは、言葉以上に映像と音楽が語る叙情性です。
エンニオ・モリコーネの美しい音楽と共に、広大な麦畑や黄昏の空が登場人物の心情を代弁しています。特に有名なバッタの大群や麦畑の火災シーンは、自然の圧倒的な力を感じさせる名場面です。
この映画から学べることは、「人間の感情や欲望も、自然の大きな流れの中では小さなものに過ぎない」ということです。
愛や裏切り、希望や絶望といった人間ドラマが、雄大な自然を背景に儚くも美しく描かれ、生きることの本当の意味を問いかけてくれるのです。
本作の完成後、マリックは20年近く映画界から姿を消します。『天国の日々』の美しさと伝説化は、この「沈黙」があったからこそ、神秘性が増したとも言われます。
ハロウィン

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(NO.0655)
監督:ジョン・カーペンター
89分/アメリカ
原題または英題:Halloween
配給:ジョイパックフィルム
ジョン・カーペンター監督によるスラッシャー映画の原点であり、現在のホラー映画の基準を作った歴史的な作品で、恐怖の新しい形を生み出した傑作として語り継がれています。
6歳の時に実の姉を殺害したマイケル・マイヤーズが、15年後に精神病院を脱走し、故郷の町ハドンフィールドに戻ってきます。そして静かな住宅街で、ベビーシッターをしている女子高生たちを次々と襲う恐怖の一夜を描いています。主人公のローリー役でジェイミー・リー・カーティスがデビューし、一躍スターになりました。
マイケルを演じたニック・キャッスルは実は監督の友人で、演技経験なし。「マスクかぶってゆっくり歩いてくれ」と言われただけで1日25ドルのギャラ。結果的に映画史に残る殺人鬼を生んでしまいました。
わずか30万ドルという超低予算で制作されましたが、全世界で7000万ドルの興行収入を記録する大成功を収めました。現代ホラー映画の基準を作ったと世界中で言われました。
派手な特殊効果に頼らず、静けさと緊張感だけで恐怖を作り出す演出の巧妙さが印象的です。
マイケルが遠くから静かに見つめるシーンや、カーペンター監督自身が作曲した不気味なテーマ曲も強烈な印象を残します。
本当の恐怖は派手な演出ではなく、想像力によって生まれるということです。
平凡な少女ローリーが勇気を振り絞って立ち向かう姿は、「普通の人でも困難に立ち向かう力を持っている」という希望を与えてくれます。
木靴の樹

画像引用元:映画.com
(NO.0656)
監督:エルマンノ・オルミ
186分/イタリア
原題または英題:L’albero degli Zoccoli
配給:ザジフィルムズ
カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを全会一致で受賞した名作です。19世紀末のロンバルディア地方を舞台に、大地主のもとで働く小作農民たちの一年間を、まるでドキュメンタリーのように描いています。
プロの俳優を一切使わず、実際にベルガモ地方に住む農民たちをキャスティングしました。撮影も現地の方言で行われ、後に同じ出演者たちがイタリア語に吹き替えるという徹底したリアリズムを追求しました。そのため、登場人物たちの表情や仕草に嘘がなく、まるで時代を超えてその場にいるような臨場感を味わえます。
映画監督のマイク・リーは「オルミは天才だ、それ以外に言うことはない」と絶賛しています。さらに、アル・パチーノが「最も好きな映画」として挙げたことでも有名です。
見どころは、農作業の風景や季節の移ろいを丁寧に捉えた映像美です。
豚の屠殺、収穫作業、川での洗濯など、すべてが本物の生活の一部として描かれています。タイトルの「木靴の樹」は、息子の通学用に父親が木を切って靴を作ったことで家族が立ち退きを命じられる悲劇を指しており、小さな行為が人生を大きく変える現実を象徴しています。

農場シーンで登場する牛が、カメラを向けられるとじっと動かなくなったんだって






















































監督が「役者より扱いづらい」と嘆いていたようですね
どんなに質素な暮らしでも、そこには尊厳と美しさがあることを感じとれます。
理不尽な社会制度によってその尊厳が簡単に奪われる現実も描いており、人間の強さと弱さを問いかけています。
THE CHANT OF JIMMIE BLACKSMITH

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0657)
監督:フレッド・スケピシ
108分/オーストラリア
原題または英題:The Chant of Jimmie Blacksmith
日本公開情報なし
アボリジニと白人の混血青年が差別と搾取の末に暴力に走る悲劇を描いています。
原作はトーマス・ケネリーの小説で、実際に1900年頃に起きたジミー・ガバナーという人物の事件を基にしています。主人公ジミー・ブラックスミスは、白人社会に溶け込もうと努力しますが、雇い主たちから賃金をごまかされ、人種差別を受け続けます。やがて蓄積された怒りが爆発し、悲劇的な結末へと向かっていきます。
カンヌ国際映画祭のパルム・ドール候補にもなり、国際的に高く評価されました。しかし暴力的な内容から観客の反応は分かれ、興行的には赤字となりました。
この映画は1970年代の「オーストラリア・ニューウェーブ」を代表する一本であり、国の映画文化が国際的に存在感を示す契機のひとつとなりました。
美しいオーストラリアの自然を背景に、植民地時代の人種差別の現実を容赦なく描き出している点は大きな見どころと言えるでしょう。
主演のトミー・ルイスの迫真の演技も印象的で、差別される側の心情を生々しく表現しています。この映画は単なる娯楽作品ではなく、オーストラリア社会が直面してきた歴史的問題を正面から扱ったともいえるのです。
差別や不公正な扱いは人を絶望に追い込み、社会全体を破壊するという厳しい現実をつきつけられます。
ジミーの行動は許されるものではありませんが、その背景にある不平等な社会構造について深く考えさせられます。
ディア・ハンター

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0658)
監督:マイケル・チミノ
184分/PG12/アメリカ
原題または英題:The Deer Hunter
配給:KADOKAWA
ベトナム戦争映画の傑作です。アカデミー賞作品賞を含む5部門を受賞しました。
舞台は1960年代末のペンシルベニア州。製鉄所で働くマイケル、ニック、スティーヴンら仲間たちは、休日に鹿狩りを楽しむ普通の若者でした。しかし、ベトナム戦争への出征が彼らの人生を一変させます。戦場で再会した3人は捕虜となり、敵兵からロシアンルーレットを強要される地獄のような体験をします。
この映画の最大の特徴は、戦闘シーンよりも「戦争が人の心に与える深い傷」を丁寧に描いた点です。平和な日常から戦場、そして帰郷後の変わり果てた姿まで、184分の長編で人間の変化を深く描きます。
特にロシアンルーレットのシーンは、強烈な印象を残す名場面です。
クリストファー・ウォーケンの壊れていく演技は圧巻で、アカデミー助演男優賞を受賞しました。
前半のロシア系移民の結婚式は、なんと40分以上も続く長いシークエンス。実際に本物の司祭を呼び、俳優たちに本気で飲ませて踊らせたので、酔っ払いの演技は演技ではなくリアルだったとか。
戦争の本当の恐ろしさを味わえます。それは戦場での死ではなく、心に残る傷が一生消えないということ。友情、愛、希望といった大切なものが戦争によって奪われる現実を突きつけます。どんなに傷ついても人とのつながりを求める人間の強さも描かれています。
戦争とは何か、人間とは何かを深く考えさせてくれる、一生に一度は観るべき映画です。

マイケルの役は、最初はマーロン・ブランドに打診したんだね






















































「もう走ったりは無理だ」と断られ、その結果ロバート・デ・ニーロに役が回ってきたんですね
ゾンビ

画像引用元:映画.com
(NO.0659)
監督:ジョージ・A・ロメロ
115分/R15+/アメリカ・イタリア
原題または英題:Dawn of the Dead
配給:ザジフィルムズ
ジョージ・A・ロメロ監督が手がけたホラー映画の金字塔です。現在のゾンビ映画というジャンルを作り上げた、まさに元祖とも呼べる作品として映画史に名を刻んでいます。
謎の現象で死者がゾンビとして蘇り、生きている人間を襲い始めた世界。テレビ局職員のフランと恋人スティーヴン、SWAT隊員のロジャーとピーターの4人は、ヘリコプターで街から逃れ、巨大なショッピングモールに避難します。しかし、安全な場所と思われたモールにも、ゾンビの群れと物資を狙う暴走族が押し寄せ、生き残りをかけた戦いが始まります。

ピッツバーグの地元の人々が「ゾンビ役やりたい!」と集まって出演していて、彼らの報酬はピザと小遣い程度だったんだよ






















































つまりほとんど素人エキストラなんですね
この映画の凄さは、単なる怖い映画を超えて「社会批判」も込められている点です。ゾンビがショッピングモールに集まる様子は、買い物に夢中になる現代人の姿を風刺しています。特殊メイクの名人トム・サヴィーニが作り上げたリアルで衝撃的なゾンビの姿は、今見ても迫力満点です。
ホラー映画の枠を超えた名作として世界中が認めています。
本当の恐怖はゾンビではなく、極限状況で表れる人間の欲深さや争いかもしれないということです。
物に執着する現代社会への警告も含まれており、本当に大切なものは何かを考えさせられます。
40年以上前の作品でもその社会批判は色あせることなく、多くの人に影響を与え続けています。
チーチ&チョン/スモーキング作戦

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0660)
監督:ルー・アドラー
87分/アメリカ
原題または英題:Up in Smoke
配給:東北新社
破天荒なコメディ映画です。1970年代に人気を博したコメディデュオ、チーチ・マリンとトミー・チョンが主演を務めた記念すべき映画デビュー作として知られています。
音楽とマリファナが大好きな2人の若者が、ロックバンド結成の資金稼ぎのためにマリファナ探しの旅に出るロードムービーです。ひょんなことから手に入れたバンが実は「マリファナでできた車」だったことから、警察に追われながらも次々とハプニングに巻き込まれていきます。最終的にはロサンゼルスのライブハウスでのコンサートシーンでクライマックスを迎える、予測不可能な展開が魅力です。
観客からはカルト的な人気を獲得し、低予算ながら1億ドルを超える大ヒットを記録しました。この作品は「ストーナー映画」というジャンルを確立した記念すべき作品として、2024年にはアメリカ国立フィルム登録簿にも登録されています。
「ストーナー映画」とは、マリファナ(大麻)をテーマにした映画、あるいはハイになった状態を描くコメディやドラマのことです。
見どころは、チーチ&チョン独特の自然体な掛け合いと、70年代カウンターカルチャーの雰囲気を味わえる点です。真面目に作られた映画とは正反対の、自由でゆるい空気感が最大の魅力といえます。
時には肩の力を抜いて笑ってみましょう!
日常のストレスから解放されて心から笑うこと自体が、人生にとって重要なことかもしれません。

初期上映の劇場では、観客が本当にマリファナを吸いながら映画を観ていたみたい






















































場内が煙でモクモクになり、映写技師が「スクリーンが見えにくい!」と文句を言ったようですね
五毒拳

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0661)
監督:張徹(チャン・チェ)
97分/香港
原題または英題:五毒拳 The Five Venoms
配給:東映洋画
独特な設定と魅力的なアクションで世界中にファンを作り、カルト映画として愛され続けています。
毒蛇拳の師匠が死ぬ間際、最後の弟子に重要な任務を託します。それは、かつて師匠が教えた5人の弟子たちを探し出し、もし悪の道に落ちていたら倒すことでした。5人はそれぞれ「ムカデ」「蛇」「サソリ」「トカゲ」「ヒキガエル」という動物の動きを真似た独特な拳法を使います。しかし、弟子は5人の正体も顔も知りません。推理小説のような謎解き要素を含んだ、一風変わったカンフー映画です。
2003年にアメリカの雑誌Entertainment Weeklyでカルト映画トップ50の11位に選ばれました。
特に注目すべきは、この映画が後の文化に与えた影響の大きさです。アメリカのヒップホップグループWu-Tang Clanが楽曲にサンプリングしたり、映画監督クエンティン・タランティーノの『キル・ビル』にもインスピレーションを与えました。
見どころは、5人それぞれの個性的な戦闘スタイルです。素早いムカデ、しなやかな蛇、跳躍力のあるサソリ、壁を登るトカゲ、鉄壁の防御のヒキガエルなど、まるでスーパーヒーロー映画のような設定が楽しめます。
当時の海外ポスターでは、派手な特殊効果や怪物のような表現が描かれていましたが、実際の映画はあくまで武侠アクション。観客の中には「怪人映画だと思ったのに」とがっかりした人もいたとか。
この映画が教えてくれるのは、力の使い方次第で人は善にも悪にもなるということです。
同じ師匠から学んでも、心の在り方で全く違う道を歩むことになる。技術や能力よりも、それをどう使うかという心構えの大切さを感じさせてくれる作品です。
グリース

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0662)
監督:ランダル・クレイザー
110分/PG12/アメリカ
原題または英題:Grease
配給:パラマウント=CIC
青春ミュージカル映画の永遠の名作です。ジョン・トラヴォルタとオリヴィア・ニュートン=ジョンの共演で、1950年代アメリカの高校生たちの恋と友情を歌とダンスで描いています。
夏休みに恋に落ちたダニーとサンディ。しかし新学期に同じ高校で再会した時、仲間の前ではクールに振る舞いたいダニーと、純真なサンディの間にはギャップが生まれます。それぞれが所属するグループ「T-バーズ」と「ピンク・レディース」の仲間たちを巻き込みながら、二人の関係は複雑に変化していきます。
世界興行収入3億4100万ドルを記録し、当時のミュージカル映画として史上最高の成績を達成しました。
最大の魅力は、誰もが口ずさめる名曲の数々です。「Summer Nights」「You’re the One That I Want」「Hopelessly Devoted to You」など、映画を見たことがなくても知っている楽曲ばかり。カラフルな衣装と1950年代ファッション、エネルギッシュなダンスシーンも見どころです。
主要キャストのほとんどは実際には30歳前後。サンディを演じたオリヴィア・ニュートン=ジョンは当時29歳、ライゾを演じたストッカード・チャニングに至っては33歳。











観客からは「老けすぎ高校生」と突っ込まれていたそうです
自分らしさを大切にしながらも、時には変化する勇気も必要なのです。
最後にサンディが自分を変えるシーンは賛否ありますが、「愛する人のために努力する」姿勢として捉えることもできます。友情の大切さと、青春時代の輝きを思い出させてくれる、心が軽やかになる作品です。
少林寺三十六房

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0663)
監督:劉家良(リュー・チャーリァン)
117分/香港
原題または英題:Shoalin Temple the 18 Bronzemen 少林三十六房
配給:東映
香港カンフー映画の金字塔です。ゴードン・リューが主演を務め、少林寺での修行を通じた成長物語を描いた作品として、世界中で愛され続けています。
清朝時代、満州政府の圧政に苦しむ青年リュー・ユーデは、家族を殺された復讐のため少林寺に逃げ込みます。そこで彼は35の修行房で過酷な訓練を受け、武術を身につけていきます。最終的に彼は「第36房」という新しい修行房を作り、一般の人々にも武術を教えることを提案するまでに成長します。
アメリカのヒップホップグループWu-Tang Clanの名盤「Enter the Wu-Tang (36 Chambers)」のタイトルも、この映画から取られています。
最大の見どころは、約1時間にわたる修行シーンです。目隠しをして鐘を鳴らす訓練、重い水桶を運ぶ修行、頭で木を割る練習など、創意工夫に満ちた修行方法が次々と登場し飽きさせません。
単なるアクション映画ではなく、努力と忍耐を通じた人間の成長を丁寧に描いています。
どんなに困難な状況でも、日々の小さな努力の積み重ねが大きな成果を生むという、普遍的な現代に生きる事実を教えてくれます。
自分だけが強くなるのではなく、学んだ知識や技術を他の人にも教えることの大切さも伝えています。
第36房を作るというラストの決断は、個人の成長が社会貢献につながる素晴らしい例といえるでしょう。
あまりに修行がユニークすぎて、海外では「最強のカリキュラムなのか、ただの変な筋トレなのか」と議論されました。






















































日本でも「水桶の訓練」はバラエティとかでも使われました
1979年

わが青春の輝き

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0664)
監督:ジリアン・アームストロング
101分/オーストラリア
原題または英題:My Brilliant Career
配給:サンリオ映画
19世紀末のオーストラリアを舞台に、作家になる夢を持つ女性の生き方を描いた感動的な青春ドラマとして世界中で愛されています。
オーストラリアの田舎で育った少女シビラは、作家になることを夢見ています。家が貧しくなったため裕福な祖母の元に預けられた彼女は、そこで資産家の息子ハリーと恋に落ちます。ハリーは彼女にプロポーズしますが、シビラは結婚か作家としての夢かという人生最大の選択に直面します。
オーストラリア映画界の黄金期を代表する作品とも言われます。

日本公開時にはサンリオ映画が配給していたんだよ






















































キティちゃんと同じ会社が、女性の自立を描いた文芸映画を手掛けていたのは感慨深いですね
最大の魅力は、時代に縛られながらも自分の信念を貫こうとするシビラの強い意志と、美しいオーストラリアの自然を背景にした瑞々しい映像です。
恋愛と夢の間で悩む彼女の姿は、現代の私たちにも深く響きます。
周りの期待や安定した道よりも、自分の夢に正直に生きることの大切さを学ぶことができます。
たとえ困難が待っていても、自分らしい人生を選ぶ勇気を持つこと。シビラの決断は、「本当の幸せとは何か」を考えさせてくれるメッセージを含んでいるのです。
マリア・ブラウンの結婚

画像引用元:映画.com
(NO.0665)
監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
120分/G/西ドイツ
原題または英題:Die Ehe der Maria Braun
配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
第二次世界大戦末期のドイツを舞台にした力強いドラマです。
空襲の中で結婚式を挙げたマリアは、夫ヘルマンが戦地に送られた後、彼の帰りを待ち続けます。しかし戦争が終わっても夫は戻らず、マリアは生きるためにアメリカ兵相手のバーで働き始めます。そこで黒人兵ビルと愛人関係になりますが、死んだと思われていた夫が突然帰還し、混乱の中でビルが死んでしまいます。その後マリアは実業家オズワルトの愛人となり、やがて成功を収めていきます。
映画の冒頭、マリアの結婚式シーンには、実際のヒトラー演説のラジオ音声が挿入されています。「幸せな門出」と「歴史の破滅」が同居するというブラックジョークで、ファスビンダーらしい皮肉がこめられています。
ベルリン国際映画祭ではハンナ・シグラが銀熊賞(女優賞)を受賞し、ロジャー・イーバートも傑作映画リストに選出するなど、世界的に高く評価されています。
この映画の最大の魅力は、戦後の混乱を女性の視点から描いた点です。
マリアは愛する夫への忠誠を保ちながらも、現実的に生き抜くための選択をしていきます。彼女の姿は戦後ドイツそのものの象徴でもあり、復興への願いと引き換えに失われていく人間性を鋭く描いています。
この映画から学べるのは、困難な状況でも自分の信念を持ち続けることの大切さです。成功を求めるあまり大切なものを見失ってしまう危険性も教えてくれます。
愛と現実、理想と欲望の間で揺れるマリアの生き様は、現代を生きる私たちにも深く響いてくるでしょう。
ノスフェラトゥ

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0666)
監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
107分/西ドイツ・フランス
原題または英題:Nosferatu-Phantom der Nacht
配給:シネマテン=パルコ
1922年の名作サイレント映画を現代に蘇らせた美しいホラー映画です。
不動産商のジョナサンは、トランシルヴァニアの古城に住むドラキュラ伯爵に家を売るため、妻ルーシーを故郷に残して旅立ちます。しかし、この伯爵は恐ろしい吸血鬼でした。ルーシーの写真に魅了された伯爵は、ジョナサンの故郷ヴィスマールの町に向かい、そこにペストと死をもたらします。
美しく瞑想的なホラー映画として世界中で賞賛されています。
この映画の魅力は、恐怖と美しさが見事に融合していることです。
派手な血みどろシーンよりも、静かで詩的な映像は魅了されます。キンスキーが演じるドラキュラは、単なる怪物ではなく、永遠の孤独に苦しむ悲しい存在として描かれています。
ヘルツォーク監督は自然の美しさと人間の内面の暗闇を対比させ、生と死について深く考えさせる作品に仕上げました。
ドラキュラ伯爵を演じたキンスキーは、毎回メイクに4時間以上かかり、耳や指の義装具にひどく文句を言っていたそうです。現場では「俺は芸術家であってハロウィンの飾りじゃない!」と怒鳴り散らしたという笑えない(でも笑える)エピソードあり。
真の恐怖は外からやってくるのではなく、私たち自身の心の中にある不安や孤独感から生まれるということです。ホラー映画って、結局は内面の心理を深くえぐられるものが心に残りやすいのですね。
限りある人生だからこそ愛や美しさが価値を持つという、人間存在の本質的なメッセージなのです。
(*_*;
ストーカー

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0667)
監督:アンドレイ・タルコフスキー
160分/ソ連
原題または英題:Stalker
配給:日本海映画
原作はストルガツキー兄弟の小説『路傍のピクニック』ですが、タルコフスキーは独自の解釈で深遠な人間ドラマに仕上げました。
物語の舞台は「ゾーン」と呼ばれる立入禁止区域。そこには「願いを叶える部屋」があるといわれ、「ストーカー」という案内人が作家と科学者を連れて危険な旅に出ます。しかし本当のテーマは、人間が本当に望んでいるものとは何かという問いかけです。






犬の存在が謎すぎます
派手なアクションはなく、ゆっくりとした展開の中で登場人物たちの心の動きを丁寧に描写します。美しい映像と静寂な雰囲気が、深い思索へと誘います。
この映画の最大の魅力は、観る人それぞれが異なる解釈を見つけられることです。表面的には三人の男性の冒険譚ですが、実際は人間の欲望、信仰、絶望といった普遍的なテーマを扱っています。
海外では『ストーカー』が「寝落ち映画ランキング」の常連。批評家は大絶賛するのに、一般観客からは「最初の30分で夢の世界に行った」とネタにされます。






















































タルコフスキー監督が狙った「瞑想効果」がこんなところで発揮されましたね…..
自分が本当に求めているものを見極める大切さを学べます。
私たちは日常で様々な願いを抱きますが、それが本当に自分の心からの願いなのか、それとも周囲の影響で生まれた偽りの欲求なのかを区別するのは簡単ではありません。
そうした人生の根本的な問いと向き合うきっかけを与えてくれる作品です。
モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0668)
監督:テリー・ジョーンズ
93分/イギリス
原題または英題:Monty Python’s Life of Brian
配給:テレキャスジャパン
世界的コメディ集団モンティ・パイソンが手がけた風刺コメディの名作です。
物語の主人公は、キリストと同じ時代に生まれた普通の青年ブライアン。たまたま救世主と間違えられ、本人の意思とは関係なく民衆から崇拝されるようになります。宗教や政治の権威を鋭く風刺しながら、人々が盲目的に権威に従う姿を笑いに変えた作品です。
「史上最高のコメディ映画」の有力候補として様々な映画ランキングで上位に選ばれ、英国映画協会では英国映画史上28位に位置づけられています。
配給会社が「宗教を笑う映画なんて無理」と降板したため、熱烈なパイソン・ファンだったジョージ・ハリスンが自腹で映画会社(HandMade Films)を設立して資金を出しました。

ジョージ・ハリスンは「史上最も高い映画チケットを買った」と言っていたんだね
ただ笑わせるだけでなく、現代にも通じる深いメッセージがあるのが魅力でもあります。SNSで情報が瞬時に広がる今の時代にも、群衆心理や権威への盲従といったテーマは身近に感じられます。
周りに流されず自分の頭で考えるということを学べます。
世の中の常識や権威に疑問を持ち、時にはユーモアを交えて批判的に見る姿勢が、より良い人生を送るための重要な力になるのです。
REAL LIFE

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0669)
監督:アルバート・ブルックス
99分/アメリカ
原題または英題:Real Life
日本公開情報なし
監督・主演をアルバート・ブルックスが務めた斬新なコメディ作品です。現在では当たり前になったリアリティ番組を、まだ誰も知らない時代に鋭く風刺した先駆的な映画として高く評価されています。
物語は、映画監督のアルバート・ブルックス(本人役)が「本当の家庭生活」を記録するドキュメンタリーを作ろうと、アリゾナ州の普通の家族に1年間密着することから始まります。しかし、監督は「面白い映像を撮りたい」という欲望から、だんだん家族の生活に口出しするようになり、最終的には家族関係を破綻させてしまいます。
この映画の魅力は、カメラが入ることで「リアル」が「嘘」に変わってしまう過程を、ユーモアたっぷりに描いていることです。
今のSNSやYouTubeで見られる「演出された日常」の問題を、40年以上も前に見抜いていた洞察力は驚くべきものです。
クリストファー・ゲストの一連のモキュメンタリー(『スパイナル・タップ』など)より前に、偽ドキュメンタリーで笑わせる手法を使った点は映画史的に重要ですね。
メディアに映る「現実」の多くが作り物であるということ。現代だからこそ余計に突き刺さるメッセージです。
私たちが目にする情報や映像に対して、常に「これは本当なのか?」という疑問を持ち続けることが重要であることを教えてくれる作品なのです。
ヤング・ゼネレーション

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0670)
監督:ピーター・イエーツ
101分/アメリカ
原題または英題:Breaking Away
配給:20世紀フォックス
高校を卒業したばかりの4人の青年たちの友情と成長を描いた青春映画の傑作です。
舞台はインディアナ州の大学町ブルーミントン。主人公のデイヴは自転車競技に夢中で、イタリア文化に憧れるちょっと変わった青年です。彼と仲間3人は、大学に進学した同世代の学生たちを見て劣等感を抱きながらも、地元で開催される自転車レース「リトル500」に挑戦することを決意します。
アカデミー賞で脚本賞を受賞し、作品賞を含む5部門でノミネートされました。現在でも青春映画の名作として愛され続けています。
レースの迫力だけでなく、若者たちのリアルな悩みや家族との関係が丁寧に描かれているのが特徴です。
映画のクライマックスで描かれる「リトル500」は、実在のインディアナ大学主催の自転車レース。映画がヒットしたことで観客数が一気に増え、「映画のせいで全米規模のイベントになった」と地元で語られています。
将来への不安や自分の居場所を探す気持ちは、どの時代の若者にも共通するということでしょう。
出身や環境に関係なく、自分の信じた道を進むことから考えてみましょう。仲間と一緒に困難に立ち向かい、自分らしい生き方を見つけていく姿はには勇気と希望をもらえます。
エイリアン

画像引用元:映画.com
(NO.0671)
監督:リドリー・スコット
116分/G/アメリカ
原題または英題:Alien
配給:20世紀フォックス映画
宇宙で貨物運搬を行う商船ノストロモ号の乗組員たちが、未知の惑星で発見した生命体に襲われるという、SFホラーの名作です。
謎の信号を受けて惑星に降り立った調査隊が、大量の卵を発見します。そのうちの一つから飛び出した生物が乗組員に寄生し、やがて恐ろしい怪物として船内で暴れ回るようになります。主人公のリプリーは、仲間が次々と犠牲になる中、この完璧な殺戮マシーンと戦わなければなりません。
公開以来、映画史に残る名作と言われています。恐怖の演出、H・R・ギーガーがデザインした独特なエイリアンの造形、そして女性ヒーローの活躍が大きな話題となりました。

チェストバスターが飛び出すシーン、俳優たちには詳しい演出を教えてなかったんだって






















































それで本当に血しぶきが顔にかかり、ヴェロニカ・カートライト(ランバート役)はパニックで焦ったんですね
宇宙船という密閉された空間での緊張感と、徐々に明かされるエイリアンの恐ろしさが魅力です。派手なアクションではなく、静寂と暗闇を効果的に使った演出が想像力をかき立てます。
未知のものに対する慎重さと、危機的状況でも冷静に判断する力を感じとっていきましょう。
困難に直面したときに諦めずに立ち向かうことも教えてくれる、単なるホラー映画を超えた作品です。
チャンス

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0672)
監督:ハル・アシュビー
124分/アメリカ
原題または英題:Being There
配信:ユナイテッド・アーティスツ
1979年に制作されたアメリカ映画『チャンス』は、ハル・アシュビー監督、ピーター・セラーズ主演による風刺コメディの傑作です。
主人公のチャンスは、生まれてからずっと大きな屋敷の庭師として働き、テレビを見ることと庭仕事しか知らない純粋な男性です。雇い主が亡くなったため初めて外の世界に出ると、偶然の事故で大富豪の家族と知り合います。
チャンスが話す庭仕事の話は、とてもシンプルで当たり前のことばかりです。しかし周りの人たちは、彼の言葉を深い人生哲学だと勘違いしてしまいます。「春が来れば花は咲く」といった庭の話が、経済や政治の話として受け取られ、やがて彼は政界の重要人物として扱われるようになります。
この役はセラーズが長年「どうしても演じたい」と望んでいたもので、映画化の権利を得るために自ら奔走しました。彼は普段はコメディ色が強い役が多かったため、この演技が新境地と言われました。
この映画は、現代社会の皮肉な面を描いた作品として高く評価されています。人々が表面的な印象だけで判断し、勝手に深い意味を見つけようとする姿を、ユーモアを交えて描いています。
『チャンス』から学べるのは、シンプルで素直な心の大切さです。複雑に考えすぎず、物事をありのままに見る純粋さが、時として大きな力を持つことを教えてくれる心温まる作品です。

劇中に登場するアメリカ大統領役は、実際の政治家をモデルにしているとも言われているんだよ






















































カーター大統領への皮肉かとささやかれましたね
マンハッタン

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0673)
監督:ウディ・アレン
96分/アメリカ
原題または英題:Manhattan
配給:ユナイト映画
42歳のテレビ作家アイザックが、17歳の恋人と、親友の恋人との間で揺れ動く複雑な恋愛関係を描いています。
映画はモノクロ映像で撮影され、ガーシュウィンの美しい音楽とともにニューヨークの街並みが詩的に映し出されます。特に冒頭の花火のシーンは名場面として有名です。
ウディ・アレンの代表作のひとつとも言われ、大人の恋愛の複雑さや、都市生活の中での人間関係の難しさをユーモアを交えながら繊細に描いています。

ウディ・アレンは、この作品は失敗作だから公開したくないと言っていたそうだよ






















































そういうのが代表作と言われるんですから皮肉なものですね
人生における正しい選択をするのは難しいものです。
主人公アイザックは年下の恋人と年上の女性の間で迷い、自分が本当に求めているものが何なのかわからなくなります。これは多くの人が経験する普遍的な悩みです。
映画は完璧な愛など存在しないことも伝えています。どの関係にも問題や矛盾があり、人は常に迷い続ける存在なのです。その不完全さこそが人間らしさであり、愛の本質でもあるということでしょうか。
42歳の主人公と17歳の少女の恋愛という設定は、当時でもかなり物議を醸しました。今だとちょっと作れない内容かもしれません。
年齢や立場を超えた純粋な気持ちも感じ取りましょう。若い恋人トレイシーの素直さが、複雑に考えすぎる大人たちに大切なことを気づかせる場面はの心の美しさを感じてほしいです。
地獄の黙示録

画像引用元:映画.com
(NO.0674)
監督:フランシス・フォード・コッポラ
147分/アメリカ
原題または英題:Apocalypse Now
配給:日本ヘラルド映画
ベトナム戦争映画を描く名作です。ジョセフ・コンラッドの小説『闇の奥』を現代に翻案した作品で、ウィラード大尉が、ジャングル奥地で独自の支配を築いているカーツ大佐の暗殺命令を受け、川をさかのぼっていく物語です。
映画史に残る戦争映画として位置づけられています。特に「ワルキューレの騎行」が流れるヘリコプター攻撃のシーンや、幻想的で美しい映像は強烈な印象を与えます。
マーロン・ブランドが演じたカーツ大佐の名台詞「The horror!」ですが、実はブランドは撮影前に脚本をほとんど読んでおらず、現場でも即興的にセリフを作っていたとか。

この時のブランドは脚本を全然読まなかったり、太って体系を維持させるのに苦労したとかで、スタッフは大変だったみたい
単なるアクション映画ではなく、戦争が人間の心に与える影響を深く掘り下げているんですね。
主人公が任務を進めるにつれて、文明と野蛮の境界があいまいになり、何が正しいのかわからなくなっていく過程が丁寧に描かれています。
この映画は人間の本性について重要なことを教えてくれます。
極限状況では普通の人でも残酷になりうるんです。戦争という異常な環境では、日常の価値観や道徳が通用しなくなり、人は予想もしない行動を取ってしまいます。
また、権力の腐敗についても警告しています。カーツ大佐は元々優秀な軍人でしたが、絶対的な権力を手にすることで狂気に陥ります。どんな人でも権力に溺れるということです。
人間の心の闇と向きあっていくこと。戦争のない現代においても十分に考察の余地がありますね。
妻のエレノア・コッポラが撮影現場を記録した『ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録』というドキュメンタリーがあります。こちらを見ると「映画より現場のほうが地獄だった」と言いたくなるほどのバカバカしい状況が映し出されています。
オール・ザット・ジャズ

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0675)
監督:ボブ・フォッシー
123分/アメリカ
原題または英題:All That Jazz
配給:コロムビア
ブロードウェイの伝説的振付師ボブ・フォッシーが自分の人生を元に作った半自伝的作品です。主人公ジョー・ギデオンは、ブロードウェイのミュージカル演出と映画編集を同時に手がける天才的なクリエイターですが、薬物、アルコール、女性関係に溺れ、心身を限界まで追い込んでしまいます。
カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞し、アカデミー賞でも9部門にノミネートされ4部門で受賞しました。華やかなダンスシーンと、死を意識した幻想的な映像が印象的な作品です。
死を象徴するエンジェルを演じたジェシカ・ラングは、当時まだ新人女優。もともとは別の役者を想定していたものの、監督が「彼女の妖艶さこそ死の誘惑にふさわしい」と抜擢。結果的に彼女のキャリアの転機になりました。
この映画が教えてくれる最も重要なことは、才能と自己破壊は紙一重だということです。天才的な創造力の裏には、自分を犠牲にしてしまう危うさがあります。「燃え尽き症候群」の先駆的な描写でもあります。
完璧主義の危険性についても深く考えさせられます。ジョーは常に最高の作品を作ろうとするあまり、自分の健康や人間関係を軽視してしまいます。目標達成のためなら何を犠牲にしても良いという考え方の問題点を浮き彫りにします。
この映画は死を通して生の意味を問いかけます。限りある人生の中で、何を大切にし、どう生きるべきかという問題を訴えているのです。

有名な「It’s showtime!」で始まるオープニングシーンは、実際のニューヨークのダンサーを集めて撮影したんだよ






















































役者というよりもガチのオーディション参加者に近い雰囲気だったんですね
マペットの夢みるパペット

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0676)
監督:ジェームズ・フローリー
95分/アメリカ・イギリス
原題または英題:The Muppet Movie
配給:ユナイテッド・アーティスツ
日本名の正式タイトルは『マペットの夢みるハリウッド』です。
日本語版の翻訳・編集の過程で、『マペットの夢みるパペット』 というタイトルで収録されています。
※『死ぬまでに観たい映画1001本』では『マペットの夢みるパペット』と記載されているが、日本公開時の正式タイトルは『マペットの夢みるハリウッド』
ジム・ヘンソンが生み出したマペットたちの映画デビュー作です。カエルのカーミットがハリウッドスターになる夢を追いかけて旅に出る物語が描かれています。
道中でフォジー・ベア、ミス・ピギー、ゴンゾといった個性豊かな仲間たちと出会い、みんなで力を合わせて困難を乗り越えていきます。特にカーミットが歌う「Rainbow Connection」は美しい名曲として愛され続けています。
子供から大人まで楽しめる作品として、映画史に残る家族向け映画の傑作となりました。
カーミットが本当に自転車で走っているように見える場面は、当時はみんな驚きました。操り人形でここまで自然に動かせるのかと話題になりました。

実は自転車をワイヤーで吊るす複雑な仕掛けが使われていたんだよ






















































当時は「魔法のようだ」と騒がれたんです
この映画が教えてくれる最も大切なことは、「夢を持つことの素晴らしさ」です。カーミットは小さなカエルですが、大きな夢を諦めません。現実的に考えれば不可能に思えることでも、信じ続ければ叶う可能性があることを示しています。
仲間も大切で、カーミット一人では達成できなかった夢も、それぞれ違う才能を持つ仲間たちと協力することで実現に近づいていきます。人は一人では限界がありますが、お互いを支え合うことで力を発揮できるのです。
マペットたちはそれぞれ個性的で、時には変わり者と思われることもありますが、その個性こそが彼らの魅力です。自分らしく生きることの価値を教えてくれるのです。
エボリ

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0677)
監督:フランチェスコ・ロージ
151分/イタリア・フランス
原題または英題:Cristo si e Fermato a Eboli
配給:フランス映画社
カルロ・レーヴィの実体験を基にした小説を映画化しました。
物語の舞台は1930年代のイタリア。ファシスト政権に反対した医師で作家のレーヴィが、政治犯として南イタリアの貧しい村に流刑されます。最初は都市からやってきた知識人として村人たちと距離がありましたが、次第に彼らの生活を理解し、心を通わせるようになります。
タイトルの「キリストはエボリで止まった」という意味は、この村があまりにも貧しく忘れられた場所で、文明や宗教さえ届いていないということを表しています。
美しい南イタリアの風景と、困難な状況でも誇りを失わない村人たちの姿は魅力的に映ります。政治的な弾圧や貧困といった重いテーマを扱いながらも、人間の温かさや強さを描いています。
英語圏では知名度が低く、「エボリってどこ?」と観客が混乱。配給会社は「南イタリアの小さな村」を説明するパンフレットを作ったほど。






















































映画より地名の説明のほうが苦労したということです
社会から見捨てられた人々にも深い知恵と尊厳があるということでしょうか。
権力者の視点ではなく、普通の人々の目線で物事を見ることが大切です。異なる立場の人同士でも、お互いを理解し合えることを示しているのです。
マッドマックス

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0678)
監督:ジョージ・ミラー
94分/オーストラリア
原題または英題:Mad Max
配給:ワーナー・ブラザース映画
メル・ギブソンが演じる主人公マックスは、近い未来の荒廃した社会で警察官として働いています。
物語は、暴走族に家族を殺されたマックスが復讐に駆り立てられていく姿を描いています。最初は法と秩序を守る側にいたマックスが、次第に暴力的な世界に飲み込まれていく過程が印象的です。
この映画は世界中で大ヒットし、低予算映画としては異例の成功を収めました。CGを使わない本物のカーアクションは迫力満点で、映画史に残る名シーンを数多く生み出しました。

公開当時、世界で最も投資対効果が高い映画としてギネス記録に登録されたんだよ
社会が壊れるとき人はどこまで正義を貫けるのか?マックスの姿は復讐心と人間性の間で揺れる存在であり、その葛藤は現代にも通じます。
制作費は約35万ドルという超低予算。スタントマンのギャラを節約するため、監督の友人やバイク好きがそのまま暴走族役を演じ、文字通り「素人スタント」で撮影していました。
マックスは正義感の強い警察官でしたが、家族を失った怒りによって自分自身も暴力の世界に引きずり込まれてしまいます。これは現実社会でも起こりうることで、怒りや憎しみに支配されると、自分が守ろうとしていた価値観すら失ってしまうということです。
最終的には、どんなに困難な状況でも人間性を失わずに生きることの価値を問いかけています。復讐に生きるのではなく、建設的な未来を選択する心も持ちましょう。
ブリキの太鼓

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0679)
監督:フォルカー・シュレンドルフ
142分/G/西ドイツ・フランス
原題または英題:Die Blechtrommel The Tin Drum
配給:フランス映画社
ギュンター・グラスの名作小説を映画化した作品です。物語の主人公オスカルは、3歳の誕生日に「大人になることを拒否する」と決めて、体の成長を止めてしまいます。彼は常にブリキの太鼓を叩き続け、大人たちの偽善や社会の矛盾に対して鋭い抗議を続けます。また、ガラスを割ることができる特殊な叫び声も持っています。
カンヌ国際映画祭でパルム・ドール、アカデミー賞では外国語映画賞を受賞しました。子どもの視点から見た大人の世界の醜さと、ナチス時代のドイツの狂気を象徴的に描いた傑作です。
幼児の姿をしたオスカルの目を通じて描かれる大人社会の不条理さが見どころです。
オスカルを演じたダーヴィット・ベネントは撮影当時11歳でしたが、実際に成長ホルモンの分泌に影響がある体質で小柄だったため、「大人にならない少年」の設定がリアルに見えました。
ナチス台頭や戦争の狂気が、子どもの視点だからこそ滑稽さと恐ろしさを同時に放ちます。オスカルが持つ「叫び声でガラスを割る能力」は、現実離れした表現でも権力や秩序への抵抗の象徴としてインパクトがあります。

悲鳴は不快感を持つ人多いよね






















































それも狙っているのでしょう
権威や社会に盲従する危険性、そして「成長すること」自体が必ずしも幸福や自由を意味しないという逆説的な真実であることを教えてくれます。
オスカルの姿は、個人が社会の中でどう生きるかを問い直させる存在であり、この映画は戦争と人間の愚かさを寓話的に描いているのです。
この映画は「社会の狂気に巻き込まれないための智恵」も示しています。多数派が間違った方向に進んでいるとき、一人だけ違う道を歩く勇気がどれほど大切かを、オスカルの姿を通して訴えかけてくるでしょう。
フォルカー・シュレンドルフ監督はギュンター・グラスの小説を映像化する際、ほぼ全ページに注釈を入れ、撮影中も原作本を片時も手放さなかったそうです。






















































「聖書のように扱われていた」と語っていますね
天国から落ちた男

画像引用元:Rotten Tomatoes
(NO.0680)
監督:カール・ライナー
94分/アメリカ
原題または英題:The Jerk
配給:ユニヴァーサル=CIC
主人公のナヴィンは、白人でありながら黒人家族に育てられた純粋な青年です。世間のことを何も知らない彼が家を出て都会に向かい、さまざまな仕事を経験しながら、最終的には発明で大金持ちになります。しかし、その後すべてを失ってしまうという波乱万丈な人生を描いています。
この映画は大ヒットを記録し、スティーヴ・マーティンを一躍スターに押し上げました。
特に有名なのは、すべてを失った主人公が「何も持っていかない!…この椅子とランプだけ!」と言いながら次々と物を持ち出していくシーンです。

「椅子とランプだけ!」のシーンはアドリブ演技だったんだよ
この映画から学べるのは、人生において成功や失敗を繰り返すことは避けられないけれど、大切なのは何を持っているかより「誰と一緒に生きるか」ということ。
ナヴィンが最後に気づくのは、財産や地位ではなく愛や家族の価値です。バカバカしい笑いの裏側に、人生の本質を突くメッセージが隠されているのがこの映画の魅力です。
愛と家族の絆こそが真の財産であることを伝えています。お金や地位は失うことがありますが、本当に大切な人との関係は、どんな困難な状況でも人を支えてくれる最も価値のあるものなのです。
クレイマー、クレイマー

画像引用元:映画.com
(NO.0681)
監督:ロバート・ベントン
105分/G/アメリカ
原題または英題:Kramer vs. Kramer
配給:コロンビア ピクチャーズ
仕事一筋の広告マンテッドが、妻ジョアンナに突然家を出て行かれ、6歳の息子ビリーと二人きりの生活を始めることになります。
最初は子育てに戸惑うテッドでしたが、息子との日々を通して本当の父親になっていきます。しかし1年半後、ジョアンナが息子の親権を求めて戻ってきたことで、激しい法廷闘争が始まります。
この映画は世界中で絶賛され、アカデミー賞で作品賞を含む5部門を受賞しました。離婚という重いテーマを扱いながらも、観客の心を深く揺さぶる感動作となっています。
見どころは、テッドと息子の不器用ながらも温かな日常の積み重ねです。
トーストを焦がしながらの朝食作りや、一緒に絵本を読む場面など、小さな出来事の中にも深い感動が宿っています。法廷シーンでは、親としての愛情が制度や常識に試される緊張感が伝わります。

ホフマン、台本にないグラスを割ったらしいよ






















































ストリープの驚き顔はガチだったんですね
テッドは最初、愛情を示すことと物質的な豊かさを与えることを混同していました。しかし息子との生活を通して、愛とは相手の気持ちを理解し、時間を共有し、日常の小さな瞬間を大切にすることだと気づきます。
本当の愛とは何かを考えていくのです。
血のつながりだけが親子関係を決めるのではなく、実際に子供と向き合い、責任を持って育てることが真の親子関係を築くのです。テッドが息子の好きな食べ物を覚え、夜泣きに対応し、学校の問題に関わっていく過程は、親としての成長していく姿。親になるとはこういうことなのです。
映画の最後で、ジョアンナは法的に勝利したにもかかわらず、息子にとって何が最善かを考えて重大な決断を下します。
真の愛とは自分の欲望を満たすことではなく、相手の幸せを最優先に考えることですね。

監督自身も離婚経験者なんだ






















































だから法廷のシーンがリアルなんですね
「クレイマー、クレイマー」は、真の愛とは理解と共有であり、親子関係は血ではなく向き合う姿勢で築かれると教えてくれるのです。
まとめ

この記事では、『死ぬまでに観たい映画1001本』のうち、1975年~1979年までの、70年代後半作品の概要をお伝えしました。

大変だ!モールにゾンビが押し寄せてる~!!






















































ええ!!本当ですか?

バーゲンセールということでたくさん押し寄せているんだ~!






















































それは商品を取り合いしている人間かと…..
『死ぬまでに観たい映画1001本』の完全リストはこちらです。
80年代の概要はこちら
『死ぬまでに観たい映画1001本』1980年代リスト(後編)
90年代の概要はこちら
『死ぬまでに観たい映画1001本』1990年代リスト(前編)
『死ぬまでに観たい映画1001本』1990年代リスト(後編)
2000年代の概要はこちら
『死ぬまでに観たい映画1001本』1990年代リスト(後編)
『死ぬまでに観たい映画1001本』2000年代リスト(後編)
2010年代の概要はこちら
2020年代の概要はこちら